2017年のメディア現在地雑感-新聞やテレビより、Webメディア発のスクープを目にするようになった-

2017年を振り返る文章を書こうと思い、様々なテーマを考えました。よく読まれた記事TOP10、noteの売り上げTOP10、紹介した本のTOP10、川崎フロンターレや名古屋グランパスの選手レビュー、今年会った人の裏話、ツイートで振り返る2017年、などなど。いろいろ考えたのですが、あえてこんなテーマにします。

2017年「スクープ」と呼ばれる記事の発信源が、新聞、雑誌、テレビといった「大手メディア」ではなく、Webメディアに移った1年だった気がします。「文春砲」と呼ばれる文春オンラインによるスクープ、Buzzfeedによる「はあちゅうが著名クリエイターのセクハラとパワハラを証言」など、Webメディアが発信したスクープを目にするようになった1年だったような気がします。新聞、雑誌、テレビといったメディアは、Webメディアが発表した記事を取り上げるといった具合に後追いの動きをするケースが増えてきた気がします。

個人の発言力の増加とメディアの取材力の減退

これまでも、企業の問題をSNSで個人が告発し、大きく広がるという動きはありました。2017年もこうした動きは変わりません。しかし、2017年になってから、Webメディアが独自に取材して得た情報を、どこよりも速く、誰も知らない状態で配信するという取組をする機会が増えたと感じています。

この動きが増えた理由としては、SNSを利用する人が増え、多くのフォロワーをかかえる人の発信力が強まり、Webメディアと共同で手を組むことによって、より多くの人にコンテンツを届けられるようになったこと。新聞やテレビを辞めて、Webメディアに転職する人が増えたことなど、様々な要因が考えられます。例えば、Buzzfeedの編集長を務める古田大輔さんは、朝日新聞デジタル編集部からBuzzfeedに移っています。あるテレビ局から、スポーツ動画配信サービスの会社に移った人がいるという話を聞きましたし、Webメディアにも面白い書き手が増えてきました。

雑誌メディアの強みを活かしたコンテンツを作った「Number」

2017年は新たなWebメディアをたくさん目にするようになりましたが、まだまだ玉石混交という気がします。掲載している医療情報の信憑性が問題視された、DeNAのWelq問題が話題になったのは、1年前の2016年11月です。事実を伝えることと、オピニオンを伝えることの使い分けを、まだまだWebメディアは出来ていない気がしますし、その点においては、新聞、雑誌、テレビといったメディアにアドバンテージがある気がしています。

2017年でもっとも印象に残った特集を組んでいたメディアは、「Number」です。2017年6月、当時執行猶予期間中だった清原和博の独占インタビューを掲載しました。2016年2月に覚醒剤取締法違反で逮捕された清原に対して、Numberは2016年8月に「【13本のホームラン物語】 清原和博 打たれたライバル全員が語る。 」と題して、清原和博の特集を掲載。清原が最も輝いていた頃の話を記事にし、「清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実」という書籍で出版されました。

最近のNumberは「あいつは終わった」と呼ばれた選手に対する特集を組むことで、他のスポーツメディアとの差別化を打ち出しています。2017年4月には、「2017年の松坂世代」と出して、松坂大輔の独占インタビューを掲載。福岡ソフトバンクホークスに移籍後、右肩の痛みが原因で満足に投げる事が出来ない松坂のインタビューを掲載しました。

Webメディアはどうしても「今流行っている」話題を掲載しがちですが、多くの人が見逃しがちなコンテンツを、きちんと作り上げて制作する力は、まだまだ新聞、テレビ、雑誌といったメディアの方が優れています。2017年は、新聞、テレビ、雑誌、Webといったメディアの垣根がなくなり、どこが面白いコンテンツを作り、どう配信するのか。その仕組みを考え、実行できるメディアに対する信頼が高まった1年のような気がします。それは、はあちゅうさん、西野亮廣さん、ゆうこすさんのような個人に対しても同様です。

アスリートやメーカーが独自に情報を配信

以前「プロスポーツクラブのメディア化と日本のプロスポーツクラブの課題」という記事を書きましたが、スポーツクラブがメディアとして独自のコンテンツを配信する動きも加速しています。マンチェスター・シティのYouTubeチャンネルは、プロスポーツクラブとしては初めてチャンネル登録者が100万ユーザーを突破。自分たちで動画を編集するスタジオを備えているマンチェスター・シティは、YouTuberとも手を組みながら、様々なコンテンツを配信しています。

日本でも、コンテンツを独自に配信していこうという動きが出てきています。いわきFCのメインスポンサーである、アンダーアーマーの総代理店の株式会社ドームは、「有明放送局」というスタジオ機能を本社に作り、動画の配信、ラジオの収録、いわきFCの生放送配信など、自らコンテンツを製作し、配信していく動きを見せています。

選手個人がコンテンツを配信する動きも広まっています。FCバルセロナのジェラール・ピケは、「The Players Tribune」でネイマールへのインタビューを実施。対談ではなく「インタビュー」というところが、このコンテンツの面白さです。ピケは「パネンカ」というスペインで話題の雑誌で、「メディアなんて必要ない」と発言し、話題になりました。

日本では、ジェフユナイテッド千葉の近藤直也が発起人となって、Facebookグループ「WHISTLE」を立ち上げ。ジェフユナイテッド千葉の選手のプレー以外の動画、写真を掲載し、登録者は1,400人を超えています(2017年12月現在)。こうした、選手個人がメディアとして、発言力を活かして、自らをメディアとして活動していく機会は増えてくると思います。

メディアという場をいかして、どのように活動していくのか

僕自身は、2012年11月に「nishi19 breaking news」を立ち上げ、6年目に突入しました。2017年はnoteで有料でのコンテンツ配信にも挑戦し、一定の成果を得ることが出来ました。ただ、今後メディアの形がどんどん変わり、プロとアマチュアの垣根がどんどん分からなくなったり、入れ替わったりするようになるなかで、このメディアをどう運営していったらよいのか。そして、このメディアを活かしながら、どのような活動をしていけばよいのか。ひたすら考え続けております。

2018年がどんな年になるか。「こんな年になる」とは言い切れませんが、様々な立場の人にお会いし、意見を伺うことで、どんな年になるのか、自分なりに把握していきたいと思ってます。

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