天才指導者の指導法は真似が出来ない。書評「ビエルサの狂気―知られざる戦術マニアの素顔」

昨年までアスレティック・ビルバオの監督を務めていた、マルセロ・ビエルサ。”ロコ(変人)”という愛称がつくくらい、ちょっと変わった監督として知られています。個別に取材を受けず、記者会見だけでしかコメントを発表しないため、その素顔は謎に包まれています。

そんなマルセロ・ビエルサの素顔を関係者の証言や行動から迫ったのが、本書「ビエルサの狂気―知られざる戦術マニアの素顔」です。

ビエルサに似ている監督

ビエルサという監督の評判や、指導法を聞いていると、似ているなぁと思うのがイビツァ・オシムです。選手を徹底的に走らせ、独自のトレーニングメニューと指導法で、選手の力を100%引き出す。そして、何よりサッカーが大好きで、時間があればサッカーの映像を観ている、という点も共通しています。そして、2人が率いるチームは、選手が良く走り、とても魅力的な攻撃サッカーを展開します。

しかし、2人の監督が率いたチームは、2人が退任した後はチームから魅力が失われ、全く違うチームになってしまうという点も共通していると思います。2人のチーム作りは独特で、真似が出来ない部分があり、メソッド化出来ないからだと思うのです。

メソッド化出来ない指導法

なぜ、メソッド化出来ないのか。本書を読みながら考えていたのは、そこでした。読み終えても、その理由はわかりませんでした。ただ、1つだけ言えることがあるとすれば、言葉に出来ない部分が、ビエルサやオシムのような指導者と、他の指導者との違いなのかもしれないと思いました。

本書は、ビエルサの戦術や戦い方について、具体的に解説されている書籍ではありません。ただ、謎に包まれているビエルサという監督がどんな監督なのか。少しだけではありますが、知ることができる1冊だと思います。2013年12月現在、ビエルサはどこのチームの監督もしていません。早くどこかのチームの監督をして欲しい。そう思うのは僕だけでしょうか。

FCバルセロナとの試合でアスレティック・ビルバオがみせてくれたような、熱くアグレッシブなサッカーが観れるのを期待して、ビエルサが現場に復帰するのを待ちたいと思います。

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