カードの切り方が人生だ。書評「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」(岸見 一郎,古賀 史健)

2014/09/30

昔、「カードの切り方が人生だ」というコピーが使われていたCMがありました。このCMは、オダギリジョーが様々なシチュエーションで選択を迫られるというもの。選択する内容はオダギリジョーの手元にあるカードに書かれていて、選択した結果は当時Webサイト上に公開されていた動画で閲覧できるような仕掛けになっていました。オダギリジョーの軽妙なナレーションと、最後にWebサイトに誘導する「続く!」という言葉を覚えている人もいると思います。

「カードの切り方が人生だ」という言葉は、企業名の「ライフカード」からきている言葉なのですが、自分が置かれているシチュエーションにおいて、どの選択肢を選択するかによって、その後の人生が大きく変わるという、人生の真理を暗に伝えていたCMだったと思います。

本書「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」を読み終えて思い出したのは、このライフカードのCMでした。

すべての行動は自らの選択である

ライフカードのCMのコピーの信憑性は、実はある心理学の理論が裏付けています。それは、「選択理論」という心理学の理論です。

「選択理論」とは、「すべての行動は自らの選択である」であるという考え方に基づいた心理学です。言い方を変えると、今自分が身をおいている環境も、自分が積み重ねた選択の結果であり、他者などの外的要因によるものではないのだという考え方です。

この考え方は、本書に書かれている「あなたはあなたのライフスタイルを選んだ」という言葉と合致します。そして、「ライフスタイルを変えたければ、それを選択するのはあなた自身だ」というわけです。

自分のやりたいことをやる。それは、少なからずとも痛みを伴います。痛みは自身ではなく、他者が負うこともあるでしょう。しかし、その痛みは、現在の自分に至る際にも、少なからず自身も変化による痛みに耐えてきたはずです。そして、どんな生き方をしても、痛みを追わずに生きることは出来ません。理不尽な上司や取引先からの言葉に、ストレスを感じているように。

だからこそ、どの痛みを負うのか。人から与えられる痛みに耐えて生きるか、自ら変化する痛みを選んで生きるか、はたまたどちらでもない生き方か。人には選択する自由がある。それが、本書が伝えたいことだと思います。

自分にとっての幸せは、自分で決める

自分にとっての幸せは、自分で決めることなのだと思います。

仕事で目標を達成することが幸せな人、仕事終わりに居酒屋で1杯のビールを飲むことが幸せな人、あるいは美味しいお弁当が作れることが幸せな人もいるかもしれません。そして、重要なのは、自分にとって幸せなことで、他者の幸せに「貢献すること」。あるいは「貢献しているという実感(貢献感)をもつこと」。他人に自分の幸せを肯定してもらえなくてもいいのです。

ちなみに僕にとっての幸せは、「子供と遊ぶこと」「妻に毎朝コーヒーを入れる」「サッカーでよいプレーをする」「ブログを毎朝書く」といったところでしょうか。
自分にとっての幸せとは、何か。考えなおすきっかけになる1冊です。

関連商品