nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

なぜAllianzはスタジアムのネーミングライツを取得するのか?-ネーミングライツとブランディングを考える-

   

「Brand Finance」というブランドコンサルティング会社が、「FOOTBALL 50」というレポートを発表しています。Web上に公開されていて、無料で読むことが出来るレポートなのですが、ヨーロッパのフットボールクラブのブランド力を、様々な視点で分析しているレポートです。英語のレポートなのですが、インフォグラフィックが使われていて、直感的に内容が理解できる箇所も多いレポートになっていて、読み応えがあります。

個人的に、このレポートを読んでいて興味をもったのは、「The Name of The Game」というインタビュー記事です。

これは、Allianzのグローバルブランド部門の責任者を務めるChristian Deuringerに、「なぜ、Allianzはスタジアムのネーミングライツを取得するのか?」というテーマでインタビューしている記事です。

Allianzがネーミングライツを取得しているスタジアムとしては、バイエルン・ミュンヘンと1860ミュンヘンが本拠地として運営している「Allianz Arena」が有名です。しかし、Allianz Arenaを含めて、Allianzがネーミングライツを取得しているスタジアムは、世界中に5つもあります。なぜ、Allianzはネーミングライツに力を入れているのか。そこには、Allianzの明確な狙いがありました。

スポーツを企業のPRにいかに活用して、ブランド力を高めていくのか。非常に興味深い記事だったので、個人的に印象に残った部分を紹介したいと思います。

従業員、取引先に「誇りを持ってもらう」

まず、「ネーミングライツはブランディングに寄与しているのか?」という質問に対して、Allianzは「スポーツは世界共通の言語であり、人々を惹きつける力がある」と語っています。その上で、Allianzがスタジアムのネーミングライツを取得するのは、「Allianzという企業に対して、従業員、取引先といったステークホルダーに対して、誇りをもってもらう」ためだというのです。

例えば、オーストラリアでは、Allianz Stadiumというスタジアムがシドニーにあるのですが、ネーミングライツを取得したことで、ブランドイメージの向上に大きな効果があったと、語っています。

長期間にわたって契約する

Allianzは、ブランドイメージを定着させるために、ネーミングライツは長期間にわたって契約を締結するようにしているそうです。

例えば、Allianz Arenaは、2041年(!)まで契約を結んでいます。Allianzはドイツ・ミュンヘンに本社がある、世界最大手の生命保険会社です。つまり、ネーミングライツに関する長期にわたる契約は、Allianzという企業が、個人に対しても、社会に対しても、明確なコミットメントを持った上で、安心、信頼できる存在であるということを、分かりやすく説明するためでもあるのです。

スタジアム立ち上げのタイミングで契約する

そして、Allianzがネーミングライツを取得する時に重視している事があります。それは、スタジアムが建設される時、つまり、立ち上げのタイミングで、ネーミングライツを取得するというのです。

なぜ、立ち上げのタイミングで、ネーミングライツを取得するのか。それは、スタジアムが建設された時に、ネーミングライツを取得しておき、長期間名前を維持すれば、Allianzの名前が、広く、長く、定着するからです。目的はあくまでも、Allianzという企業の事を、より多くの人に知ってもらうこと。Allianzの狙いは明確です。

ヨーロッパとアメリカのネーミングライツの違い

面白かったのは、アメリカとヨーロッパによって、ネーミングライツに関する考えが異なるのではないかという指摘です。

Allianzは、アメリカだとホームタウンを移転するチームというのはなくはないけど、ヨーロッパではそういうことは考えられない、と指摘しています。例えば、バイエルン・ミュンヘンが他の都市にそのまま移るということは、クラブ名(バイエルン州のミュンヘンのチームだから、バイエルン・ミュンヘン)の由来から考えても、ありえないというわけです。

Allianzの取組から学ぶこと

Allianzの取組から学ぶことがあるとすれば、ネーミングライツを活用したブランディングは、長期間にわたって支援し続けることが、前提だということです。長い間都市に根付いているサッカークラブとスタジアムに、ネーミングライツという形で支援する立場を明確にします。クラブを長期間支援し続けることで、企業の事を知ってもらい、信頼も獲得することで、企業のサービスや製品のファンになってもらう人を、なるべく増やす。そこに、ネーミングライツの価値があるのだと、僕は思います。

日本だと2〜3年おきにスタジアムの名前が変わったりしますが、それではネーミングライツの効果は出ません。ブランディングは、長期間にわたるサービスや商品の品質がお客様に評価され、初めて成し得られます。一朝一夕で身につくものではないということを、消費者としても、スポーツ好きとしても、理解しておく必要があると思うのです。

Allianzはネーミングライツ事業について、「明確にゴールは設けていない」そうです。ネーミングライツ事業は成長し続けているので、Allianzとしては引き続きネーミングライツに力を入れていくと語っています。2014年には、ブラジルにAllianz Parqueというスタジアムのネーミングライツを取得しています。

今後、ネーミングライツというビジネスは、どうなるのか。Allianzの取組に注目しつつ、引き続き考えていきたいと思います。

関連商品

 -