2017年J1第10節 川崎フロンターレ対アルビレックス新潟 プレビュー「データから読み解く、今の川崎フロンターレの攻撃の問題点」

2017年Jリーグ第10節、川崎フロンターレの対戦相手はアルビレックス新潟です。

攻撃を読み解くデータ「チャンス構築率」と「シュート成功率」

先日、Football-LABに「サッカーの「攻撃」を分析するためにチェックすべき2つのデータとは?」という記事を寄稿させて頂きました。Football LABには、「攻撃」を分析する時に真っ先に参考にすべきデータが掲載されています。それは、「チャンス構築率」と「シュート成功率」です。

「チャンス構築率」とは、「シュート数」を「攻撃回数」(ボールを保持してから相手チームに渡る、もしくはファウルやボールアウトで試合が止まるまでの間を1回の攻撃とする)で割った数字です。保持したボールを、相手陣内に効率よく運び、シュートチャンスを作り出しているチームは、チャンス構築率が高くなります。

「シュート成功率」は、ゴール数をシュート数で割った数字です。「シュート成功率」が高いチームは、得点出来るシュートチャンスを作り出すのが上手いチームともいえます。

攻撃はボールを持ってからシュートチャンスを作るまでの工程「ビルドアップ」と、作ったシュートチャンスを成功させる工程「得点する」の2工程に分かれます。それぞれの工程の精度を成功率を基に分析すると、「どこの工程が上手くいっているのか、いないのか」「チームの攻撃の特徴」が把握出来ると考えました。

チャンスは作れているけど、シュートが決まっていない

この分析手法を基に、第9節終了時点での川崎フロンターレの攻撃を分析したいと思います。川崎フロンターレのチャンス構築率は、11.3%でリーグ4位。平均より上です。しかし、シュート成功率は8.8%でリーグ13位。平均を下回っています。現在の川崎フロンターレは、チャンスは作るけど、シュートが決まらない。そんなチームなのです。ちなみに、2016年シーズンの川崎フロンターレは、「チャンスも作って、シュートも決まる」チームでした。チャンス構築率は、13.3%でリーグ3位。そして、シュート成功率は12.3%でリーグ2位でした。

川崎フロンターレのデータを細かく分析していくと、パス数は1試合平均686.6本でリーグ1位を記録しています。ボールを相手ゴール方向に進めているかを測る指標である、30mライン侵入回数も、1試合平均57.4回でリーグ1位。成功率の高いシュートチャンスを作るには、ボールを出来る限り相手ゴール近くまで運ぶこと、パスをつないでボールを出来るだけ長い時間保持することが必要です。この2点から考えると、川崎フロンターレはシュートチャンスは作れている事が分かります。

ところが、シュート本数は13.9本でリーグ6位、そして気になるのが枠内シュート数が4.4でリーグ6位。つまり、パスはつないで、相手を押しこんでいるが、ゴールの枠内にシュートを打っている本数は少ない。つまり、ゴールする確率が高いシュートが打てていないという事なのです。そう考えると、今の川崎フロンターレは、相手陣内のペナルティエリア付近まではボールを運べるものの、ペナルティエリア付近から相手の守備を崩して、成功する確率が高いシュートチャンス作るという点に課題があることが分かります。

小林悠のシュート成功率とシュート本数が2016年から下がっている

気になるのが、小林悠のシュート成功率と1試合平均のシュート本数です。2016年は14.3%あった成功率が、2017年はここまで11.5%。2014年、2015年も15%以上の成功率だった選手が、3%近く数字を落としています。2016年は1試合平均3.5本打っていたのですが、2017年は2.8本。サンプル数が違うので参考程度の比較ではありますが、最も得点を期待される選手のシュート本数が減り、シュート成功率が減っている。ここに川崎フロンターレの問題が隠されている気がします。

今の川崎フロンターレの問題は、成功率が高いシュートチャンスを作れていない事です。2016年までの川崎フロンターレは、シュートチャンスを作るために、ペナルティエリア付近で複数の選手がボールを受ける動きを繰り返して、パスを回して、最後にもっともシュートが上手い選手にシュートを決めてもらう。もしくは、シュートが上手い選手に早くボールを渡し、相手の守備が整うまでにシュートを決めてもらう。このような攻撃が出来ていました。

しかし、今の川崎フロンターレは、ボールを相手ゴール方向に運ぶのが精一杯で、成功率が高いシュートチャンスを作るまでの余裕がありません。また、ハイネル、長谷川といった「ボールを運ぶのが得意な選手」を起用している事で、ゴール前まではボールを運べているものの、ペナルティエリア付近で相手の守備を崩す時に、ボールを「受ける」「外す」動きが上手い選手が少なく、複数の選手が連動して動けていないので、最後にボールが渡ると予想される小林へのマークを厳しくしていれば、ゴールを決められるということはない。そんな予想が立てられます。

ボールを運んでから「どう崩すか」

今の川崎フロンターレに必要なのは、ボールを「受ける」「外す」動きが出来る選手を増やすこと、そして小林に対していかに成功率が高いシュートチャンスを作ってあげることです。正直言うと、この試合に先発での起用が予想されている、ハイネルと長谷川は、僕は適任ではないと思います。ただ、森谷、大塚といった選手はセレッソ大阪戦の動きを見ていると、疲労から動きが重かったので、その点を考慮したのだと思います。大島が復帰し、エドゥワルド・ネットが出場停止から戻ってくるので、ボールを相手陣内に運ぶのは、スムーズになると思います。あとは、そこから「どう崩すか」です。どんな試合になるのか、注目です。

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