失敗できる場所

数年前に、フジテレビで「桑田佳祐の音楽寅さん」という番組が放送されていた。
桑田佳祐さんが、毎回様々なテーマで音楽に関する取り組みをする番組で、
刑務所の慰問ライブ、ミスター・チルドレンの桜井さんとのカラオケ対決、声に出して歌いたい日本文学など、
既存の音楽番組では行われない様々な取り組みを放送してくれる番組でした。

僕は毎週放送を楽しみにすると同時に、ある疑問も抱いていました。
なぜ桑田佳祐さんは、こんなに真剣にバラエティに取り組むのだろうか、と。

音楽だけやっていればいいじゃないか。
サザンオールスターズでヒット曲作ってればいいじゃないか。
そう言われるのも覚悟で、桑田さんはあの番組に取り組んでいたのだと思う。

正直いうと、番組が放送されていた頃は、あの番組をやっていた理由が分からなかった。
番組は面白かったけど、テレビに出る必要はないのに。そう思っていた。

でも、今なら桑田さんがあの番組をやった理由が分かる気がする。
たぶん桑田さんは、いろいろと試したかったのだと思う。

どんな天才であろうとも、ヒット作を量産するのは簡単ではありません。
ヒット作を作るには、どうしたって、手間暇がかかる。
手間暇をかけてヒット作を作っている間に、自分の考えが、世間のニーズとずれてしまうこともあるだろう。

桑田さんは、じっくり時間をかけて作品を作る人だ。
だからこそ、桑田さんは、自分の考えがあっているのか、試しておきたかったのだと思う。
サザンオールスターズでは、失敗は許されない。確実に当てにいかなきゃならない。
でも、音楽寅さんなら、多少の冒険は許される。
桑田さんは、失敗できる場所を作った上で、当てる確率を高めようとしたのではないか。今の僕はそう考えている。

会社の同僚が、本を読んで学んだことや、ネットで調べたことを、
お金をもらっているクライアントに対して、簡単に提案しているのを、僕は凄く危険だなと思ってみてきた。
自分で実際に当たるかどうか確証がないものを、失敗が出来ない場所で試す。
よくもまぁ、そんなことが出来るなぁ、と思ってきた。でも、僕は言い返す言葉がないので、黙っていた。

僕がブログを始めた理由の一つは、失敗する場所が欲しかったのだ。
いろいろ、自分がやりたいことを試したい。そんな場所が欲しかったからだ。

ブログを初めて5年。失敗出来ない場所は、noteに移した。
僕は再び、失敗できる場所で思い切りいろいろ試したい。そう思っている。