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2016-17シーズン Bリーグファイナル 川崎ブレイブサンダース対栃木ブレックス レビュー「勝敗を分けた川崎ブレイブサンダースの守備」

      2017/05/28

2016-17シーズン Bリーグファイナル 川崎ブレイブサンダース対栃木ブレックスは、79-85で栃木ブレックスが勝利し、Bリーグ初代王者に輝きました。

僕は「川崎ブレイブサンダースの守備と栃木ブレックスの攻撃」に注目していた

この試合は「攻撃の川崎ブレイブサンダース対守備の栃木ブレックス」と言われていました。シーズン平均最多得点の川崎ブレイブサンダースとシーズン平均最小失点の栃木ブレックスの対決なので、一般的にはこのような観点で試合を観るだと思いますが、僕は違いました。僕は「川崎ブレイブサンダースの守備と栃木ブレックスの攻撃」に注目していました。バスケットボールは24秒で攻守が入れ替わるスポーツなので、サッカーのようにボールを保持し続ければ相手の攻撃を受けない、という事はありません。したがって、ファイナルのように拮抗した試合では、両チームの苦手な部分の出来が勝敗を分けるのではないかと思っていました。

そして、川崎ブレイブサンダースの守備に注目した理由があります。それは、セミファイナルの川崎ブレイブサンダース対アルバルク東京との第3戦です。5分ハーフの試合で、川崎ブレイブサンダースは普段スタメンで起用する辻ではなく、藤井を起用し、辻の出番はありませんでした。僕はこの起用の意図は、守備を強化したかったからだと思いました。辻はシュートも上手く、ピックアンドロールと呼ばれるスクリーンを使ってスクリナーを回るようにドリブルするプレーも上手く、相手をかわした後のパスも巧みです。しかし、コンタクトプレーに強い方ではなく、守備の時に相手を離しがちです。第3戦は1点を争う試合になると読んだ川崎ブレイブサンダースの北ヘッドコーチは、辻ではなく藤井を起用したのだと思います。この起用から、僕は辻の守備が川崎ブレイブサンダースの勝敗のポイントになりそうだなと思っていました。

栃木ブレックスはスクリーンプレーが上手い

そして、辻の守備がポイントになると思ったのは、栃木ブレックスが幾つかのパターンを組み合わせた上で、スクリーンを上手く使って、フリーの選手を作り出す攻撃に長けたチームだからです。スクリーンのかけ方はいくつかあるのですが、特によく使うのが、古川や遠藤がエンドライン沿いを動き、ロシター、竹内、ギブスのスクリーンを使って、3Pラインの外側でフリーでパスを受けるプレーです。特にエンドラインからセンターサークル側に向ってパスの受け手が動いて、スクリーンを使ってマークを外すプレーをよく使います(ダウンスクリーンというのだそうです)。このプレーは例えシュートが打てなくても、マークする選手を入れ替え、ミスマッチを作り出す効果もあります。栃木ブレックスがやっかいなのは、ロシター、竹内、ギブスといった選手だけでなく、遠藤、時に田臥までスクリナーとしてプレー出来るほど、チームとしてやり方が浸透しています。この攻撃に川崎ブレイブサンダースは上手く対応出来ませんでした。

特に古川のマークについていた長谷川が後手を踏んでしまいます。古川がエンドライン沿いを動いて、スクリーンを使ってフリーになる動きをした瞬間、長谷川は古川の狙い通りスクリナーに引っかかってしまいます。古川にパスが渡らなくても、川崎ブレイブサンダースは誰かがマークを受け渡さなくてはならないのですが、その時主にマークを受け渡されていたのが辻です。辻が古川のマークについた時、古川は高い確率でシュートを決めていました。

攻撃で相手を消耗させた栃木ブレックス

一方、栃木ブレックスはリーグ最小失点にふさわしい守備を披露しました。プレーオフで好調の篠山には遠藤がマッチアップします。遠藤は身体も強く、スピードがある選手の対応も苦にしません。アルバルク東京のギャレットや、千葉ジェッツの富樫もマッチアップしてきました。相手のエースに対しては遠藤がマッチアップすることが多いのですが、それだけ栃木ブレックスが篠山を警戒していた事が読み取れます。

辻には古川がマッチアップします。古川は辻にマッチアップする時、辻が苦手にしているように思える、ボールが無い所でのコンタクトプレーを何度も仕掛けました。身体をぶつけ、相手に嫌な印象を与えるだけでなく、試合が進むにつれて、体力のない選手の消耗を促す効果があります。足首と腰に怪我をかかえている辻は、時間が経つにつれてプレーの精度が落ち、リングに向ってアタックするプレーが減っていきました。古川のハードな守備と無関係ではないと思いますし、栃木ブレックスのスクリーンを使った攻撃に体力を消耗させられていたとも考えられます。そした、辻と篠山のマークが入れ替わっても、古川と遠藤はそこまで守備力に差はありません。ここが川崎ブレイブサンダースとの差でした。

