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ワールドカップブラジル大会代表メンバーからザッケローニの意図を考える

   

昨日、サッカーワールドカップブラジル大会の日本代表が発表されました。予想通りだった人、予想外だった人、見方によってはそれぞれだと思います。ただ、ザッケローニ自身の考えがよく反映されたメンバーだと思いました。

重視した「ユーティリティー」

ザッケローニは、記者会見の冒頭で「23人を選んだ基準と、決断のタイミング」について、以下のように語っています。

基準はまず“才能”。それに関してはたくさんの該当選手がいた。次にチームの“和”を大切にすること。グループ力が非常に大切になる。最後が“戦術的理解度の高さ”もしくは“ユーティリティー”。できるだけ多くの選手が2つ以上のポジションができることを選考の基準にした。

インテンシティー(プレー強度)を出せる能力も選考基準。今大会、自分たちにはやりたいサッカーがある。それを出すためには、主導権を握っていかなければいけない。リアクションサッカーではなく、自分たちがやりたいものを出せる選手を選考した。それに加えて、同じ実力の選手が2人いたら、若い選手を選択したと最後に付け加えておく。タフな移動スケジュール、高温多湿な環境でやっていくうえで、フレッシュな選手を選びたかった。

また、ここ最近非常に良いパフォーマンスを見せている選手もいたが、準備期間も限られているので、今まで一緒に積み上げてきた選手を大切にした。23人は私の頭の中ではかなり前から決まっていた。でも、最後の最後まで考えたかったので、先週末も広島に行った。悩みどころは、ボランチを1枚多く連れていくかどうかだった。そうするとFWやDFから1枚削ることになる。最終的にはたくさんの攻撃的な選手を選ぼうと決断した。ブラジルで、主導権を握りながら日本のサッカーをするためには、このメンバーが正しいと考えている。

今回の日本代表は、必ず1つのポジションに2人の選手が選ばれています。怪我人が多いポジションや、怪我や出場停止のリスクがあるセンターバックやボランチの選手を多く選ぶこともあるのですが、ザッケローニはそうしませんでした。このメンバーからも、「主導権を握りながら日本のサッカーをする」という強い決意が感じられます。

今回のメンバー選考では、ザッケローニが語っていたように、「ユーティリティー」と「ボランチ」の人選に特に悩んだということが、メンバーの人選からも伝わってきました。先週末も広島に行ったのは、青山敏弘の状態をチェックしに行ったことからも、ザッケローニの悩みが現れています。

各ポジションの選考意図について、僕なりに考えてみました。

GK:順当な選考。スタメンは川島か西川か。

川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)
西川周作(浦和レッズ)
権田修一(FC東京)

GKは、順当に川島、西川、権田の3名が選ばれました。この3名は代表に選ばれても、高いパフォーマンスを披露し続けてきましたので、順当な選考だと思います。

注目は、スタメン争いです。スタンダール・リエージュでも結果を残し、競り合いの強さやセービング能力の高い川島がスタメン争いをリードしているように思えますが、主導権を握りながら日本のサッカーをすることを突き詰めるなら、キックの技術に優れている西川は捨てがたいものがあります。

前回大会は、直前でGKが楢崎から川島に代わりました。僕は、1戦目まで誰がレギュラーになるか分からないと思っています。今後は、GKのスタメン争いに注目です。

DF:サプライズはなし。「主導権を握る」ための選考

今野泰幸(ガンバ大阪)
伊野波雅彦(ジュビロ磐田)
長友佑都(インテル/イタリア)
森重真人(FC東京)
内田篤人(シャルケ04/ドイツ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ)
酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ)

DFは、以前から日本代表に選ばれている選手が順当に選ばれました。

日本代表の守備の弱点でもある「高さ」と「スピード」に特徴を持つ選手ではなく、ボールが扱う技術が高く、攻撃力が高い選手が選考されました。したがって、守備力に特徴がある闘莉王も中澤は、選ばれませんでした。このメンバー選考からも、「主導権を握って戦う」というザッケローニの強い意志を感じます。

複数のポジションがこなせるメンバーが多いのも、今回選ばれたメンバーの特徴です。長友と酒井高徳は、両サイドバックをこなせますし、伊野波もサイドバックが出来ます。森重と今野は、ボランチも出来ます。複数のポジションが出来る選手を選んでおけば、大会が進んで怪我人や出場停止の選手が増えても、選手の配置を変えることで対応することが出来ます。DFには、内田篤人、吉田麻也、酒井宏樹と怪我人がいるのも、ユーティリティな選手が選ばれた大きな要因だと思います。

