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書評「月刊footballista(フットボリスタ) 2015年12月号」-「データ革命」現地レポート-

   

footballista 2015年12月号

最近あまり雑誌を買ってなかったのですが、この本は思わず手にとってしまいました。本書「月刊footballista(フットボリスタ) 2015年12月号」の特集は、「データ革命」現地レポート。ヨーロッパサッカーのデータ活用の現状を徹底的に取材し、60Pにわたって特集しています。

想像以上に進んでいたヨーロッパサッカーのデータ活用

今回の特集は、データ革命を引っ張るドイツ、戦術の分析、フィジカル管理法、スカウティング、そしてメディア像といった具合に、サッカーにデータが活用されるようになって、大きく影響を受けている分野を、きちんと網羅し、特集しています。読めば読むほど、あまり日本では知られていないヨーロッパサッカーにおけるデータ活用が想像以上に進んでいることがよくわかる特集になります。これはホント読み応えがあります。

圧倒的な成果を挙げているセビージャのスカウティングの秘密

特に面白かったのは、データベースを活用したスカウティング革命の特集です。スカウティングに定評があり、セルヒオ・ラモス、ヘスス・ナバス、ダニエウ・アウヴェス、ジュリオ・バチスタ、イバン・ラキティッチといった選手を発掘した、セビージャのモンチ スポーツディレクターのインタビューからは、「Wyscout」という選手のプレーを瞬時に見れる動画データベースを活用することで、世界中の選手の掘り起こしをいかに効率的に行っているか、よく分かります。

また、モンチが語っていた、チームとして蓄えたフィジカル、テクニック、戦術などの膨大な個別のプロフィールから、世界中の選手のリストから欲しい選手が自動的にリストアップされるというシステムの構想は、大変に面白い発想だと思いました。モンチも語っていたように、現在CRMの分野では近いことが実現しています。

SAPはサッカーに革命を起こすのか

そして、そんなモンチの構想を早々に実現してしまおうとしているのが、ドイツのSAPです。SAPはドイツ代表に「Match Insight」という戦術分析ソフトウェアを導入したことを皮切りに、FCバイエルン・ミュンヘンと提携し、「Sports One」というソフトウェアを開発。選手の健康管理、トレーニング分析、戦術分析を1つのソフトウェアで把握管理し、データ化することが可能になりました。将来的には、「Wyscout」のようなサービスとも提携し、自チームのデータとスカウティングデータを照らし合わせて、リストアップするということが出来る時代になるでしょう。

他にもドローンを練習に活用した事例なども紹介されています。GPSを使った選手のコンディション管理は、もう常識。走行距離、スプリント回数といったデータも既にあって当たり前。ヨーロッパサッカーは、膨大なデータをいかに活用し、プレーやチームのマネジメントの改善に結びつけるかということを、チームがそれぞれ試行錯誤する時代になっていることが、よく分かります。

ヨーロッパサッカーとの差は目に見えないところで広がっている?

日本ではようやくトラッキングデータが公開されはじめたものの、スポーツアナリストをスタッフとして加えているチームはほとんどなし。ガンバ大阪が元日本代表のデータ分析担当の和田一郎さんをコーチに加えているくらいで、コーチが片手間で分析をやっていたり、外部会社に委託しているのが、大半ではなのではないかと思います。

この特集を読んで感じたのは、「グラウンドの外での勝負に、日本は負けているのではないか」ということです。Jリーグが始まり、サッカーをする子供は増えました。指導者の方々の試行錯誤のかいもあり、ボールを扱う技術は格段に進歩しています。しかし、グラウンドで起こっていることを分析し、次のアクションに起こすために収集するデータの量と分析能力が、圧倒的に不足しているのではないかと、今回の特集を読み終えて感じました。

僕は、データ分析で遅れている日本の現状に対して、危機感を感じています。見えないところで、世界との差は広がっているんじゃないか。自分に出来ることは何かあるのか。そんな事を考えさせられた特集でした。

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