フロントスタッフを雇用するコストは、選手を雇用するコストよりもかかる?

2018/01/13

僕自身が認識している事を備忘もかねて書いておきたいと思います。僕はスポーツビジネスは専門ではないので、ちょっと極端な表現が入っているかもしれませんが、ご了承ください。

選手が結んでいる契約とフロントスタッフの契約は違う

前提として、選手・監督・スタッフといった方々は、たぶん「業務委託契約」を結んでいるのではないかと推測します。業務委託契約とは、企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける働き方です。どんな仕事内容を、いくらで、どのように遂行・完了させるか等、仕事の内容ごとに契約を結んで働きます。 業務委託契約にも「委任契約」と「請負契約」と2種類ありますが、一旦ここでは割愛します。

業務委託契約では、当たり前ですが、委託される仕事の内容によっては在宅勤務ができたり、勤務地・勤務時間は関係なく自由に働けたり、といったメリットもあります。また仕事の成果が、直接収入に繋がるため、実力や努力によっては高収入が期待出来るというメリットがあります。一方で、所得税、住民税の手続きは自分でやらなければなりませんし、社会保険の加入も、福利厚生もありません。

これは推測ですが、プロスポーツクラブの業務委託契約で定められる契約金額には、税金や社会保険料や国民年金の負担は含まれていないので、契約金額の中から自分で支払う必要があるはずです。「フリーランスになると会社員時代の3倍稼げ」と言われると聞いたことがありますが、これは自分の手取りの給料だけでなく、税金や社会保険料を自分で支払わなければならないからです。

「フリーランスになると会社員時代の3倍稼げ」という話に基いて計算すると、会社員で給料40万円もらっている人が稼がなければならない金額が3倍の120万円になります。12ヶ月分だと1,440万円。2016年の時点でJ1選手の平均年俸は2,170万円だそうですが、Jリーガーが1,000万円以上の年俸をもらっていても、そこまで贅沢な暮らしが出来ないような気がします。

フロントスタッフを雇うコストも安くはない

一方、年収500万円の会社員を雇う経費は、給料、社会保険料、厚生年金を含め、給料の3倍ほどかかると言われています(計算しやすくちょっと多めにしました)。年収500万円の3倍が1,500万円なので、事業部門のスタッフを雇用する場合、1,500万円の選手1人に支払う金額と、同じくらいのコストがかかることになります。プロスポーツクラブが事業部門の仕事をするスタッフをなかなか雇用しない理由が少し分かる気がしてきました。

選手の場合は、悪くいうと契約期間が終了すれば雇用しなくてもよいですし、たぶん途中で契約を打ち切ったり、移籍出来るような条件で契約を結んでいると思います。一方、社員契約を結んだら、簡単には契約終了とは出来ません。契約終了に出来ないということは、選手に比べて契約のハードルが高いという事も意味し、事業部門のスタッフが雇用されない要因ではないかと、僕は考えております。僕は何度か事業部門のスタッフの給料が少ないことを訴えてきましたが、事業部門のスタッフが薄給なのも、選手に払うコストを下げているクラブが、選手と同じようにコスト計算した結果なのかもしれないと思うと、少し複雑な気持ちになります。そして、このコストには、採用のために募集するコストは含まれていません。スポーツクラブの経営状態は、想像以上にギリギリなのかもしれません。

僕が言いたいのは、極端かもしれませんが、「フロントスタッフ1名採用するのは、選手と同じかそれ以上にコストがかかる」という事です。フロントスタッフは、選手と同じくらい大変だし、結果も求められます。フロントスタッフにどれだけコストをかけ、採用をきちんとやれるクラブかどうかが、チームの勝敗を分けるのではないかと思います。

フロントスタッフにコストをかけたチームは強くなる

だからこそ、僕はフロントスタッフに適切なコストを払い、働きやすい環境を整え、成果を挙げているチームは、今後大きく飛躍するのではないかと思いますし、V・ファーレン長崎の社長に就任した高田明さんは、流石にそのことをよく分かっているなぁと感じます。

コストがかかるからこそ、しっかりフロントスタッフに投資しているチームはどこか。僕は注目していきたいと思います。

photo by chelmsfordblue