MF:ボランチの選考に悩んだ理由

遠藤保仁(ガンバ大阪)
長谷部誠(ニュルンベルク/ドイツ)
本田圭佑(ミラン/イタリア)
山口蛍(セレッソ大阪)
青山敏弘(サンフレッチェ広島)

ザッケローニが記者会見で語ったように、メンバーをみても、ボランチの選考に頭を悩ませたことが窺えました。その理由は、レギュラーとしてプレーしていた遠藤と長谷部のコンディションです。

長谷部は膝の怪我からブンデスリーガの最終節で復帰しましたが、いきなりのフル出場。本田圭佑が以前半月板損傷の怪我をした時、復帰戦でフル出場しましたが、リバウンドが出て、再手術して長期離脱したことがありました。復帰したとはいえ、まだ油断が出来ません。また、遠藤の今シーズンのパフォーマンスは、決して好調とはいえません。ボランチではなく、FWで起用されていることもあるでしょうが、ボールを簡単に失う場面も見られます。

遠藤と長谷部という2人のパフォーマンスは、日本代表の成績を大きく左右します。この2人のコンディションが悪いことが、最後までザッケローニがボランチの選考に悩んだ要因だと思います。長谷部の怪我の具合を考えると、ボランチに中村憲剛や細貝を選ぼうか、と悩んでも不思議ではありません。僕は、トップ下の本田の控えも欲しかったことを考えると、中村憲剛を入れるか入れないかは、最後まで悩んだと思います。

ただ、ボランチを選んだら、FWを削らなければなりません。たぶん、選ばれたメンバーを考えると、ボランチを1人多く選んだ場合は、大久保が選考から漏れていたと想像します。つまり、ザッケローニの頭の中では、川崎フロンターレの大久保と中村憲剛は、「どちらかを選ぶ」という考えだったのだと思います。セットで選んだほうがより効果があったと思うのですが、ザッケローニは「1つのポジションに必ず2人の選手」という原則を優先した格好になりました。

個人的には、「主導権を握って戦う」なら青山より中村憲剛の方が適任なように思えるのですが、ザッケローニが語っていた「同じ能力なら若い選手を優先」という言葉を読み取ると、ザッケローニは中村憲剛と青山は同じ能力だと考え、年齢の若い青山を優先したのではないかとも感じました。

FW:大久保が選ばれた理由

香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
岡崎慎司(マインツ/ドイツ)
清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ)
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
大迫勇也(1860ミュンヘン/ドイツ)
齋藤学(横浜F・マリノス)
大久保嘉人(川崎フロンターレ)

個人的な最大のサプライズは、清武が選ばれたことでした。シーズン終盤のニュルンベルクのパフォーマンスを考えると、清武に代わって中村憲剛が選ばれると僕は思っていました。ただ、右サイドハーフに適任者がなかなか出なかったこともあり、最終的には清武がメンバーに選ばれました。ここでも、ザッケローニの「1つのポジションに2人」という原則は貫かれているわけです。

大久保の起用法としては、2パターン考えられます。1つはトップ下です。1トップ候補じゃないかという人もいると思いますが、ザッケローニは大久保は本田の控えとして考えているんじゃないかと思います。

川崎フロンターレでも、2トップというよりは、FWとボランチの間でプレーし、ボールを受けるプレーが得意です。このプレーは、日本代表では本田圭佑が得意とするプレーです。したがって、大久保を起用するなら、1トップではなくトップ下じゃないかと僕は思ってます。(だから、大久保と中村憲剛は「どちらかを選ぶ」という考えだったのではないかと思うのです。)

もう1つは、1トップのポジションです。特に試合終盤に得点を奪いに行きたい時、大久保のようにテンション高く試合に入っていける選手は貴重です。この2点を考慮して、ザッケローニは大久保を選んだんじゃないかと思います。

ドリブラーの斎藤が選ばれた理由は、左右どちらのサイドでもプレーできるからだと思います。原口元気と比べた時、原口は右サイドではパフォーマンスが落ちますが、齋藤は左サイドが得意ですが、右サイドでもパフォーマンスが落ちないのが魅力です。この点でも、ユーティリティが考慮されてます。

本当の戦いはこれから

ポジション別に代表選考を振り返りましたが、従来の代表選考とくらべて基準が明解で、監督の意図がよくわかるメンバーだと感じました。ただ、メンバーに選ばれたからといって、ワールドカップの試合に出られるわけではありません。選手の戦いはこれからです。ワールドカップ初戦まで、あと1ヶ月。じっくりコンディションを整えて、よいプレーが出来るように、チームを仕上げていって欲しいと思います。

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