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3バックがもたらすサッカーのイノベーション。書評「3バック戦術アナライズ」(西部謙司)

   

本書「3バック戦術アナライズ」は、最近のサッカーにおける3バック戦術の潮流を分析した1冊です。

本書は3バック戦術の全てを紹介している書籍ではありません。むしろ、ちょっと変わった、特徴のある3バック戦術について紹介している書籍です。紹介されている監督も、ビエルサ、グアルディオラ、ファンハール、サンパオリなど、一癖も二癖もある監督たちです。そして、いずれも守備より攻撃を重視して3バックを採用している人物たちです。

本書では、個性的な監督たちが採用する、3バック戦術に関する詳細な分析が紹介されています。特に、グアルディオラが採用している3バックと4バックの使い分けについて、テレビで観ているだけでは分からない、3バックから4バック、4バックから3バックへの切り替えのポイントが、分かりやすく紹介されていて、勉強になりました。

衝撃的だった1995-96シーズンのバレンシアの3バック

個人的に最も印象に残っている3バックは、1995-96シーズンで、バレンシアが採用していた3バックです。特徴は、「コンパクト」で「フラット」。3バックの中央にスペイン代表にも選ばれたエンゴンガを起用し、中盤とDFラインとの距離をコンパクトに保ち、強烈なプレッシングと奪ってからの素早いカウンターを実現させていました。

そして、バレンシアの3バックは、当時としては珍しく、3バックが一列に3人並ぶ戦術を採用していました。当時は3バックの中央の選手は、他の2人とくらべて後方に位置とることがセオリーでしたから、3人がフラットに並ぶDFラインは、衝撃的でした。なお、DFラインの背後は、オフサイドを積極的に奪いにいくことでカバーしていました。これは、その後トルシエジャパンで採用された「フラット3」につながる戦い方です。トルシエは自分がオリジナルだと語っていましたが、モデルはあったというわけです。ちなみに、当時のバレンシアの監督は、後にスペイン代表監督を務め、EURO2008を制したルイス・アラゴネス、この人も、一癖も二癖もある監督です。

普通じゃない戦術を楽しもう

本書の「おわりに」にも書かれていますが、4バックが主流となっているサッカーの戦術で、3バックを採用しようとする監督は、確かに普通じゃないのかもしれません。でも、そんな普通じゃない監督たちのおかげで、新しいサッカーの戦術が生まれ、サッカーファンを楽しませているのです。そんな普通じゃない監督たちが繰り出す戦術を、一人のサッカーファンとして、これからも楽しみにしていきたいと思います。

サッカーの戦術に興味がある人、3バックについて詳しく知りたい人、サッカーの指導者におすすめの1冊です。

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