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書評「空気を読んではいけない」(青木真也)

   

ONE.FCの世界ライト級王者(2016年9月現在)として、総合格闘技の世界で活躍している青木真也さん。本書「空気を読んではいけない」は、そんな青木さんのこれまでの半生を振り返りつつ、自身の生き方について語った1冊です。本書の内容については、NewsPicksで発売前に連載され、NewsPicks上では大きな反響がありました。なぜなら、青木さんのメッセージが強烈だったからです。

孤独を貫く

周りから見たら、イタイこと、異常なこと、理解できないようなことでも、自分がやりたいようにやる。凡人が空気を読んでしまったら、本当に「空気」になってしまう。「空気」は果たして幸せだろうか?何かを達成できるだろうか?

みんなと同じやり方で練習をこなしても、伸びしろなんてたかがしれている。誰もやっていない技を、人知れず突き詰めるからこそ、予想できない進化をするのだ。同じ熱量、同じ方法では差はつかない。たった一人で温め続けた企みが、やがて、結果として表に出てくると思っている。

成り上がりたかったら、群れてはいけない。周りと一緒にいると、知らず知らずのうちに周囲と同化してしまう。才能のないものが成り上がるためには、周りを切らなくてはいけないのだ。

やるべきことをやる。余計なことはしない。

青木さんの孤独を貫く生き方は徹底しています。接待を受けないし、格闘技仲間と食事にいかない。友達は要らないとまで語っているのだから、本当に徹底しています。ただ、青木さんが孤独を貫くのはわけがあります。それは、自分が求めているものを手に入れるためには、やるべきことを徹底的にやるしかないと思っているからです。

僕みたいな才能に恵まれていない人間が一流を目指すのであれば、生活から贅肉を削ぎ落として、極力シンプルにするしかない。何が要らないかをハッキリさせるしかない。

「お金がない」と言うならば、水筒に水をいれて家から持ってくればいい。普段着もボロボロでいい。そうやって、どうにか捻出した費用で質の良いグローブを買い、一心不乱に練習に打ち込むほうが、絶対に先につながる。女の子と遊ぶのに1万円かかるのであれば、デートを我慢してアルバイトを2日休む。その2日間を練習に充てた方が必ず力はつく。

スポーツは、良い風がふくときも悪い風がふくときもある。舞い上がったり、一喜一憂して、自分のペースを崩す人間は必ずどこかで落とし穴にハマる。勝ってちやほやされても、負けてこき下ろされても、やるべきことを淡々とこなす自分でありたい。

人間関係なんて簡単に変わる

青木さんはこれまでの経験から、人間関係は簡単に変わるということも知っています。人はいい時はチヤホヤし、悪い時は遠ざかる。「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」なんて言葉がありますが、人間関係も同じなのかもしれません。

僕は苦境にあえいでいるファイターを見かければ、「今がどれだけ苦しくても大丈夫だ。お前が勝てば絶対に評価は一変する」とアドバイスをすることも多い。「世の中はそんなものだから、あんまり人を信用するな」と。一発逆転があるスポーツでは、自分の評価を一変させることができるとともに、時に人々がいかに薄情かを思い知らされることがある。

本書は、読者に対して強烈なメッセージを投げかけています。日々の欲望に流されてはいないか。目の前の人間関係に流されてはいないか。強烈なメッセージの裏側にあるのは、本能のままに生きたいと願う1人の人間の欲望です。

そして、本書は言葉にあふれている世の中では、極端なくらいに強烈なメッセージでなければ、人の心には届かないということも教えてくれます。「逆張り」という言葉がありますが、人の逆を行くからこそ、青木さんの言葉は、心に残るのだと思います。全ての人に逆張りしろとはいいません。ただ、自分自身が望む幸せをつかみ、生きていくにはどうしたらよいか。青木さんの生き方は、その事を教えてくれます。

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