ミスマッチをつけなかった川崎ブレイブサンダース

実は栃木ブレックスの守備には、1つ問題がありました。それは田臥と渡邉のマッチアップです。田臥や渡邉の守備の技術に問題があるわけではなく、遠藤が篠山、古川が辻にマッチアップするため、田臥と渡邉は必然的に自分より10cm以上背が高い、野本、栗原、長谷川といった選手をマークしなければなりませんでした。しかし、川崎ブレイブサンダースはこのミスマッチを上手く活用できません。長谷川の得点は速攻で上げた2得点のみ。栗原は田臥の守備に後手を踏み、オフェンスファウルを冒してしまいます。

川崎ブレイブサンダースは、篠山、辻、ファジーカスといった得点を奪う選手に注目が集まりますが、実はキーマンは長谷川とスパングラーです。長谷川が相手のエースをマークすることで、辻の守備の負担を減らしているのですが、この試合では長谷川の守備が栃木ブレックスの攻撃によって機能しなくなってしまいました。

相手のエースは守備の時に弱点になる

川崎ブレイブサンダースはファジーカスと辻という、得点を挙げる能力の高い選手が揃っています。プレーオフでは辻に代わって篠山が得点を挙げていますが、攻撃のキーマンはファジーカスと辻です。ところが、2人とも攻撃の能力には長けていますが、実は守備に問題をかかえている選手です。

ファジーカスは守れる範囲が狭く、守備もルーズなので、ペイントエリアの外側に位置する相手をフリーにしがちです。このファジーカスのルーズな守備をカバーしていたのが、スパングラーでした。ところが、栃木ブレックス戦の4Qでは、スパングラーがロシターをマークしなくてはならなくなり、ファジーカスのサポートにいけません。ファジーカスがマークすることになったのは、ギブス。身長は188cmですが、身体が強くて、足が早くて、そして何より手が長いのでリバウンドを取ったり、背の高い選手を下から押しこんでいく強さがある選手です。ファジーカスにとっては、苦手なタイプの選手です。ギブスのマークにファジーカスがついたことによって、ギブスのスピードと強さにファジーカスが対応出来ませんでした。

昔、ジェフユナイテッド千葉と日本代表の監督を務めたイビツァ・オシムさんが、「相手のエースは守備の時に弱点になる」という事を語っていた事があります。攻撃が得意な選手は守備が苦手な事が多いので、守備の時に相手のエースが守っている場所から攻撃をすればチャンスになるというわけです。川崎ブレイブサンダースにとって、ファジーカスと辻の攻撃は強みです。しかし守備の時、2人は弱点になる危険性がありました。川崎ブレイブサンダースは圧倒的な攻撃力でリーグ戦を勝ち進んでいた反面、栃木ブレックスのように、チームで巧みにシュートチャンスを作り出す相手や、ファジーカスに対して攻撃出来る選手がいるチームには苦戦しています。

川崎ブレイブサンダースがリーグ戦で敗れたのは、三遠ネオフェニックス(3敗)、アルバルク東京、栃木ブレックス、大阪エヴェッサ、シーホース三河(2敗)、富山グラウジーズ、サンロッカーズ渋谷(2敗)。オールジャパンでは、千葉ジェッツに敗れています。三遠ネオフェニックス、アルバルク東京、栃木ブレックス、千葉ジェッツは、チームで巧みにシュートチャンスを作り出すチームです。富山グラウジーズ、シーホース三河、サンロッカーズ渋谷、大阪エヴェッサは、ファジーカスを抑えられる外国人選手がいます。今までかかえていた問題を修正せずとも勝てていたのですが、最後の最後で問題が露呈した。そんな印象を持ちました。

この試合の勝敗を分けたのは、4Q残り1:30以降のプレーです。川崎はサインプレーで作ったチャンスをスパングラーが外し、栃木は古川が田臥がスクリナーに使って辻のマークを外し、2Pショットが決まって3点差とします。次の攻撃で川崎は1:30と同じプレーを仕掛けたけど、篠山がパスをミスしてターンオーバー。その後、ギブスにシュートを決められ、5点差。ここで勝負が決まりました。

ただ、このシーンに辿り着く前段として、僕は「川崎ブレイブサンダースの守備と栃木ブレックスの攻撃」で、栃木ブレックスの攻撃が川崎ブレイブサンダースの守備を上回った事が要因だと考えております。他にもポイントはあると思いますが、僕はこの点に注目しました。とても面白い試合でした。

明日は入替戦です。Bリーグは明日の試合で最後です。明日の試合のポイントはただ1つ。川村が良ければ、横浜ビー・コルセアーズが勝ちます。川村が悪ければ、広島ドラゴンフライズが勝ちます。明日は川村だけに注目してください。

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