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書評「プロフットボーラーの家族の肖像」(いとうやまね)-I am a father-

   

フットボーラーの家族の肖像

プレーヤー、監督、指導者、解説者、などなど。サッカーに明け暮れ、サッカーとともに生活する。そんな人達は、どんな家庭に育ったのか。そして、結婚してからどんな家庭を築き上げているのか。実際のところは意外と知られていません。

本書「プロフットボーラーの家族の肖像」は、久保竜彦、城福浩、宮澤ミシェル、水沼貴史、福西崇史、石川直宏、原博実、といった7人のフットボーラーの、フットボーラーではなく「父親としての声」を集め、1冊にまとめた書籍です。そして、この本は現在子育て中に親御さんたちや、未来の親御さんたちに向けた「子育て進行中の先輩」からの等身大のメッセージが詰まった1冊でもあります。

僕が本書を読み終えて、印象に残った言葉は2つあります。

子供は「「なんでも自由に言っていい」というと本当のことはいわない」

1つ目は、久保竜彦さんの言葉です。久保家には2人の娘さんがいらっしゃいます。

小学生の頃は、姉はテニス、妹はサッカーをやっていました。姉はテニスとサッカーを掛け持ちしていたのですが、時間がなくなり、テニスを選択します。しかし、親の目から見ても、あまりテニスに熱心に取り組んでいるように見えず、無理にやらされているような、嫌々やっているような感じが見受けられました。

何度か「テニスとサッカーどっちがやりたい?」と聞いても歯切れが悪く、自由に選んで良いと言っても、テニスを選びます。しかし、今にして思うと、娘なりに気をつかっていたのだと、久保さんは語っています。

娘は、以前に夫婦でテニスについて、こう話していたのを覚えていたのだろうというのです。「今まで5年もやっていたのに、もったいないわねぇ。」「そうだなぁ」。

この事振り返って、久保さんはこのように語っています。

「子供ってカンがいいのか、「なんでも自由に言っていい」というと本当のことはいわないです。親が本音で言っていると思ってないです。むしろ昔、ボソッと言ったことの方を、本当だと思っています。」

プロの監督をやる覚悟があるのなら、子どもが中学を卒業してからにしたほうがいい

2つ目は、城福浩さんの言葉です。城福家には男女1人ずつ子どもがいらっしゃいます。

長男は中村俊輔にあこがれていたので同じ学校を目指し、希望した学校に入ることが出来ました。しかし、サッカー部は強豪校なので、全国各地から選りすぐりの選手たちが入学してきます。息子さんは中学でもレギュラー入りすることが出来なかったそうです。

当時、城福さんは協会の仕事で全国の有力校を視察していました。当然、仕事で息子さんの学校を訪れる機会もありました。珍しい苗字なので、わざわざ見に来る生徒もいたそうです。後で知ったそうですが、息子は何かにつけて、周囲にこう言われていたそうです。

「オヤジがサッカー関係で、お前はその程度なのか」「ダメだな」

やがて、サッカー部から足が遠のき、息子は高校ではサッカーをやめてしまいました。

城福さんがFC東京の監督をしていたとき、チームが好調だった時は、クラスメートに選手のサインやシャツ、父親のサインを頼んできたそうです。しかし、負け始めたとき、教室の中では「原トーキョー、原トーキョー」というコールが沸き起こった時もあったそうです。

その番、息子は父に「俺は今受験の時期だし、高校生だからいいけど、これが中学の時だったら、間違いなく登校拒否だね」と語ったそうです。この夜以降、城福さんはプロを目指すS級ライセンスの研修の手伝いをしているのですが、受講者に対してこう語りかけているそうです。

「みなさんへのアドバイスはない。そんな大きなことは言えない。ひとつだけ言えるのは、本当にプロの監督をやる覚悟があるのなら、子どもが中学を卒業してからにしたほうがいい」

この言葉には、監督城福浩の言葉ではなく、家庭をもつ人間城福浩の本音と苦悩が凝縮されています。

子育てや家族の問題に答えはない

僕自身、本書は3人の娘をもつ父親として、どうするべきか、改めて考えさせてくれる1冊でした。ここで紹介されている7人の家族は、似ているようで全く違います。改めて、子育てや家族の問題に答えが無いということを教えてくれます。

だからこそ、嘘をついたり、包み隠さずに物事を進めるなんて、不可能だと思い知らされました。自分に正直に生きることが、実は最大の子育てなんじゃないか。親の背中を見て育つといいますが、そんな事を考えさせられた1冊です。

迷ってる暇なんかない 選んだ道進む
ムービースターじゃない
ロックスターでもない
明日は今日よりも良い日になることを信じてる
I am a father.
(浜田省吾「I am a father」)

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