「外す」動きが減った3つの要因。2014年J1第27節 アルビレックス新潟対川崎フロンターレ レビュー

2014年J1第27節、アルビレックス新潟対川崎フロンターレは0-3で川崎フロンターレの勝ち。完敗でした。

この試合まで5戦負けなしでしたが、内容は決してよくありませんでした。理由は色々ありますが、一番大きな要因は、相手を「外す」動きが少なくなっていることだと思います。

「外す」動きが少なくなった

川崎フロンターレのサッカーは、「止める」「外す」「受ける」という動きの繰り返しで成り立っています。日々の練習の成果で、「止める」ことは上手くなってきました。しかし、「止める」動きを最大限活かすには、「外す」動きで相手のマークを外し、味方からのパスを「受ける」必要があります。そして、この動きを素早く連続させることで、相手の守備を崩すのが、川崎フロンターレのサッカーです。

個人的には、第20節のセレッソ大阪戦以降、「外す」動きが少なくなってきていると感じます。アルビレックス新潟との試合では、人と人の間でボールを受ける選手がほとんどいなかったため、相手の守備の「矢印」を外すことが出来ず、まともに受けてしまいました。個人的には、3つの要因が大きいと思っています。

フィジカルコンディションの低下

1つ目は、フィジカルコンディションの低下です。8月以降、チームの運動量と動きの質が明らかに落ちています。個人的には、ACLの影響が大きいと思います。2014年10月6日時点で、川崎フロンターレはJリーグ27試合、ナビスコカップ2試合、天皇杯2試合、ACL8試合と、合計39試合を戦っています。特に、ACLの影響がここにきて大きな影響を及ぼしていると感じます。

同じような試合数を戦っている、サンフレッチェ広島(昨年1位)が8位、横浜F・マリノス(昨年2位)が10位、セレッソ大阪(昨年4位)が17位ということを考えると、川崎フロンターレはここまで上手く戦っている方だと思います。特に今年は、ワールドカップの影響で試合日程がきつく、中2日、中3日での連戦が続きました。中断明けは幾分フィジカルコンディションがよくなったので、第21節の横浜F・マリノス戦までは6勝1敗と勝つことが出来ましたが、22節以降の試合では、それまで3引き分けだったチームが、6試合で3引き分けと、勝ちきれなくなっています。

特にフィジカルコンディションが低下していると感じるのは、谷口彰吾です。今シーズン彼がいなかったら、川崎フロンターレが現時点で4位にいることはなかったと思います。しかし、谷口はフルシーズン戦うのが初めてのルーキーです。疲れからコンディションが落ちて当然です。

「3-4-3」の影響

2つ目は、攻撃的に戦うために導入した「3-4-3」の影響です。

第19節の浦和レッズ戦で、相手の変則的なフォーメーションに対応するため、川崎フロンターレは「3-4-3」で戦いました。この試合で勝った川崎フロンターレは、続くセレッソ大阪戦、名古屋グランパス戦も「3-4-3」で戦います。「3-4-3」はより攻撃的に戦い、より得点を奪うために採用されたフォーメーションでした。しかし、この「3-4-3」を採用したことが、少なからずチームに影響を与えたと思います。

「3-4-3」を採用するメリットは、「「3-4-3」について考える。第1回:アヤックス/FCバルセロナの「3-4-3」」という記事に書きましたが、「3-4-3」はトライアングルが作りやすく、パスコースが作りやすいフォーメーションです。つまり、「外す」動きを減らしても、ボールが受けられるフォーメーションなのです。このフォーメーションを採用した時、川崎フロンターレはコンディションがよかったので、「外す」動きもできていたので、「3-4-3」は有効に機能しました。

ところが、「3-4-3」は失点のリスクも高いフォーメーションです。川崎フロンターレは、第23節の徳島ヴォルティス戦から4バックに変更します。4バックに変更して失点のリスクを軽減しようと試みます。たしかに、第23節から第26節までの4試合で2失点しかしていませんが、相手のシュートミスが多かったのも事実です。

そして、「3-4-3」から4バックに変えたことで、パス回しのスピード(テンポ)が落ちました。パスコースを作るために、「3-4-3」以上に「外す」動きの量も質も高めなければいけませんが、フィジカルコンディションの低下もあり、元通りに戻っているとはいえません。こじつけのように思うかもしれませんが、僕は少なからず「3-4-3」の影響があったと感じています。

センターバックの組み合わせ

3つ目は、センターバックの組み合わせです。第23節以降、實藤の負傷もあり、ジェシと井川のセンターバックコンビがスタメンに定着します。シュートブロックが上手いこの2人がスタメンになったことで、守備が安定するのではないかと期待しましたが、それほど守備が安定しているとは言いがたいのが、現状です。また、攻撃にも影響が出ていると感じます。

ジェシと井川は自分に向かってくる選手に対する対応は強いのですが、自分の背後のボールや選手に対する対応は上手くありません。特に、スピードのある選手に対する選手への対応は苦手で、アルビレックス新潟戦では、ラファエル・シルバに背後のスペースを狙われるのを恐れ、DFラインが下がってしまいました。

DFラインが下がってしまうと、選手1人1人の距離が広がってしまい、パスがつながりにくくなってしまいます。また、選手1人1人の距離が広がり過ぎてしまうことで、相手を外しても、ボールを受けられなかったり、ボールを受けても、次の味方にパスを繋ぐことが出来なくなってしまっています。

また、ジェシと井川は實藤と谷口のコンビに比べると、パスを回すテンポも遅いので、相手の守備に捕まってしまうケースがみられます。他の選手が「外す」動きが減っていることも要因なのですが、センターバックから始まるパス回しがスムーズに進んでいないのも、川崎フロンターレの攻撃が停滞している大きな要因だと思います。

上手く行かなくなった時ほど、攻撃的に

「外す」動きが減った3つの要因を書いてみましたが、この3つの要因についてよく考えてみると、攻撃と守備のバランスがよくないのだと改めて感じます。そして、こんなタイミングで絶好調のガンバ大阪と、アウェー、ホーム、アウェーの3連戦。弱り目にたたり目とは、まさにこのことです。

だからこそ、風間監督がどのようにチームを立て直そうとするのか、気になります。昨シーズン、1-4で鹿島アントラーズに負けた後、4-1-2-3のフォーメーションを導入し、チームを蘇らせるきっかけを作りました。今シーズンも第4節のFC東京戦の前に、3-4-3の練習を行い、チームを軌道にのせるきっかけを作りました。

チームが停滞した時、カツを入れるように攻撃的なフォーメーションを採用し、都度チームの進むべき道を示す。こうして風間監督は、就任してからの3年間、何度もチームを立て直してきました。今回は中3日の試合で、戦術練習が出来るのは、実質火曜日の1度だけ。何か変化を加えるのか、それとも全く変えないのか。どうやってチームを立て直すのか、注目したいと思います。

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