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2016年J1セカンドステージ第6節 湘南ベルマーレ対川崎フロンターレ レビュー「ラストプレーはスピードを上げ過ぎちゃダメな理由」

      2016/10/02

2016年Jリーグセカンドステージ第6節、川崎フロンターレ対湘南ベルマーレは3-2で川崎フロンターレが勝ちました。この試合、風間監督はハーフタイムに「ラストプレー、スピードを上げ過ぎない。」とコメントしました。僕はこの言葉が、この試合の両チームの戦いを象徴していると思いました。

スピードを上げるとミスが増える

なぜ、ラストプレーでスピードを上げ過ぎてはいけないのか。それは、ミスが増えるからです。スピードを上げている選手に対して、正確にパスをあわせるのは、簡単ではありません。そして、正確にパスをあわせたとしても、正確にコントロールするのは簡単ではありません。動いている状態の身体をつかって、動いているボールを止めなければなりません。一方、止まった状態であれば、動いているボールを止めるのは、それほど難しくありません。

もちろん、そんな事はプロのサッカー選手であれば、百も承知です。では、なぜスピードを上げるのか。それは、相手のマークを振り切ろうとするからです。スピード、強さといった、力をいれて身体を動かす行為でなければ、相手の守備を崩すことは出来ない。人の頭はそう考えてしまいがちなので、自然とスピード速く走ろうとしたり、力をいれて相手のチャージに耐えようとするのです。

しかし、野球で130kmのストレートで空振りを奪うピッチャーがいるように、必ずしもスピードやパワーがなければ、相手の守備を崩せないわけではありません。相手の動きを外し、タイミングをずらし、パスのスピードの緩急を駆使して、相手のマークを外すことも出来ます。このやり方であれば、スピードは必要ありません。必要なのは、適切に身体を動かす能力です。力は必要以上にはいりません。

走ることが目的になっている湘南ベルマーレ

この試合、湘南ベルマーレは全選手が、どんな時も、全力で走る姿勢をみせました。ボールを全力で追いかけ、相手のボールを素早くボールを奪おうとアクションを行う。奪ったボールを素早く敵陣に運び、得点を奪おうとする。その姿勢は、素晴らしいと思います。サッカーの監督で最も難しいことは、選手を走らせることだと言われています。選手を常に全力で走らせられるチョウ・キジェ監督は、素晴らしい監督だと思います。

しかし、常に全力で、フルスロットルで走っているからこそ、湘南ベルマーレの得点が増えないのだと、僕は思います。野球に例えるなら、145kmのストレートを投げられるのは素晴らしいですが、球種がストレートしかありません。相手の打者を打ち取るために、カーブを投げたり、スライダーを投げたり、縦横の変化、緩急の変化といった、タイミングをずらすような工夫が全くありません。そして、常に全力で、フルスロットルで走っているので、ゴール前までボールを運んだ時には、選手は疲れた状態になっているだけでなく、無駄な力が入り、ボールコントロールをミスしやすい状態になっています。湘南ベルマーレがボールをゴール前まで運んでも、チャンスにシュートミスをしてしまうのは、必然だと僕は思います。

もちろん、チョウ・キジェ監督は、そんな事は承知だと思います。たぶん、落としこむまで時間が無いのだと思います。「外す」動きは判断力が求められますが、今の湘南ベルマーレの選手はただ走るだけで、走ることが目的になってしまっているなと感じました。あまり判断力が求められるサッカーをしているように見えません、走ることは、勝つための手段であって、目的になってはいけません。

スピードを不必要に上げた川崎フロンターレ

一方、ラストプレーでスピードを上げてしまい、3-0から2得点を奪われたのが、川崎フロンターレです。3-0になったので、湘南ベルマーレが捨て身で攻めてくる事を予想し、相手の守備を外しながらボールを回し、時間を進めればよい試合でした。ところが、湘南ベルマーレの守備が甘くなった結果、簡単にボールを敵陣に運べるようになったので、スピードを上げた状態で、ラストパスを出す選手が何人かいました。3-0で勝っているので、セカンドステージ第2節の名古屋グランパス戦のように、ボールを回して、試合をコントロールするという選択肢を選択すればよかった試合です。しかし、選手はそうはしませんでした。

要因はいくつも考えられます。よい場所、よい選手が見えるので、焦ってプレーしてしまったこと。もっと大差で勝ちたいという欲求が芽生えたこと。第2節の名古屋グランパス戦で中村が負傷した経験から、アグレッシブな湘南ベルマーレの守備に引っかかって怪我をすることを避けた選手がいたのかもしれません。もちろん、気温26.7℃ 、湿度87%という気候で、身体が思うように動かなくなったという事も考えられます。前半に湘南ベルマーレのサッカーに付き合ったことが、ボディブローのようにダメージとして蓄積してきたのではないかという事も考えられます。ただ、スピードを上げなくて良い場面で、勝負を焦りすぎて、ミスが増えた。僕はそう感じました。

大久保よ、焦るなよ

ラストプレーでスピードを上げてしまった選手の1人が、大久保です。1得点を挙げましたが、凄くよいプレーだったわけではありません。負傷も抱えていて体調も万全ではないと思うのですが、得点を奪おうという気持ちばかりが目立ち、プレーで冷静さを欠いているような印象を受けます。要因は、自分が欲しいタイミング、場所でボールが受けられていないからだと思います。

それは、大久保へのマークがきついからであり、他のチームメイトが大久保のマークを上手く利用して、空いている場所を見つけて、相手を外すことができているからでもあるのですが、大久保としては自分が囮に使われ続けるのは、面白くありません。「自分を見て」と訴えるのは、エースストライカーとして当然だと思います。チームは勝っているけど、満たされない。まだまだ、大久保の葛藤は続くと思います。

小さな問題を抱えながらも、勝ち慣れてきたチーム

試合後、勝利のパフォーマンスをする選手に笑顔はありませんでした。勝ったにもかかわらず、喜べない。それは、チームとして掲げている理想が、メンバー内に共有されてきたからだと思います。勝つのは当たり前。どう勝つかを追求し、内容がよくないと喜べない。よい意味で「勝ち慣れた」チームになってきたと思います。

次はヴァンフォーレ甲府戦。全力でボールを追いかけてくる湘南ベルマーレの後に、ボールを追いかけてこないで5-4-1で守るヴァンフォーレ甲府。簡単な試合にはならないと思います。勝ち続けていますが、小さな問題をチームはいくつも抱えて進んでいます。小さな怪我をかかえている選手も増えてきました。田坂やエドゥアルドのように、コンディションがなかなか上がらない選手もいます。どんな戦いをするのか、引き続き注目したいと思います。

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