映画の裏側を知ることができる1冊。書評「フィルムスクールで学ぶ、101のアイデア」

フィルムスクールで学ぶ101のアイデア

図書館の書棚を眺めていたら、気になったので手に取りました。本書は、映画を作る際に参考になる表現方法や、撮影をスムーズに進めるために抑えておくべきポイントが書かれた一冊です。

読み終わっての率直な感想としては、映画学校に通っている人はこういった内容は授業で教わっていると思うので、映画学校に通おうと思っている人や、独学で映画を撮ってみようと思っている人、映画が好きで作り方について詳しく知りたい人が読んだらおもしろい書籍だと思いました。

この記事では、本書に掲載されているアイデアの中で、印象に残ったアイデアをご紹介します。

印象にのこったアイディア

主人公に欠点を

経験の浅いフィルム・メーカーたちは、主人公に望ましくない特徴を植え付けないという失敗を犯すことがあるかもしれません。その原因は男性であれ女性であれ、主人公を好感のもてる欠点のない正確設定にすることを望むからです。

観客は通常、登場人物たちを取り巻く矛盾や彼らの欠点に心をひきつけられるのです。つまり、彼らの特異性や弱点がそうさせるわけですから。さもなければ、登場人物はヒロイックにはなれないはずです。

台本の1ページは1分に相当する

脚本は一般的に90~120ページになっていて、これは映画の90~120分に相当します。この原則はコメディ、ホラー、アニメーション、ファミリー映画では短くなる傾向があります。観客が作品から受ける注意力には限界があり、彼らがスリル、不安、爆笑などを長時間持続っせるのは困難なので、上映時間は2時間以内に設定する傾向があるのです。

人間の肉眼は毎秒20コマではっきりとした動きを認識できる

人間の目は毎秒20コマを下回ると、スムーズな映像に見えません。つまり、本来は連続的な動きがぎこちなく見えてしまうのです。

最高のストーリーは姿を現さない

観客に対してドラマの構造をあからさまに意識させてはいけません。ドラマティックな出来事は上手にカモフラージュするべきです。ストーリーがさまざまな感情をともなう人間関係や、わくわくするような新事実の展開、重層的なジレンマ、葛藤、サスペンスなどに満ちていれば、観客はドラマそのものの構造を解明しようとは思わず、展開するストーリーの語り口に釘付けになるはずです。

子供、動物、水に注意!

  • 衣装、消え物(食べ物)、液体にはスペアが必要です。
  • 重要な小道具は同じものを2~3個用意することです。
  • 動物に望む演技は、セットに入る前に確認しておくことです。
  • 子役をキャスティングする場合は、なるべく双子か三つ子を起用することです。理由は子役に対する撮影時間は予測しづらいからで、労働規定やユニオン・ルールで彼らの労働時間は制限されているのです。

時間と予算は節約に努める

撮影はシーンの順番には撮らない。

プロダクション・ボードにある”ブロック”は最新の注意を払って計画されたシューティング・プランです。すべてのシーンに対して事前の準備のための撮影、照明、録音機材などが記載されています。

ロケーションは催促する

衣裳替えや小道具準備の指示があった場合、一軒家を撮影のため教会裏の墓地に飾り替える場合、コーヒーショップを高級なレストランに飾り替える場合など、ロケ地で作業する可能性はあるものです。さらに次のショットの準備のためドリーやクレーンの設置が終わって時間が余っているときは、他のシーンのセットアップや切り返しの準備などに時間を使うべきです。時間はクルーたちを催促しているのです。

目線の前はクリアに!

俳優がキャメラから目を離せば、彼らの集中力を乱すものが目線の中に入ります。たとえば、作品に関わっているクルーたち、ライトや録音機材、スタンバイ中のBキャメラなどです。しばしば、助監督は本番前に「俳優の目線の前は開けてください」と告げます。演技のために不必要な要素、つまり彼らの注意をそらすものは移動させるか、静止させるのです。

現場では粘る

現場で撮影した最初のテイクが完璧だと思えても、常にその後に1~2ショットは同じテイクを撮る事です。俳優から芝居に対する補足的で微妙なオファーがあるかもしれないからです。これはカバレッジに関しても同様です。多くのショットがあれば、編集室で最良の選択ができるからです。

批判に耐える

全ての批判は本質的に有効だと考えてください。それぞれに現実的な要点はついているものです。もし、批判する立場の人の評価が理路整然とした根拠を持ち合わせてなくても、作品が進展するためには弱い提案であっても、彼らはあなたのことを考え、悩んでいるのも事実です。ですから、あなたは彼らに対して感情的になったり、悪態をつくより、もう一度冷静に自分の作品を見つめ直すことが必要です。あなたがよい解決案を出す事ができないときは、批判する人の提案を試みるべきです。

あなたが撮影中に想像の中で聞く音楽は、おそらく映画にとっても適当とは限らない

もしあなたが脚本執筆中や作品の準備期間や撮影期間中にあって、映画で使用するパーフェクトだと思われる歌詞や楽譜を手に入れたとします。その後、想像上で編集されたフィルムにマッチさせようとした新刊、あなたは失望しかねません。イメージやストーリーは、それ自体の必然性が求めるものであり、必ずしもあなたが望むものと一致するわけではないのです。

脚本は音読する

脚本を改訂中に、せりふを自分の頭の中でのみ反芻するだけではもの足りません。書いた脚本は音読し、録音してあなた自身にプレイ・バックするのです。またはプロやセミプロの俳優に依頼するか、友人や家族でも構わないので脚本を音読してもらうのです。協力者の一人にト書きを割り当て、あなたの思うように演出の指示を出すのです。あなたが脚本家であれ、監督であれ、批判眼を持って立ち会うのです。
具体的な方法として、シーンの最初から最後まで読み通し、ストーリーがよどみなく進んでいるか、セリフの不備が原因で口ごもる部分がないかどうか、その程度や状態などを聞き取るのです。
その後、以下のポイントに注意して自分自身にフィードバックさせるのです。

  • 俳優たちは彼らの役柄についてどのように感じているか?
  • セリフはリアルであるか?
  • 嘘っぽくないか?
  • 俳優が混乱したり、退屈している箇所はないか?
  • 問題点は完全に取り除かれたのか?

キャストは外見だけで決めない

オーディションを受けにくる俳優に対して、彼らの外見が求める役柄にぴったりだからといって、パーフェクトだと決めてかからないことです。ときには最良のキャスティングが外見と正反対の場合があるからです。そのためにも役柄に対する俳優像をしっかりと規定することが有効です。

書きたいなら読む!作りたいなら見る!

そのジャンルが映画、脚本であれ、学生映画の最も優秀なフィルム・メーカーたちが、たとえ作品中に腕前を発揮し、実感をともなう作品を表明したとしても、それ以前に成すべき重要なことがあるのです。
たとえば、ドラマ作りに必要な物理的な設定、登場人物の職業に対する知識、歴史物であれば、世界史などに対する綿密なリサーチを必要とします。もちろん、機材や小道具などの現場での知識も同様です。

それはそれ!早く次回作にとりかかる!

誰もが机の中に脚本をしまいこみ、作品が世に認められるまで5年間も待ち続けるのです。書き続けるのです。本当にクリエイティブな人は一度限りでは終わりません。彼らは絶えず新しいアイデアと出会います。生涯に傑作がたったひとつなんて、めったにないことですから。

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