努力の跡が見えないメッシ、努力の跡が見え始めたイチロー

Wikipediaによると、リオネル・メッシは、17歳でトップチームデビューして以降、8度のリーガ・エスパニョーラ優勝、4度のUEFAチャンピオンズリーグ優勝に貢献。自身も5回のバロンドールを受賞し、5回のチャンピオンズリーグ得点王と4回のリーガ得点王を獲得しています。FCバルセロナで2008-09年から背番号10を背負うようになってからは、9シーズン全てで45試合以上に出場し、35ゴール以上を挙げています。2011-12年シーズンに記録した、公式戦60試合で73ゴールという記録は、当分破られることはない記録だと思います。

僕がリオネル・メッシが凄いと思う点は、2つあります。

1つ目は、安定して他の選手が真似出来ない成績を残している事です。

公式戦で45試合以上に出るということは、1年通して長期離脱するような怪我をせず、試合に出られるコンディションをキープしているという事を意味します。FCバルセロナというチームで出場し続けるということは、中3日のスケジュールで、リーグ戦、国内カップ戦だけでなく、UEFAチャンピオンズリーグの試合のため飛行機で別の国に移動し、試合をすることでもあります。長距離の移動をして、気候の変化などにも対応した上で、試合に出続けるのは簡単ではありません。ましてや、メッシはアルゼンチン代表の中心選手でもありますので、代表戦があるときは、南米に長距離移動して、試合を行います。

試合に出るのは当たり前。ゴールを奪うのは当たり前。メッシは世界一の選手として、世界一高いハードルを10年近くクリアし続けています。対戦相手だって、メッシの強みは承知した上で、様々な対策を講じています。しかし、メッシはそんな対策を打ち破り続けています。24時間をサッカーに捧げ、規則正しい生活を繰り返し、トレーニングと休息を行い、100%以上の努力を捧げなければ、相手の対策を打ち破り続ける事は出来ません。

2つ目は、努力の跡をみせない事です。

メッシは、ずば抜けた成績を長年続けているにもかかわらず、普段どのような生活をして、どのようなトレーニングをしているかといった情報が、あまり伝わってきません。長年に渡ってずば抜けた成績を残しているので、当然凄まじい努力をしているのだと思います。チームのトレーニング以外にも、個人的なトレーニングをきちんと行い、休息をきちんととって、次の試合によりよい状態で臨むためのコンディションを整える。自分より背が高い選手、足が速い選手、身体が大きな選手など、優れた選手と対戦し、上回っていくためには、向上し続けるしかありません。

ただ、メッシという選手には、あまり努力の跡が感じられません。軽々と、誰も出来ない事をやっているように見えます。たぶん「努力の跡を見せるのは好きではない」のだと思いますが、努力の跡が見えないのは、まだまだメッシの能力が、他の選手の能力を圧倒的に上回っているからだと思います。

僕は、スポーツ選手の能力に陰りが見えるときというのは、「努力の跡が見えた時」だと思っています。自分はこんなトレーニングをしている、こんな事を考えているなど、今まで積極的に発信していなかった選手が発信し始めたら、それは自分の力が衰えていると認め始めた証拠。そう感じています。(ダルビッシュ選手のように、後に続く人のためにトレーニングを公開するのは、別の話)落合博満は選手生活の晩年、積極的にトレーニングを公開するようになりました。努力の跡を見せなくない男が、努力の跡を見せ始めた時、僕は選手生活の終わりが近いと感じました。

最近、努力の跡を公開するようになった選手がいます。イチローです。

イチローはこれまでトレーニングの様子など、努力している様子を積極的に公開してきませんでした。ところが、最近のイチローは、どのようなトレーニングをしているのか、オフに何をしているのかといった情報を、積極的に公開するようになっています。僕はイチローという選手が積み上げてきた成績や、途方もない努力に対して尊敬していますが、努力の跡が見え始めたところから、選手生活の終わりが近づいているのだと感じています。

メッシは自分の力が衰えた時に、どのように振る舞うのか。僕はメッシの成績より、そこに注目しています。当分そんなメッシは見れない気がしますが、楽しみにしています。