nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

2016年J1セカンドステージ第12節 大宮アルディージャ対川崎フロンターレ プレビュー「サッカーはフォーメーションやポジションを守ることを競う競技じゃない」

   

2016年Jリーグセカンドステージ第12節、川崎フロンターレの対戦相手は大宮アルディージャです。

DFという場所でも自分のプレーをした田坂の凄さ

前節のアビスパ福岡戦では、田坂のポジションが話題になりました。田坂が起用されたのは、DF3人の右サイド。普段はサイドのMFを務める事が多い田坂ですが、さすがにこのポジションで公式戦で起用されるのは初めてだったそうです。しかし、風間監督が「自分の楽しむ場所にしてくれた」と語っていましたが、自分が起用された場所で出来ることを整理し、守備では1対1で負けないこと、攻撃ではボールを前に運ぶプレーと、正確なパス、そして味方を活かす気の利いたプレーを披露してくれました。

ただ、よく考えると、これらのプレーは、田坂がMFでプレーしている時でも見られるプレーです。プレーする場所が変わったから、ヘディングで180cm以上ある選手に勝たなければならない。DFなので、DFらしく後方でパスを回していればよい。そう考えるのではなく、普段自分がやっているプレーを、場所が変わっても、求められる原理原則を踏まえた上で、表現してみせた。これが、前節の田坂の凄いところだと思います。

「フォーメーションは関係ない」「フォーメーションでプレーするチームじゃない」

風間監督は、常々「フォーメーションは関係ない」「フォーメーションでプレーするチームじゃない」といった事を、繰り返し語ってきました。よく勘違いされがちなのですが、「4-4-2」や「3-5-2」や「4-2-3-1」といった数字で表現されるフォーメーション=戦術ではありません。フォーメーションはあくまで、守備の時に守る場所の事です。

攻撃になったら、サイドバックがFWの位置まで移動することもありますし、サイドに配置された選手が中央に動くこともあります。ただ、守備の時は場所を空けてしまうと、空けた場所から敵が攻め込んでくるので、決められた場所に戻らなければなりません。それが、フォーメーションなのです。戦術はフォーメーションによって決まるわけではありません。ボールを持つか、持たないか。サッカーの戦略は主にこの2つに分かれますが、戦術は決めた戦略を実現させるための手段です。フォーメーションで決まるわけではありません。その事を理解しているからこそ、風間監督は「フォーメーションは関係ない」と繰り返し繰り返し語ってきたのだと思います。

確かに、田坂をDFで起用すると、DF特有の相手に対応する動きに慣れていないということであったり、高いボールにどう対応するのか、自分の背後にボールを出された時にどう対応するのか、といった場面に遭遇したとき、上手くいかない場面がみられるかもしれません。ただ、どんな選手にも弱点はあります。そして、プロのサッカー選手になると、自分の弱点を上手く隠す方法を身につけているものです。自分の弱点を上手く隠して、自分の強みを発揮して、相手との戦いに優位に立つ。これが「個人戦術」と呼ばれるものであり、チームの戦術の基になります。1人1人の個人戦術のレベルが高くないと、チームとして選択できる戦術も限られてしまいます。田坂のDF起用は、1人1人の個人戦術のレベルが上がって、川崎フロンターレとして選択できる戦術が増えたことを示しています。

目の前の問題をいかに解決するか

成果を出している組織というのは、1人1人が決められた役割だけを実行している組織ではなく、1人1人が目の前の課題と向き合い、課題を解決するために自分の役割以外に出来ることもやる組織なのだと聞いたことがあります。フォーメーションをベースに戦うチームは、もしかしたら1人1人が決められた役割だけを実行している組織と言い換えられるのかもしれません。一方、目の前の課題をどう解決するかを1人1人が考え、実行している組織では、自分の役割以外の事もやらなければなりません。自分のポジションを外れてプレーしたほうがゴールが奪えるのなら、ゴールを奪えるプレーをして、成功させた選手が正しいということになります。最低限守らなければいけないルールを踏まえて、いかに問題を解決するために、最善の策を実行できるか。川崎フロンターレが風間監督が就任後に取り組んできたのは、「いかに個人個人が目の前の問題を解決出来るようになるか」。シンプルに言えばこれだけです。

繰り返しますが、成果を出している組織、イノベーションを起こす組織というのは、与えられた役割や仕事を超えて、1人1人が目の前の課題と向き合い、課題を解決するために自分の役割以外に出来ることもやる組織なのだと思います。僕はフォーメーションを守ろう、決められた場所をチームで守る戦い方を身につけよう、と語る人は、原理原則が守れていないんじゃないかと指摘したいのかもしれませんが、成果を出している組織へと導く事とは、真逆の事を言っているんじゃないかなと思う時があります。

また、よく「約束事がない」という言葉を聞きます。確かに、サッカーでもサラリーマンの仕事でも、原理原則は理解していなければなりません。しかし、仕事として、プロフェッショナルとしてお金をもらっているならば、原理原則は理解しているはずです。「約束事がない」と語る人は、問題解決するための方法も人から与えられてきたのかもしれません。自分で考えて課題を解決するために、何をすればよいか。目の前の課題を解決するためには、約束事以外の事をしなきゃいけない事もあります。そういう時に「約束事がない」と言っている人は、対応出来ないと思うのです。

なお、川崎フロンターレはフォーメーションにこだわらない戦い方を追求した結果、Jリーグのどんなチームより、多くのフォーメーションを使いこなせるチームになりました。よく、「上手くいかなかった時のプランBがない」という言葉を聞きますが、プランBを持てるかどうかは、1人1人が課題を解決できるスキル、すなわち個人戦術のレベルで決まります。「フォーメーションにこだわらないから、どんなフォーメーションでも使いこなせる」というわけです。

リーグ戦も残り6試合。今までの試合では体験したことのない課題と向き合う場面が出てくると思います。そんな時、選手1人1人がどう対応するのか。監督はどう課題を整理して、解決策を提示するのか。今まで積み重ねてきたことがどこまで活きるのか、チーム力が問われる試合が続くと思います。引き続き注目したいと思います。

おすすめ

 - , , ,