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第19回 JFLファーストステージ第5節 ブリオベッカ浦安対FC今治 レビュー「FC今治のサッカーはNBAのあのチームに似ている」

   

第19回 JFLファーストステージ第5節 ブリオベッカ浦安対FC今治は、2-0でFC今治が勝ちました。試合は終始FC今治がボールを保持し、試合をコントロールし続けました。後半途中に相手に攻め込まれる時間帯もありましたが、2-0で勝利という結果は、妥当な結果だったと思います。

僕は、2016年の地域決勝を2試合、そしてこの試合を含めて、FC今治の試合を3試合観戦しました。FC今治といえば、元サッカー日本代表監督の岡田武史さんがオーナーを務め、従来のサッカークラブとは違うビジョンを掲げたクラブ運営を勧めています。岡田さんがFC今治のオーナーを務める事になったのは、「新しいサッカーの「型」を作りたい」と考えたのがきっかけでした。「型」の事は、通称「岡田メソッド」と呼ばれ、岡田さんがクラブのオーナーになってから、具体的に取り組みを始めています。そして、2016年シーズンから、元U-17日本代表の吉武博文さんが監督に就任してから、徐々に「岡田メソッド」として目指すプレーが、チームで表現されるようになってきたと感じます。

「岡田メソッド」は、どのようなサッカーを志向しているのか。

「岡田メソッド」は、どのようなサッカーを志向しているのか。僕がFC今治のサッカーを観ていて感じた事は、2点あります。

1つ目は、「ボールを出来るだけ長い時間保持しよう」という点です。ボールを出来るだけ長い時間保持することのメリットは、2点あります。1点目は、ボールを保持している間は攻撃する権利は自分たちにあるということです。そして、2点目は、ボールを保持している間は、相手に攻撃される事はないと言うことです。FC今治は、出来るだけ自分たちが攻撃する権利を保持する時間を長くし、相手に攻撃される時間を少なくするという事を志向しています。

「ボールを出来るだけ長い時間保持する」ために、FC今治はこの試合でも様々な取組を実践しています。まず、味方がボールを持った時、他の味方がボールを受けるために相手の守備者から離れたり、守備者同士の間に立ったりと、様々な動きで、相手を「外す」動きを実践します。そして、相手を外す動きは、1人だけじゃなく、何人もやります。その動きを繰り返し行う事で、パスを出すコースを作り出し、円滑にパスが回せるように工夫しています。

また、フォーメーションもボールを出来るだけ長い時間保持できるように工夫しています。FC今治は、守備時は4-1-2-3というフォーメーションで戦っていますが、攻撃時には3-1-3-3というフォーメーションに変わります。左サイドバックの中野が、攻撃時はMFの上村や三田といった選手と同じ高さまで上がり、MFの1人としてプレーします。3-1-3-3というフォーメーションは、自然と選手同士が三角形を作り出すので、ボール保持者が自然とパスコースが作りやすくなっています。

「ボールを出来るだけ長い時間保持する」というコンセプトを実現するために、選手間の距離を短くしています。選手間の距離を短くすることで、ロングキックが得意ではない日本人でも素早くパスを繋ぐ事が出来ますし、万が一ボールを奪われても、素早く相手との距離を詰め、ボールを奪い返すための守備に移行する事が出来ます。

2つ目は、「シュートチャンスをチーム全員で作り出し、チーム全員でゴールを決める」という点です。FC今治の戦い方を3試合追いかけて感じたのは、中央のFWで起用される選手は、固定されていません。対戦相手によって、チームが実践したいことによって、最適な選手を選択して起用しています。この試合では、前半はDFの背後でパスを受けるのが上手い長尾を起用し、相手のDFラインを下げさせてから、後半は長身のスティーブン・レンハートを起用し、高さとボールキープ力を活用して相手を押し込もうとしました。

