footballista 2018年4月号「個人戦術とは何か?」の書評に代えて。-サラリーマンにとって「個人戦術」とは-

2018年4月号のfootballistaのテーマは「個人戦術」。そもそも、僕にとって「個人戦術」という言葉がピンときません。「個人戦術」という言葉を、「個人」の「戦術」という言葉に噛み砕き、「個人としていかに戦うか」と置き換えると、ようやく自分自身の経験に照らし合わせて、理解できるような気がします。個人として、自身の仕事を通じていかに戦っていくかという点においては、サッカー選手であろうが、サラリーマンであろうが、大差はない。そう思っています。

サラリーマンにとっての「個人戦術」

僕は、サラリーマンが仕事を通じて戦うための注力するポイントは、「技術」「経験」「体力(健康)」「戦う場所」の4つだと思っています。

1点目は、「技術」。「スキル」という言葉で表現されることもありますが、英語が喋れる、会計に関する知識がある、ExcelでVBAが扱えるといったデスクワークに必要な技術だけでなく、金型製作に関する特別な知識がある、特別な加工が出来る、といった技術も技術です。そして、「挨拶がきちんと出来る」「仕事の段取りが上手い」「スケジュールやタスク管理が上手い」というのも、技術です。知識も技術の1つだと、僕は捉えています。

2点目は、「経験」。どの仕事を、どのくらい経験してきたかは、仕事の品質を担保してくれます。一方で、移り変わりが激しい仕事では、経験が足かせになることがあります。経験があることで、新しい技術が身につかないという人もいます。

3点目は、「体力(健康)」。体力は本当に大切。体力がある最大のメリットは、日によって仕事の品質が落ちず、安定して仕事が出来るようになる事です。そして、体力がないと、新しい事、自分が知らない事、自分がトライした事にトライする事が、知らず知らずのうちに減っていきます。体力がなくなってくると、経験があることばかり繰り返しがちですが、経験があることばかり繰り返していると、知らず知らずのうちに、自分が取り残されていきます。

4点目は、「戦う場所」。昔、北野武さんがインタビューで「自分がサイなのか、魚なのか知らなきゃ駄目だ。泳げないのに、泳がなきゃいけない場所で必死で戦ってもしかたない」というようなことを語っていたのですが、自分の「技術」「経験」「体力」を掛け合わせて、どこで戦うか見極めるのは、大切なポイントです。

場合によっては、自分の意にそぐわない場所で戦うこともあります。いかに自分が得意な場所でダメージを受けず、いかに得意な場所に持ち込むか。または、敢えてダメージ覚悟で突っ込んで、思いもがけないものを得るか。戦う場所は選べる時と、選べない時があり、僕自身は選べなかった経験が多く、「どう凌ぐか」をよく考えてきた気がします。

どんな選手でも得手不得手があり、戦う場所を間違えると、能力を発揮できないことがあります。以前、風間さんに対する批評で「やっひーのサッカーは人を選ぶ」って言葉を読んだことがありますが(あえてリンクは貼らない)、僕からすると、そんなの当たり前だと思うし、批判にすらなってない。どんな指導法でも、万能ではありません。それは、グアルディオラであろうが、ナーゲルスマンであろうが、風間さんであろうが、チョウ・キジェさんであろうが、同じです。だから、戦う場所は大切。

「個人戦術」として求められることは日々変わる

最近のサラリーマンは、求められる要件が、日々変わっています。英語も喋れて、デザインも出来て、プログラミングも出来て、経営のことを分かって…、といった具合に、全てのスキルが揃っている人がいればよいですが、そんなスキルの人に限って、「人に仕事をお願いするのが苦手」だったりします。完璧な人も、完璧なシステムもないので、不揃いな歯車をいかに組み合わせて、素晴らしい仕事をするかが問われていますし、サラリーマンであろうが、サッカー選手であろうが、歯車の大きさだったり、場合によっては、歯車自体を自分で変えるくらいの柔軟性が求められているのです。なかなか辛い時代です。

僕は、個人戦術を磨くということは、「技術」「経験」「体力」「戦う場所」を常に考え、磨き続けることだと思っているし、時代やマーケットによって、変わっていくのは当たり前。

変化に適応するためには、ちょっとでいいから、何か新しいことを試しておくこと。自分では「これはどうだろ?」と思うことも、やってみること。駄目だったら、人が何を言おうと、素早く止める。これしかないなぁ、と思うのです。そして、続けられそうな事があれば、少しずつ続けてみる。続けていれば、続けていること自体が「価値になる」ので、焦らずに取り組んでいれば良いと思います。

僕は、サッカーの事は自分の仕事と照らし合わせて考えるし、自分の仕事はサッカーと照らし合わせて考える。そうやって、物事を理解してきました。2018年4月号のfootballistaも、僕なりに理解しようとすると、こうなりましたが、他の方はどう感じたのか。ぜひ読んで感想を教えてくれると嬉しいです。