nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

2015年J1昇格プレーオフ決勝 アビスパ福岡対セレッソ大阪 レビュー 「勝負の神様は細部に宿る」

   

アビスパ福岡対セレッソ大阪

2015年J1昇格プレーオフ決勝、アビスパ福岡対セレッソ大阪は1対1の引き分け。リーグ戦3位だったアビスパ福岡がJ1昇格を勝ち取りました。

ロングパスを多用した攻撃の意図

この試合の流れを変えたのは、玉田の先制点だと思います。玉田の先制点を挙げた後、アビスパ福岡はシステムを3-5-2に変更します。後半28分には坂田、後半39分には中原を投入し、4-4-2に変更。慎重にゲームを進めていた前半から一変して、攻勢を強めていきます。

攻勢を強めていく上で、ボディーブローのように効いていたのが、アビスパ福岡のウエリントンへのロングパスを多用した攻撃です。前半は、徹底的にウエリントンに向かってロングパスを供給し、ウエリントンの身体の強さとボールキープ力を起点に、攻撃を仕掛けていました。しかし、セレッソ大阪には1対1に強く、身体も強い山下と茂庭というセンターバックがいます。前半は、ウエリントン相手に決定的な仕事はさせませんでした。

しかし、ロングパスを使った攻撃を多用されたことで、徐々にセレッソ大阪の選手間の距離が広がりはじめます。選手間の距離が広がったため、DFラインの前に少しずつスペースが出来るようになります。

アビスパ福岡は、後半に入ってからこのスペースを効果的に使って、短い距離のパスをつないで、攻撃を仕掛ける機会を増やしていきます。ロングパスを警戒していたセレッソ大阪は混乱し、少しずつ守備の時のポジションがずれていきました。ポジションがずれたため、クリアしてもアビスパ福岡にボールをひろわれ、二次攻撃、三次攻撃を受けるようになってしまいました。

セレッソ大阪は、広がったスペースをカバーするために橋本に替わって扇原を投入します。しかし、扇原はほとんどボールに触れず、1人では広がったスペースをカバーしきれず、効果的な守備をすることも出来ません。むしろ、橋本が的確に埋めていたスペースが空くようになり、混乱を大きく広げる結果になってしまいました。

アビスパ福岡がロングパスを活用する理由の1つとして、試合終盤に相手が疲れてきてスペースが出来た時に、ボールをつないで攻撃するために、ロングパスを活用しているのだと思います。相手のDFラインを下げさせるだけでなく、ウエリントンへのマークで体力を消耗させ、相手が疲れ、スペースが生まれたところで、パスをつないで攻撃を仕掛ける。アビスパ福岡のロングパスには、こんな意図が隠されているのではないかと、僕は思います。

勝負の神様は細部に宿る

アビスパ福岡の同点ゴールは、丸橋が中村北斗を股抜きで抜こうとして、ボールを奪われたところから始まります。ボールを奪った中村北斗は、全速力でゴール前に走りこみ、同点ゴールを決めました。一方、丸橋は10m以上後方でジョギングしながら、中村北斗の同点ゴールを見つめていました。

岡田武史さんがよく口にしていますが、サッカーは戦術や戦略ではなく、こうした細かいことの積み重ねが勝敗を分けることがあります。ボールを奪われた時にポジションに全力で戻らない、誰かが戻ってくれるだろう、誰かがなんとかしてくれるだろう。小さなことに思えますが、結果的にはこうした小さなことが勝敗を分けるのです。

アビスパ福岡の選手たちは、ボールを奪われたら全力で自分のポジションに戻っていました。丸橋がボールを奪われた数分前、パブロのドリブルを自陣ゴールライン付近で奪い返したのは、FWのウエリントンです。セレッソ大阪の選手と、アビスパ福岡の選手の力を比較した時、そこまで大きな差はないかもしれません。しかし、チームとして比較した時、またリーグ戦の成績として比較した時、こうした細かいことの差は、はっきりとした成績として現れます。

アビスパ福岡の昇格は、「勝負の神様は細部に宿る」ということを教えてくれます。細かいことを徹底して突き詰め、最後までやり切ることが、チームとしての強さを生む。そして、監督の仕事は、戦術や戦略を考えることも重要ですが、まずは選手に100%の力を出させ、細かいことを疎かにしない環境や心構えを作ることなのではないかと、井原監督は教えてくれました。そして、細かいことを疎かにしないことを積み重ねていくと、選手が変わり、組織が変わり、結果が変わることを、アビスパ福岡の昇格は教えてくれました。

おすすめ

 - , , ,