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書評「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す」(高城剛)-魔法の世紀の始まり-

   

「2001年宇宙の旅」の作者アーサー・C・クラークは、「最先端のテクノロジーと魔法は見分けがつかない」と語っていたそうです。最先端のテクノロジーは、あまりにもよく出来ていて、魔法のように見えるのではないか。メディアアーティストの落合陽一さんは、アーサー・C・クラークの言葉を受けて、21世紀の事を「魔法の世紀」になるだろうと語っています。

そんな、魔法の世紀を象徴するようなテクノロジーが、21世紀になってから、少しずつ生まれています。iPhoneが発表されたのは、2007年。いまや、スマートフォンは人々の生活に欠かせないアイテムになりました。そして、スマートフォンの次に人々の生活を変えるテクノロジーとして注目を集めているのが、ドローンです。ドローンとは、無人操縦できる小型航空機のことです。

ドローンとは、どんなテクノロジーなのか。なぜ、ドローンが注目されているのか。名前だけはよく聞きますが、ドローンで何が出来るのか、何が起こるのか、理解している人は多くないと思います。そんなドローンについて、理解度を深める書籍がようやく世に出ました。それが、高城剛さんの著書「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す」です。

本書で語られているポイントは、3点あります。

ドローンとはなにか

1点目は、ドローンそのものについてです。どんなテクノロジーなのか、なぜドローンが注目されているのか、ドローンで何が出来るのか、ドローンによって未来はどう変わるのか。高城剛さんが、DJI、3Dロボティクス、パロットといったドローンメーカーに取材し、自分自身もドローンを活用した体験を交えて、語られています。

本書を読んでいると、ドローンが単なる小型航空機でも、ラジコンの延長線上にあるものでもないことが理解出来ます。ドローンにはCPU、メモリといった製品が積まれていて、GPSで位置情報を読み取り、地上のリモコン(スマートフォン)を使って制御されます。ドローンには制御用のOS/ソフトウェアが内蔵されており、カメラもつけることが出来ます。プロペラ以外に積まれているものは、スマートフォンと同じです。つまり、ドローンとは「空飛ぶスマートフォン」なのです。

スマートフォンが空を飛ぶことが出来るようになったことで、様々な事が可能になると考えられています。荷物を運んだり、人の手がとどかない場所の映像や写真を撮影することも出来るようになります。しかし、本質的な変化はもっと別のところにあるというのが、本書が伝えたいポイントだと思います。

ドローンが変える未来とは

2点目は、ドローンが変える未来についてです。

ドローンがなぜ人々の生活を変えると考えられているのか。それは、「空飛ぶスマートフォン」によって、今までデータで管理できなかった物質・サービスが、データで管理できるようになることだと思います。例えば、荷物だったら、あと何分何秒で家につくか分かるようになるし、お店の混み具合を調べるために、小型のドローンを飛ばして混み具合を調べる、なんてことも出来るかもしれません。災害時の物資運搬、救援救護、調査も、行動履歴から可視化し、データとして蓄積させ、最適化することが可能になるはずです。

つまり、ドローンがもたらすであろう未来は、「IoT(物のインターネット化)」ではなく、「ToI(インターネットの物化)」なのだと、僕は感じました。Googleはサーバー上に蓄積されたデータは検索することは出来ますが、リアル空間の物質は検索出来ません。しかし、スマートフォンと同等の機能を持ち、移動させることが出来るドローンを組み合わせることで、リアル空間の検索もインターネットのように可能になるのではないかと、本書では語られています。

日本はドローンの進化についていけていない

3点目は、ドローンがもたらす未来の進化に、日本がついていけていないことです。

ドローン市場をリードするのは、中国のDJI、アメリカの3Dロボティクス、フランスのパロットといったメーカーです。日本のメーカーの名前は、全く出てきません。ドローン業界には、パソコンやインターネットの創世記を支えた開発者たちが、続々と可能性を感じて参入しているそうです。ドローンは「ダブルドッグイヤー」と呼ばれるほど、凄まじいスピードで進化を続けています。しかし、「ものづくり大国」を自称する日本は、ドローン市場では全く存在感を発揮できていません。

高城さんはそんな現状を憂いつつも、日本が生き残る可能性と手段について、本書の中で提案しています。また、高城さんはマイクロアドと組んで、「Sky Magic」というドローンのプロジェクトを立ち上げました。日本の未来を憂いつつも、出来ることをしようとする姿勢には、とても共感をおぼえました。

「Sky Magic」は、”小型の無人航空機ドローン”と”照明などで使われるLEDライト”を使い、最先端のテクノロジーを駆使することで、LEDで発光した複数のドローンの動きと光を音や音楽に合わせて自動制御しながら飛行することにより空間をデザイン。イベント会場、フェスティバル会場、花火大会、ファッションショー、コンサート、球場やラグビー場などの大型スタジアム、テーマパークなどにおけるこれまでの演出に合わせて「Sky Magic」を活用することで、発光した複数のドローンによるロゴやオリジナルの文字や形、動きなど、話題性の高い新たな演出や展開が可能となるそうです。

僕が注目しているスポーツの世界でも、少しずつドローンの導入が始まっています。ドローンはどんな未来をもたらすのか。21世紀はどんな未来になるのか。本書を読みながらぜひ考えてみてください。

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