川崎フロンターレの未来に対する期待感を煽ってくれる1冊。書評「フットボールサミット第19回 川崎フロンターレ 夢の等々力劇場 強く、楽しく、愛されるクラブであるために」

2014/07/22

本書「フットボールサミット第19回 川崎フロンターレ 夢の等々力劇場 強く、楽しく、愛されるクラブであるために」は、昨季3位に躍進し、今年は初のタイトル獲得を目指して戦う川崎フロンターレの現在地と未来、そしてクラブのアイデンティティを深く掘り下げ、クラブに関わるすべての人が一丸となって、 「強く、楽しく、愛されるクラブ」を作り上げようとする志が、強く伝わってくる1冊です。

川崎フロンターレの試合は、実にスリリングです。他のチームでは見られないきれいなゴールや、試合終盤の逆転など劇的な試合展開をみせてくれる反面失点も多く、試合が終わるまでハラハラドキドキ落ち着くひまがありません。特に、ホームスタジアムである等々力陸上競技場では、数多くの印象に残る試合をみせてくれました。そして、いつしかこんな言葉が生まれました。

「等々力劇場」

「等々力劇場」が起きているのは、試合の中だけではありません。等々力陸上競技場の周囲には、フロンパークと呼ばれるエリアがあり、多くの飲食店だけでなく、ドラえもんのどこでもドアや、時には動物と触れ合うことができます。

オフロスキーが始球式をやり、ハーフタイムにはF3カーがトラックを走り、ファン感謝祭では選手がコスプレしてダンスをするだけでなく、ライブを披露し、サポーターと一緒に盛り上がる。貫かれているのは、川崎フロンターレというクラブに関わってくれる人を徹底的に楽しませようという気持ちです。

僕と川崎フロンターレの関係

僕が川崎フロンターレの事を知ったのは、1999年です。どこかJリーグのクラブのボランティアをやってみたいと思ったところ、川崎フロンターレのWebサイトに掲載されていたボランティア募集のページを見たのがきっかけでした。

今でこそ、川崎フロンターレのユニークなプロモーションやイベントは受け入れられるようになりましたが、当時はお世辞にも上手くいっているようには思えませんでした。ハーフタイムにマスコットのふろん太と障害物競走をやったりしたのですが、ほとんどお客さんは見てくれません。人が集まらず、ボランティアの僕が駆り出されたこともありました。

当時はマッチデープログラムはなかったので、代わりにチラシを配っていました。チラシの記事には、観客のインタビューや選手のインタビューの記事を掲載していたのですが、記事や写真の撮影はボランティアが担当していました。僕も記事を書いていたことがあります。最初に書いた試合レポートを、現在のプロモーション部長の天野さんに褒めてもらったのを、よく覚えています。

ボランティアは、2003年まで登録していましたが、以降10年ほど川崎フロンターレからは、距離を置くようになりました。2002年のワールドカップでボランティアを経験して、ボランティアへの興味がひと区切りついたというのもありますが、当時の川崎フロンターレのサッカーが個人の能力頼みで、あまりおもしろくないと感じていたのも大きな要因でした。

風間監督の就任をきっかけに再び川崎フロンターレに注目

そんな、僕が川崎フロンターレに再び注目するようになったのは、2012年の風間監督の就任です。風間さんの考え方に注目するようになったのは、木崎伸也さんのメールマガジンがきっかけでした。

木崎さんのメールマガジンに書かれている風間さんの言葉には、常に驚かされました。筑波大学が大学サッカーとは思えない驚異的な攻撃力を披露していることも知っていたので、風間さんのサッカーがJリーグで形になったら、凄く面白いサッカーが見られるんじゃないか。そう思ったからです。

あれから、2年が経とうとしています。本書を読んで選手・スタッフが異口同音に語っていたのが、現在のチームへの信頼と期待感です。ここまでの道のりは平坦ではありませんでしたが、一歩一歩の積み重ねが確かな自信となって伝わってきました。そして、チームへの信頼と期待感は、記事を書いたライターの方も同じなのかもしれません。

そして、2年間の取組の成果が、2013年シーズン最終節マリノス戦の、レナトの決勝ゴールに現れています。動いている選手のスピードを落とさずに、選手の足元に正確にボールをつなぎ続け奪ったこのゴールのようなプレーは、今までJリーグでは見たことがありませんでした。

本書では、複数の選手がこのゴールについて語っていました。このゴールを奪ったことが、今シーズンに臨む上で自信の源になっているのだと思いますし、今後の川崎フロンターレの未来を照らしてくれる光になるものだと、僕は信じています。

これまで積み上げてきたものが、2014年シーズンにどのような形になるのか。
昨年同様、山あり谷ありのシーズンになると思うけど、今シーズンも川崎フロンターレを追い続けていこう。
そんな気持ちを強く持たせてくれた1冊です。

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