また、「シュートチャンスをチーム全員で作り出す」というコンセプトがよく現れているのが、FC今治のスターティングメンバーです。この試合のFC今治のスターティングメンバーを見ると、ボランチと呼ばれる中央のMFが得意な選手が、GKを除く10人中7人名を連ねていました。川崎フロンターレで中央のMFを務めていた可児は左FW、筑波大学出身でツエーゲン金沢で中央のMFを務めてた玉城は右DFといった具合に、中央のMFが得意な選手を多く起用していました。

中央のMFが得意な選手は、足が速い選手は多くありませんが、ボールを扱う技術に優れ、狭いスペースでプレーすることに慣れているので、相手の守備者を外す動きに長けています。また、中央のMFが得意な選手は、チャンスを作り出すプレーを得意としている選手が多く、DF、MF、FW、サイド、中央と場所とポジションにこだわらずに、シュートチャンスを作り出すためのプレーが選択できるのではないかと、考えているのでしょう。

FC今治は、特定の選手に得点を取らせるという考え方が無い代わりに、チーム全員でシュートチャンスを作り出し、誰か最適なポジションにいた選手がシュートをうち、得点を奪う。そんなコンセプトでチームを作っていることが、スターティングメンバー、選手の動きから伝わってきました。

FC今治のサッカーはゴールデンステート・ウォリアーズのバスケに似ている

僕はFC今治のサッカーを観ながら、こういうプレーをするチームをどこかで観たことがあるなと思っていました。ペナルティエリアの付近の崩し方は似ていますが、川崎フロンターレのサッカーとも違います。FCバルセロナとも違います。色々考えて僕が似ていると思ったチームを思い出しました。しかしそのチームは、サッカークラブではありませんでした。NBAのゴールデンステート・ウォリアーズです。

ゴールデンステート・ウォリアーズは、2年連続MVPのステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、ケビン・デュラントといったオールスタープレーヤーを揃えています。ゴールデンステート・ウォリアーズの特徴は、シュートチャンスの作り出し方です。チーム全員がスクリーンをかけ、ボールを受けるために動き続け、最適なポジションでパスを受けた選手が、シュートを決める。この戦い方を、シーズン通して実践しています。カリーやトンプソンの3Pシュートに目がいきがちですが、カリーが最も得点を決めているのは、彼が最もボールが無い時に「受ける」「外す」動きが上手く、シュートが上手いからです。シュートチャンスの作り出すためにやるべきプレーは、カリーも、トンプソンも、皆一緒です。

ゴールデンステート・ウォリアーズは、「スモールラインナップ」と呼ばれ、背が高く、パワーを特徴とした選手はあまりいません。もちろん、ドレイモンド・グリーンのように、背が高い選手に対するディフェンスが出来る選手はいます。しかし、その特徴もチームが円滑に機能するための要素でしかありません。シュートチャンスを全員で作り出し、最適な選手がシュートを打つ。守備においては、キーマンを抑える選手を中心に、やるべき事をきちんとやる。そんな選手が揃っているチームなのです。サッカーに例えるなら、中央のMF(ボランチ)が多いチームといえるんじゃないかと、僕はゴールデンステート・ウォリアーズのプレーを観ながら感じていました。

ゴールデンステート・ウォリアーズの試合を観ながら、こんなサッカーをするチームが現れたら楽しいだろうなと思っていたのですが、FC今治の戦い方、目指しているコンセプトは、とても似ています。もちろん課題も多く、スティーブン・レンハートを起用した後半は、コンセプトにあわない選手が入ったため、チームが機能しなくなりました。まだまだ、相手を外す動き、パススピードも遅く、もっと改善の余地はあります。

しかし、FC今治が考える「ボールを出来るだけ長い時間保持する」「シュートチャンスをチーム全員で作り出す」というコンセプト、これが「岡田メソッド」として実践していこうとするサッカーの一端ならば、僕は今後がとても楽しみです。FC今治が今後どんな戦いをするのか。どのように「岡田メソッド」が発展し、形となって現れるのか、楽しみです。

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