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最高の「起業の教科書」。書評「未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ」(加藤崇)

      2014/07/21

起業して成功した人の成功物語を描いた書籍は、世の中に山ほどあります。起業をすすめる人、起業のメリットを語る人もたくさんいます。しかし、どうしたら起業が成功するのか。成功するために、何をすればよいのか。成功するために何を考えたら良いのか。起業する上で、起業家が最も知りたいことについて書いた本は、実はそれほど多くはありません。

これまで、起業して成功するか否かは、個人の能力、周辺の環境といった、不確定な要素を成功・失敗の要因として語っていることが多く、体系的な事例や事柄がまとめられていない印象を持っていました。しかし、本書を読んで、考えが変わりました。これほど、起業を目指す上で必要なことを、分かりやすく、端的にまとめられた書籍を読んだのは初めてです。本書こそ、「起業の教科書」というべき1冊です。

前置きが長くなりましたが、本書「未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ」は、若き研究者たちとともに人型ロボットベンチャー「SCHAFT」を立ち上げ、Googleへの売却により巨額の研究資金を調達、同社を米国防総省主宰の二足歩行ロボットコンテストで世界一へと導いた著者が、起業について必要なことについて自身の考えをまとめた1冊です。

本書では、未来を切り拓くための5ステップとして、以下を挙げています。

  1. いつ始めるのか?なぜ始めるのか?
  2. 誰と作るのか?何を作るのか?
  3. 誰に、どうやって売るのか?
  4. どうやって会社を大きくするのか?
  5. いつも覚えておきたいこと

この5ステップに基づいて、著者の考えが述べられているのですが、印象に残った3つの考えを紹介したいと思います。

熱狂的なファンと、それが心底嫌いな人を生み出しているか

新しいことをすると、必ずそれを嫌う人が現れます。人は、誰かから嫌われる事を嫌います。商品のアイディアを考えるとき、ついつい、全ての人にウケる完璧な商品を作ろうと考えがちです。しかし、それを目指すと、「普通で」「面白みのない」商品になってしまうというわけです。

全員にウケるということは、結局は「普通」ということ。売り込みに行って、拒絶もされないし、熱狂的なファンにもなってくれない。相手にとって「想定の範囲内」ということで、驚かれない代わりに、さしたる関心も払われないのです。

まず、「何度も何度も断られる」ことを計画に織り込んでおこう

自分のアイディアに自信があればあるほど、「説明すれば、買ってもらえるはずだ」「必ずウケるはずだ」と思うのかもしれませんが、何の後ろ盾もないベンチャー企業の商品に興味をもってくれる人は、ほとんどいないということを認識しておくべきだと、本書には書かれています。

何度も、何度も、そして何度も断られる。そこでめげずに、どうやって売ればよいか。どうやったら売れるのか。真剣に考え、実践したものだけが成功出来るのです。

ビジネスプランを書くが、それに囚われない柔軟性を持とう

事業を始めるにあたって、ビジネスプランや事業計画書の重要性を説く人がいます。以前、僕が在籍していた会社の社長は、口酸っぱく事業計画書を書けという人でした。ビジネスプランを考えたら、事業計画書に落としこむ。何度も何度も繰り返し言われました。

事業計画書を丁寧に書くことを僕は否定しませんが、事業計画書に書くことを優先させるがあまり、試作品を作る時間や商品を売り込む時間を削るようでは、本末転倒だと思うのです。本書では、「早く失敗して、早く修正するために、ビジネスプランを作りこんではいけない」と語っています。計画通りにやることも重要ですが、計画が上手くいかなかったら、素早く修正して、上手くいくための方法を考え、実践する。その方が、よっぽど重要なのだと思います。これは、僕自身身を持って学びました。

正攻法すぎるくらい正攻法な起業論

本書には、ビジネスモデルも、競合分析も、ブルーオーシャンも、ビジョナリーも、そして戦略という言葉も出てきません。何度も断られながらも、お客さんに革新という夢を売り、しっかりと資金を調達しながら、パートナーたちと会社を育てるという、正攻法すぎるくらい正攻法な起業論です。

起業を目指す人に限らず、何か新しいことを始めたいと考えている人、自分を変えたい人が読んでも、とても参考になると思います。
なぜなら、本書には、新たなチャレンジを始め、チャレンジを成功させるためにすべき事柄が、全て書かれているからです。

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