男子バスケットボール日本代表国際強化試合2017 日本代表対イラン代表第1戦 レビュー

男子バスケットボール日本代表の国際強化試合、日本代表対イラン代表第1戦は、85-74で日本代表が勝ちました。

バスケットボール男子代表の試合をきちんと観たのは、いつ以来でしょうか。この試合は興味があったのですが、スポナビライブに加入するか、Jsportsに加入しないと入れないので、観るかどうか迷っていたのですが、スポナビライブの月額費用が引き下げられたこともあって、観てみる事にしました。僕は普段はサッカーを観ることが多いので、普段サッカーを観る視点で、試合のレビューを書いてみようと思います。

なぜ「ピックアンドロール」を活用するのか

今回の強化試合で日本代表を観る上で僕がポイントとしていたのは、「ピックアンドロール」と呼ばれる攻撃を、いかに効果的に活用できるかでした。「ピックアンドロール」とは、以下のような手順で行われる攻撃の事を指します。勉強もかねて、調べてみました。

  1. ボールを持っている選手に対して、他のオフェンスがスクリーン(相手の選手を塞ぐように立つ)をかける。(ボールスクリーンと呼ばれることが多い)
  2. ボールを持っている選手はドリブルを行い、スクリーンによって自分についていた守備者を外してフリーになります。
  3. ボールを持っている人はそのままゴールを目指します。スクリーンをかけた人はスクリーナーはボールに対して正面を向くようにターンし(フロントターン)、ゴールに向かって動きます。

参考までにゴールデンステイト・ウォリアーズがピックアンドロールを活用した事例の動画があったので、紹介しておきます。

分かりやすいのは、ポイントガードの選手がボールを持った時、センターやパワーフォワードと言われるポジションの選手がポイントガードの選手に対してスクリーンをかけてフリーになるプレーですが、NBAを観ていると、ボールを持っている選手だけでなく、ボールを持っていない選手も、相手を外す動きと、スクリーンを駆使してフリーになろうとしているのが分かります。

バスケットボールは年々選手の身体が大きくなり、スピードも速くなってきたことによって、選手が自由にボールを持ってプレーできるスペースと時間が減ってきています。ピックアンドロールを駆使することで、選手が自由にボールを持ってプレーできるスペースと時間を作り出そうとしているのだと、僕は理解しています。これは、サッカーに例えるなら、最近攻撃のときと守備の時にフォーメーションを変えるチームが増えてきています。リーガエスパニョーラのセビージャや、プレミアリーグのチェルシー、グアルディオラが率いていた頃のバイエルンミュンヘンが該当しますが、こうしたチームがフォーメーションを変える理由も、フリーの選手を局面毎に作り出したいという意図があるからです。

この試合の日本代表は、まずはポイントガードとセンターやパワーフォワードの関係で、ピックアンドロールを駆使して、フリーの選手をいかに作るかに注力して戦っているように観えました。千葉ジェッツでピックアンドロールを駆使して戦っている富樫をスターターで起用したのはそんな意図があるのだと思いますし、富樫にあうスクリナー(スクリーンをかける人)として、竹内公輔がスターターとして起用されたのだと思います。このあたりは、試行錯誤を続けて行くのだと思いますが、富樫と竹内がチームのプレータイムの1位、2位を占めているのは、偶然ではないと思います。(富樫が27:28、竹内が27:40)

試合を観て感じた課題

気になったのは、ピックアンドロールが成功した回数より、ピックアンドロールで作り出したフリーの選手がシュートを外した回数です。この試合、2Q以降は少しずつ攻撃もスムーズになり、フリーでパスを受けられる回数が増えてきました。しかし、「これは入るだろう」というシュートがなかなか入りません。いかにチームとしてフリーの選手を作り出しても、シュートが入らなければ意味がありません。これは今後の課題だと思いました。

あと、イラン代表はこの試合は前日に来日したということもあり、コンディションが万全ではなかったと思います。また強化試合なので、コンタクトプレーを本気でやったわけではないと思います。したがって、本気の試合なら、イラン代表はもっと強くコンタクトして、日本が意図するプレーを潰しに来ると思いますし、ボールが無い所のコンタクトはより強く当たってくると思います。もっと強度が上がった場面で、この試合のように攻撃が出来るかどうかは、今後の試合を観る上でポイントになると思います。

なぜ暫定ヘッドコーチで戦ったのか?

僕が疑問に思ったのは、この試合を暫定ヘッドコーチで戦った事です。2019年ワールドカップおよび2020年のオリンピック出場権獲得を目指すのであれば、暫定ヘッドコーチではなく、正式なヘッドコーチを早急に決めなければいけないのではないのでしょうか。バスケットボールは、9月から5月までがシーズンなので、当然交渉しやすいのは、シーズンオフになる6月以降なのだと思います。ただ、暫定ヘッドコーチがいかに優秀であっても、暫定は暫定です。

この試合のヘッドコーチを務めたパヴィチェヴィッチさんは、基本的な事しか教えていないようですし、ヨーロッパ、アメリカのスタンダードの戦い方でプレー出来なければ、応用も出来ないという考えはよくわかります。それは、サッカー日本代表のハリルホジッチ監督の考え方と同じです。正式なヘッドコーチはすぐに決めるべきだし、パヴィチェヴィッチさんの考えと、新しいヘッドコーチの考えは、基本的な部分では一致するようにしても、ディテールは違うはずです。

日本バスケットボール協会は、ヘッドコーチはいつ決めるのか、どんな強化スケジュールを考えているのか、現在のプランをきちんと発表し、ファンに共有し、支持を求めていく必要があると思いました。そうしないと、この強化試合の意味もよく分からない。そう感じました。

第2戦が本日行われます。この試合の結果を受けて、両チームがどんな戦いをするのか楽しみです。

おすすめ