大人も子供もマネジメントで抑えるポイントは同じ。書評「サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法」(池上正)
土日にサッカーの練習をしていると、隣のグラウンドを使っている、地域で活動している子供たちの練習を見ることがあります。ただ、練習している子供たちの姿を見ていると、悲しい気分になることがあります。
子供のプレーにいちいち指示を出す若いコーチ、いつもベンチの方ばかり見ている子供、試合に出られないからつまらなくなって地面に落書きして怒られる子供、子供に対して「何でそんなプレーするの!」と怒る親たち、などなど。みんなサッカーというスポーツが好きなのはわかりますが、サッカーを楽しむ気持ちや、プレーする楽しみがちゃんと子供に伝わっているのだろうかなどと、練習を横目に見ながら考えてしまいます。
そんな時に、読んだのが本書「サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法」です。本書は、子育てや人間教育の観点から、サッカーで子供の能力を育て、伸ばす方法について書かれた1冊です。
大人であろうと子供であろうと同じ
本書は、「11の魔法」と題して、子供を伸ばす11項目の方法を提案しています。
- 肯定する
- 上達する
- 楽しませる
- 気づかせる
- 考えさせる
- 進化する
- 夢を持たせる
- 余裕を持たせる
- 自立させる
- 和をつくる
- 問いかける
この11項目を改めて見直すと、大人が読んでいるビジネス書や自己啓発書にも、同じような事が書かれています。つまり、大人であろうが子供であろうが、人の能力を伸ばそう、人の力を引き出そうとしたら、考えるべきポイントは同じなのだということが分かります。
子供は「小さな大人」
子供は「小さな大人」として考えるべきだと、誰かが言っていました。子供は大人より生きている時間が短い分、知識や経験が不足しているため、間違った行動を取ることがあります。しかし、知識や経験が不足しているからこそ、みずみずしい感性を持っているとも考えられます。子供が大人になることで、得られるものと失うものが同じくらいだと考えれば、大人が偉くて、子供が偉くないなんて考えはありえません。子供も大人と接するときと同じように、一人の人間として、考えや行動を尊重して接するべきなのだと思うのです。
本書は子育てというテーマで書かれている本ですが、むしろ部下との接し方に悩むマネージャーが読んだら良いのではないかと思います。子育てと仕事のマネジメントは、共通する点が多いと思います。子育てをテーマにした本の方が、ビジネス本よりわかりやすい文章で書かれているので、読みやすいです。
子供がいない方でも、ぜひ読んで頂きたい1冊です。
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