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スキルを発揮するために必要な、オフの時間の過ごし方。書評「『個』を生かすチームビルディング チームスポーツの組織力を100倍高める勝利のメソッド」(福富信也)

   

同じ一つのゴールを目指し、複数のメンバーが個々の能力を最大限に発揮しつつ一丸となって進んでいく――そうした効果的な組織づくりや、チームをまとめる手法を「チームビルディング」といいます。「チームビルディング」は、ビジネスの研修でよく用いられていた手法ですが、近年スポーツの現場でも活用されるようになりました。

本書は、スポーツの現場で「チームビルディング」の手法を導入するためのメソッドが詳しく紹介されている1冊です。「Foot x Brain」という番組で紹介されていて、興味があったので読んでみました。

直接的スキルと間接的なスキル

本書の中に、「いいチームとはいい選手が集まっているチーム」という記述があります。では、いい選手とはどんな選手なのでしょうか。

いい選手を構成する要素は「直接的スキル」と「間接的スキル」の2つに分けられるといいます。「直接的スキル」とは、サッカーそのものをプレーする上で必要となるスキルで、テクニック、戦術、体力など、サッカー特有のスキルの事を指します。

一方「間接的スキル」とは、集団行動(チームプレー)を行う上で必要となるスキルのことで、「自己・他者との関係性」「課題解決」「コミュニケーション」「精神力」など日常えも必要なスキルの事を指します。

普段サッカーを観ていると「直接的スキル」をだけでいい選手かどうか判断しがちですが、直接的スキルを円滑に発揮できるかどうかは、実は間接的スキルによるところが大きいというのです。そして、間接的スキルを鍛えるためのトレーニングが、チームビルディングなのです。

オン・ザ・ピッチとオフ・ザ・ピッチ

サッカー選手の場合、1回の練習時間(オン・ザ・ピッチ)は1時間半から2時間ほどです。つまり、22時間は直接サッカーとは関わらない「オフ・ザ・ピッチ」の時間になります。「オフ・ザ・ピッチ」の時間のほうが、長いのです。

したがって、限られた練習時間の中で何が出来るかは当然大切なことではありますが、何を食べたか、何時間寝たのか、毎日気持ちがリフレッシュできているかなど、圧倒的に長いサッカー以外の時間をどう過ごすかが、とても重要なのです。

これは、社会人でも一緒です。仕事で成果を出そうとすると、働いている時間ばかりどう過ごすか気を取られがちですが、実際には仕事から離れた時間を充実させることで、仕事に対する前向きな気持ちを持てるようになることがありますし、逆もしかりです。

むしろ、僕のように会社勤めをしている人間のほうが、仕事以外の時間をどう過ごすかを軽視しているんじゃないかと、本書を読んでいて感じました。

組織を束ねる5つの法則

最後に本書に書かれている「組織を束ねる5つの法則」について、紹介したいと思います。

  • 試合、練習、ミーティングでの会話力を高め、必要な情報をシンプルに、正しい優先順位で、誤解なく伝えること
  • 選手の価値観に基づいた魅力的な目標、達成可能で現実的な目標を立て、チーム一丸となってそれに立ち向かっていくこと
  • チームメイトへのリスペクト、価値観の理解、共通体験の積み重ねで、互いの信頼を築き上げていくこと
  • 目的と役割を常に意識し、チームの中で価値ある存在であり続けようとする責任感の強さを身につけること
  • ベースとなるのは個人の課題解決力、さらにその力をチーム内でも発揮できるような集団活動スキルを高めていくこと

本書に書かれているメソッドは、特別な道具を必要としないものが多く、実際のスポーツの現場で実践できる手法です。しかし、重要なのは、実践しただけで満足せず、継続して取組むことで、チームの力を高めていくことだと思います。本書を読み終えて、チームビルディングの手法について、詳しく知りたくなりました。

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