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Bリーグはデータで日本のスポーツに革命を起こす

   

本記事は「川崎ブレイブサンダース Advent Calendar 2016 – Adventar」16日目の記事として投稿するものです。川崎ブレイブサンダースがテーマなのですが、あえて川崎ブレイブサンダースのファンの方向けに、Bリーグのデータに関する記事を書いてみたいと思います。

分かれていたデータを1つに統合

2016年9月にBリーグが開幕して、3ヶ月が経過しました。開幕戦の派手な演出ばかりがクローズアップされますが、Bリーグが日本のスポーツにおいて、画期的な取組を行っていることは、あまり知られていません。Bリーグが行っている画期的な取組とは、データです。

一言でデータと言っても様々な形式がありますが、本記事では顧客データの事を指します。従来のプロスポーツにおいて、顧客データは「チケット」「ファンクラブ」「EC」「来場者」という大まかに4つのデータに分類していました。チケットはチケットを買う人、ファンクラブはクラブのファンクラブに加入している人、ECはクラブのWebサイトでグッズを買っている人、来場者はスタジアムやアリーナにやってきて、グッズや飲食を買う人の事を指します。

従来のプロスポーツにおいて、4つのデータは別々のデータとして管理されてきました。別々に管理するメリットもあるのですが、別々に管理するデメリットとしては、1人の顧客が4つのデータに分かれてバラバラに管理されているため、本当はどんな行動をしているのか分かりづらいということです。

例えば、川崎ブレイブサンダースのファンクラブに加入して、1F指定席を買って、アリーナに行く前にタオルマフラーを買って、来場してからスタジアムグルメとビールを買う、といった行動が、データでは分かりづらいという事なのです。データで分かりづらいため、お客様に対して、どんなサービスを提供してよいか分からないというわけです。ちなみに現在も、Jリーグやプロ野球(パ・リーグはチーム間で一部のデータは共通化)は4つのデータを個別にデータしています。

Bリーグは、この4つのデータをすべて共通化しました。まず、Bリーグ開幕にあたって「リーグ統合データベース」を作りました。このデータベースに、チケット、ファンクラブ、EC、来場者のデータを登録します。Webサイトのフォーマットも各チーム共通化しました。データをリーグで共通化することで、チケット、ファンクラブ、EC、来場者のデータがクラブの垣根を超えて取得出来るようになりました。そして、チケット、ファンクラブ、EC、来場者という状況別に、1人のお客様がどんな行動をとっているか、どんなニーズがあるのか、把握出来るようになりました。これによって、よりお客様が求めているサービスを提供できる土台が整いました。

データをつなぐスマホとアプリ

データベースとお客様をつなぐのが、スマートフォンとアプリです。Bリーグはリーグ開幕にあわせて、「Bリーグチケット」というアプリを導入しました。現在はチケットの発券管理の機能しかありませんが、今後はこのアプリの機能を拡張し、お客様毎に様々なサービスを提供することを、視野に入れているはずです。例えば試合やグッズのおすすめ情報がスマホに届いたり、スマホを使ってアリーナでビールを頼んで、席まで届けてもらえるといったサービスも、今後一般化してくるはずです。

Bリーグがデータベースで管理しているのは、お客様のデータだけではありません。スタッツ、ネット動画についてもデータベースで管理しています。また、将来的にはバスケットボール協会のデータベースとの統合も視野に入れています。バスケットボール協会のデータベースと登録することで、これまで「選手」と「ファン」という区分に分かれていた1人の人物に対して、「プレーもするし、Bリーグも観に来る人」として、最適なサービスを提供できるようになるというわけです。これは、日本のプロスポーツだけでなく、日本のデジタルマーケティングサービスの事例と照らし合わせても画期的です。

選手のパフォーマンスもデータで管理

そして、Bリーグはデータの分析をマーケティングだけでなく、選手のパフォーマンスの最適化にも活かそうとしています。詳しくは過去に書いた、「Bリーグが行った画期的な記者会見で分かった可能性と課題」と「バスケットボールのスタッツの驚くべき世界」をご覧頂きたいのですが、Bリーグは「Synergy」とは、NBA、NCAA、海外のリーグの1,500以上のチームで採用されているバスケットボール専用の分析ツールを導入し、選手のプレーをデータで可視化し、比較、分析出来る土台を作りました。

また、Bリーグの審判に対しても、データを用いて分析できる土台を準備しています。「レフェリーサポートシステム」というシステムを導入し、試合の動画にファウルなどのタグが付けられ、コミュニケーションボード(伝言板)に管理者がコメントを書きこむこともできる。これは判定のブレを解消し、均質性を保つための有用な材料だ。審判が週末に担当するチームの試合を確認し、特徴や傾向を知ることが出来ます。試合の完全な映像は試合終了2時間後にはアップされているそうなので、驚くべきスピードです。

Bリーグはプロ野球やJリーグを超える可能性がある

Bリーグは、運営および強化の両面で、データを最大限活用し、これまでの日本のプロリーグにはなかった取組を実施しています。現在は土台が整ったばかりなので効果はまだまだ限定的ですが、時間が経つにつれて、効果は具体的に現れてくると思います。そして、効果が具体的に現れた時には、Bリーグはプロ野球やJリーグに匹敵するどころか、それ以上の規模をもつプロリーグになっているかもしれません。Bリーグは「BREAK THE BORDER」を掲げて立ち上がりましたが、「BREAK THE BORDER」をなし得るためのキーが、データなのです。今後のBリーグに期待したいと思います。

明日はysmaster007さんの「川崎ブレイブサンダースの歴史(1995年~2000年まで)」です。お楽しみに!

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