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世界最高の監督のメソッドが分かる1冊。書評「アンチェロッティの完全戦術論」

   

現在、レアル・マドリーの監督を務める、カルロ・アンチェロッティ。

ACミランの監督として、チャンピオンズリーグに2回優勝。チェルシーの監督として、FAカップとリーグ戦の2冠を達成。パリ・サンジェルマンの監督として、リーグ優勝。そして、レアル・マドリーの監督として、国王杯とチャンピオンズリーグの2冠を達成。チャンピオンズリーグ優勝3回は、監督として最多タイの記録。異なるリーグで、異なるチームを率いても、常に一定の結果を残すアンチェロッティは、世界最高の監督の一人だと思います。

そんな、アンチェロッティが、過去を振り返りながら、システム・戦術から、トレーニング理論、チーム操縦法、試合分析まで語ったのが、本書「アンチェロッティの完全戦術論」です。

サッカーの監督とはどんな仕事をしているのか

本書が他の監督が書いた本と、決定的に違うところがあります。それは、サッカーの監督がどんな仕事をしているのか、具体的な方法を交えて、語られているところです。

本書には、サッカーの監督が、どのようにトレーニングプランを組み立てているのか、どう選手に接しているのか、試合中にどのようなことを考えているのか、ハーフタイムにどんな話をしているのか、試合後に選手にどう接して、どうメディアに対応しているのか、といった具体的な仕事の内容が書かれています。

今まで、トレーニングプランに関する本や、監督の哲学やマネジメント論に関する本は、数多く出版されてきましたが、監督という仕事がどんな仕事をしているのか、本書ほど具体的に書いた本はないと思います。そして、書いたのが世界最高の監督の一人だと思うと、自ずと本書の価値を分かって頂けると思います。サッカーの監督について、深く知りたい人にとって、こんなによい本はありません。あまりに面白かったので、読み終わってすぐ、頭から読み返してしまいました。

学び続け、進化し続ける

本書を読んでいると、アンチェロッティという監督が、常に研鑽を怠らず、進化し続けてきたことに気づかされます。

4-4-2というフォーメーションしか採用せず、パルマの監督だった頃は、ロベルト・バッジョやジャンフランコ・ゾラといった選手たちを自らのチームでプレーすることを拒否していたアンチェロッティは、ジネディーヌ・ジダンとの出会いをきっかけに自らの考えを改め、「選手を活かすためにフォーメーションがある」という考えにたどり着きます。

その後は、選手の力を最大限に引き出すために柔軟にシステムを使い分けています。攻撃の時と、守備の時と、違うフォーメーションで戦う戦術を使わせたら、アンチェロッティの右に出る監督はいません。ちなみに、昨シーズンのレアル・マドリーは、攻撃の時は4-3-3、守備の時は、4-4-2で戦っていました。

また、アンチェロッティ自身の言葉で、トレーニングプランの変化について語られている点も、印象に残りました。

監督としてのキャリアをスタートさせた頃は、ボールを使ったトレーニングと、フィジカルコンディションを高めるトレーニングを分けてトレーニングプランを組み立てていたのですが、現在はほとんどボールを使ったトレーニングを主体にし、ボールを使いながら、練習中の負荷をGPSや心拍計を使ってコントロールしながら、フィジカルコンディションも高めていく手法を取り入れているというのです。

新しいものや、自分の考えが間違っていると思ったら、素直に取り入れ、実践する。ここに、アンチェロッティが世界最高の監督として、異なる国のリーグ、異なるチームで成果を出し続ける秘密があるのではないかと思いました。余談ですが、アンチェロッティは必ず所属するチームの言語で、記者会見を行います。チェルシーの監督を務めているときは、英語。異なる言語を使い分けるということは、並大抵の努力では出来ません。レアル・マドリーの監督を務めているときは、スペイン語。こんな行動にも、アンチェロッティの学び続ける姿勢がみてとれます。

サッカーの監督という仕事をより深く知りたい人だけでなく、ビジネスの世界でマネージャーがどんな事を考えればよいのかも教えてくれる1冊です。読み応えあります。

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