Football-LABへの寄稿「あとがき」

先日、Twitterで紹介しましたが、Football-LABというWebサイトに「サッカーの「攻撃」を分析するためにチェックすべき2つのデータとは?」という記事を寄稿しました。

Football-LABというWebサイトは、Jリーグの公式データの記録・集計を行っている、株式会社データスタジアムが運営しているメディアです。今回、データスタジアムのフットボール事業部の方からお話を頂き、寄稿することになりました。

僕はデータに関して、ずっと書きたかったテーマがありました。それは、「攻撃を分析する指標を提示する」という事です。記事にも書きましたが、「攻撃的サッカー」という言葉はよく目にしますが、どうすれば「攻撃的」と言えるのか、定義は明確になっていません。そもそも、攻撃を分析するにあたって、まずはどこに着目すれば良いかも、明確になっていません。攻撃を分析するために、まず何をチェックすればよいか、定義したいと考えました。スプリント数、走行距離、ペナルティエリアへの侵入回数を調べる前に、まず分析するデータがあるのではないか。そう思っていたからでもあります。

バスケットボールのデータ分析はサッカーにも役立つ

文章をまとめるにあたって、複数の方の知見を参考にさせて頂きました。

1つ目は、バスケットボールのスタッツです。以前、Bリーグの斉藤千尋さんに、「攻撃100回あたりの得点数」と「1試合あたりの攻撃回数」をまとめた分布図を見せていただきました。(この分布図は、「Bリーグが行った画期的な記者会見で分かった可能性と課題」で紹介した動画の中で観る事が出来ます。)この分布図を見た時、僕は「サッカーにもこの分布図があったら、各チームの攻撃の特徴が分かるのに」と興奮しました。

また、NBAアナリストの佐々木クリスさんがスポーツナビに寄稿した「チームの真の実力を表すデータが存在!?アナリスト視点でBリーグを見よう(1)」という記事も参考になりました。バスケットボールは、得点、アシスト、リバウンドといった「ベーシックスタッツ」だけでなく、場所、時間といった様々なケースごとのデータ「アドバンスドスタッツ」も細かく計測しています。バスケットボールの方が持っているデータ分析の知見は、サッカーも同じボールゲームだと考えると、とても参考になります。今回の記事は、斉藤さん、佐々木クリスさん、そして事あることに色々教えてくださる、バスケットボール日本代表テクニカルスタッフの末広朋也さんに出会わなければ、書くことは出来ませんでした。

※佐々木クリスさんには、Twitterで記事を紹介いただきました。ありがとうございます!

バスケットボールのデータ分析はサッカーにも役立つ

2つ目は、2013/2014シーズンからオランダの名門、アヤックス育成アカデミーのユース年代専属アナリストとして活動し、2016年10月から、オランダ代表U-13、U-14、U-15の専属アナリストとして活動している白井裕之さんの知見です。白井さんには「サッカーとはどんなゲームか」というそもそもの定義に始まり、チームファンクションとして、攻撃はどのような要素で構成されているのかといった、サッカーというゲームを分析する上での「フレームワーク」を教えていただきました。白井さんが教えてくださったのですが、攻撃とは「ビルドアップ」と「得点する」という2つの要素から成り立っているそうです。

「ビルドアップ」は、ボールを保持してからシュートチャンスを作るまでの事を指し、「得点する」は、シュートチャンスで得点する事を指します。僕が分布図で定義した「チャンス構築率」と「シュート成功率」は、それぞれ「ビルドアップ」と「得点する」の成功率を測る指標です。つまり、攻撃を構成する「ビルドアップ」と「得点する」成功率を分析すれば、まず「ビルドアップ」と「得点する」どこに問題があるのか、理解することが出来る。そう考えました。

Jリーグに「カウンターを得意としている」と言えるチームがほとんどない?

今回、「チャンス構築率」と「シュート成功率」を分析して、驚いた事が2つあります。

1つ目は、Jリーグに「カウンターを得意としていると言えるチームがほとんどない」という事です。カウンターを得意としているチームは、「チャンス構築率が低いが、シュート成功率が高い」というエリアに分布されます。ところが、このエリアに分布されたチームの殆どは、カウンターではなく、セットプレーから得点を奪うのが得意なチームばかりでした。この分析結果から、相手のボールを奪って、素早く攻め込み、得点を奪う「カウンター」と呼ばれるプレースタイルを得意としているチームがほとんどないのではないかと感じました。唯一、FC東京がセットプレーでの得点率が40%以下になっていますが、FC東京以外のチームは、セットプレーから得点を奪っている割合が50%を超えてます。

鹿島アントラーズは本当は勝負強くない?

2つ目は、鹿島アントラーズが分布された位置です。一般的に鹿島アントラーズは「勝負強いチーム」と言われています。僕は鹿島アントラーズは、右下の「チャンス構築率が低いが、シュート成功率が高い」というエリアに分布されるのではないかと思っていました。

ところが、鹿島アントラーズが分布されたのは、左上の「チャンス構築率が高いが、シュート成功率は低い」というエリアでした。チャンスは作るけれど、なかなか得点が決まらないチームが「勝負強い」という印象を受けているのは興味深いと思います。僕は、鹿島アントラーズの勝負強さは、攻撃ではなく、守備にあるのではないか。そして、対戦相手によって、もしかしたらデータが変わるのではないか。そんな仮説を考えています。

今回好評であれば、今後は「J2編」「守備編」といった記事も書いてみたいと思います。ぜひ、SNSでシェアして頂いたり、感想を書いて頂けると嬉しいです。最後に、教えていただいた方々のご意見を参考に記事を書いたのは僕なので、文責は僕にあります。解釈が違うといったご意見は、僕あてに頂ければ幸いです。

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