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書評「月刊footballista(フットボリスタ) 2016年7月号」-15-16欧州総括-

   

ポゼッションとカウンター。グアルディオラとシメオネ。そしてレスターの奇跡の初優勝など、2015-16年シーズンのヨーロッパサッカーは様々な話題が取り上げられました。2016年7月号のfootballistaの特集は「戦術トレンドで振り返るキーマッチ10選」と題して、「戦術トレンド」として価値のある10のキーマッチをピックアップし、1試合のディテールを掘り下げ、ヨーロッパサッカーの最高峰で何が起こっているのかを総括しています。

1つのプレースタイル、1つのフォーメーションだけでは勝てなくなっている

2015-16年シーズンで印象に残ったのは、「レベルが上がれば上がるほど、1つのプレースタイル、1つのフォーメーションだけでは勝てなくなっている」という事です。バイエルン・ミュンヘン対ユベントス、バイエルン・ミュンヘン対アトレティコ・マドリーという、チャンピオンズリーグの2試合を観ていて、特にその事を実感しました。

ユベントスは第2戦にFWから積極的に奪いに行くときと、自陣深くに引いて守るときにフォーメーションを自由自在に変えて、バイエルン・ミュンヘンをあと一歩のところまで追い詰めました。アトレティコ・マドリーは、第1戦バイエルン・ミュンヘンの外からの攻撃を封じるために、サイドバックが両サイドの選手を厳しくマークし、バイエルン・ミュンヘンの攻撃を封じてみせました。一方、外からの攻撃が封じられたバイエルン・ミュンヘンは、第1戦の途中から、サイドバックがサイドの選手を厳しくマークするがゆえに生まれる、センターバックとサイドバックの間のスペースを狙って攻撃を仕掛けるようになりました。第2戦もその流れを継続。アトレティコ・マドリーは、何度もフォーメーションを変更し、バイエルン・ミュンヘンの攻撃を封じようと試みました。

バイエルン・ミュンヘン、ユベントス、アトレティコ・マドリーといったチームは、相手チームによってプレースタイルやフォーメーションをいとも簡単に変えてみせました。パスを回してじっくり攻撃するイメージがあるFCバルセロナだって、「MSN」と呼ばれる、メッシ、スアレス、ネイマールという3人を相手ゴール近くに残したカウンター攻撃で、何度もゴールを奪ってみせました。

勝つためにどんな戦い方にも対応する

サッカーの目的は、相手より1点でも多く得点して、勝つことです。相手より1点でも多く得点するために、戦略を組み立てます。戦術は勝つためにどんな戦い方をするのか決めた上で、対戦相手を想定して、実行するための方法です。戦略と戦術は違います。そして、どんな戦術が実践できるかは、選手個人個人の能力に大きく依存します。

現在トップレベルのチームでは、ハードワークは当たり前で、ハードワークした上で、どんな戦い方、どんなフォーメーションにも即座に対応し、試合で実践できる能力が、監督、スタッフ、選手に求められているのだということを、2015-16年シーズンのヨーロッパサッカーを観ていて、痛感しました。

2015-16年シーズンのヨーロッパサッカーを追いかければ追いかけるほど、日本のサッカーとヨーロッパサッカーのレベルの差は、大きく開いてしまったのではないかと感じます。確かに、相手に応じてプレースタイルやフォーメーションを変えて戦えるチームは一部かもしれません。しかし、日本のサッカーのレベルを上げていこうと思ったら、こうした最新のサッカーに対応しなければなりません。Jリーグで相手に応じて戦い方を変えられたのは、ネルシーニョ監督が率いていた時のヴェルディ川崎まで遡らなければならない気がします。

今回のfootballistaの特集は、現在のヨーロッパサッカーおよび最先端のサッカーがどのような戦略、プレーモデル、戦術を基に組み立てられているかを知るのに、最適な1冊です。中途半端な専門書より情報量も多いので、ぜひ読んでみてください。しかし、最近のfootballistaは面白い。次回のテーマは「新世代メディアとサッカー」だそうです。次回も期待しています。

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