本当の「広告」を実現するために知っておくべき分析手法。書評「アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法」

2013/10/22

アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法

インターネット広告をより効果的に活用するため、様々な広告活動に広告目標に対する貢献度を割り振って分析してみようという試みは、これまでも検討されてきました。元々金融業界でどの投資がどのくらい効果があったのかを「貢献度分析」や「要因分析」という分析方法を使って、解析してきたのだそうです。この分析方法の考え方を、インターネット広告に応用した考え方を「アトリビューション」といいます。

「アトリビューション」とは、翻訳すると「属性」「帰属」という意味があるそうです。目標に到達したコンバージョンがどんな広告をどのように通ったのか。そして、掲載したどの広告が売上や問い合わせといったコンバージョンに貢献しているのかを、各広告毎に「スコア」と呼ばれる属性を定め、コンバージョンの種類毎に解析することで、有効な広告が何かを解析しようというのです。

本書は、「アトリビューション」について、概念の説明から、実際にビジネスの現場で活用するための方法が詳しく書かれた1冊です。

本来のアドテクノロジーとは

本書で最も印象に残ったのは序文で高広伯彦さんが書いてた内容です。
高広さんは序文でこんなことを書いています。

もともとアドテクノロジーとは「広告表現技術」だったように思う。
ネットでも早くからリッチメディアと呼ばれる「広告表現技術」が出現し。
「いじって楽しく心が動く広告」「それ時代が便利な広告」というのが多数あった。
(中略)
しかし最近ではアドテクノロジーとは「広告配信テクノロジー」の事を指す。
そしてつまらなくなった。

そして以下のように続けています。

広告の面白さは、いかにして「人の気持ち」と勝負するかであって、
既に人の興味関心が動いた後に出るような検索連動型広告的な広告世界観だけであらゆるネット広告が語られるようになり、
それを「効果がある広告です」というのは本当につまらない。
どのように人の気持、興味関心が動いたかを推測し、プランをしない広告なんてほんとつまらないのだ。

アトリビューションを使う目的を忘れてはならない

序文を読まずに、本書に書かれた内容をそのまま実際のビジネスの現場に適用すると、「クリックされた広告=良い広告」「コンバージョンした広告=良い広告」という評価になってしまうと思います。高広さんがおっしゃるとおり、広告はどのように人の気持、興味関心が動くかを推測してプランするべきであり、本書に書かれている分析手法はユーザーの心の動きを読むために使われるべきなのです。

しかし、ビジネスに成果を求めるあまり、分析の本来の目的が変わってしまってはいないか。本書の序文は改めてその事を考えさせられます。

本書は、広告でなくてもWebサイトの解析を担当している担当者であれば、手元に置いておいて損はない1冊です。しかし、本書に書かれている内容を活用していくのであれば、序文に書かれている本来の目的を見失ってはいけないと思います。そういう意味でも、手元に置いておいて損はない1冊です。

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