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第96回天皇杯決勝 川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ プレビュー「いざ決戦」

   

第96回天皇杯決勝、川崎フロンターレの対戦相手は鹿島アントラーズです。

勝負を制するための駆け引き

この試合を観るにあたって、鹿島アントラーズはどう攻めてくる、どう守ってくるといった、基本的な原則はもちろん抑えておくべきポイントです。しかし、この試合はそこが勝敗を分ける試合ではありません。勝敗を分けるのは、1人の選手がきちんと走らなかったとか、疲れててちょっと足が止まったとか、そんな小さな事です。

僕が注目しているのは、開始10分の戦い方です。鹿島アントラーズ(特に小笠原)は、最初のプレーで相手に対して強くボールを奪いに行き、ファウルになっても、いやむしろファウルをわざとするくらい強く当たり、相手のボールを奪いに行きます。そして、わざと背後からやります。

なぜ、背後から強く当たるのか。それは、相手に恐怖心を植え付けるためです。ファウルを受けた相手は、ファウルの痛みとあわせて、「相手が後ろから今日は激しくくる」という事を頭に入れます。残像として守備者が強烈にチェックにくる事が残った事で、必要以上に相手を警戒し、相手が来ていないのにボールを受けるのを怖がったり、ボールを下げてしまったりといった、消極的なプレーを選択しがちになるのです。そして、1人が消極的なプレーを選択すると、連鎖して他のプレーヤーも消極的なプレーを選択してしまうのです。こうなると、鹿島アントラーズの狙い通りに試合が進んでしまいます。

チャンピオンシップ準決勝を思い出してください。この試合、開始直後に小笠原が大久保に激しくボールを奪いに行き、ファウルをとられました。ファウルを受けた大久保が、しばらくうずくまって動けないほどでした。このファウルによって、川崎フロンターレの選手たちには、「鹿島アントラーズは激しくくるな」「簡単には大久保にボールを渡せないな」といった情報がインプットされました。その結果、縦方向にボールを進めるのを怖がってしまい、縦方向のボールを受ける役目を担っていた長谷川も負傷交代、川崎フロンターレらしくない戦いを90分間続け、試合に敗れてしまいました。

だからこそ、僕はこの試合では川崎フロンターレの選手にやり返して欲しいと思います。小笠原がボールを持ったら、こちらから激しくボールを奪いに行き、ファウルになってもよいから、相手に対して「今日は激しくくるぞ」「今日は違うぞ」という気持ちをプレーで表現することが、鹿島アントラーズにもプレッシャーを与えます。そして、これが本当の「戦術」です。

5年間突き詰めてきた「戦闘力」

川崎フロンターレは、風間監督が就任してからの約5年間、1人1人の「戦闘力」を高めるためにどうしたらよいか、徹底的に突き詰めてきました。「戦闘力」を高めるために、ボールを受ける動き、相手を外す動き、ボールを運ぶ動き、ボールを止める動き、そしてこれらの動きをつなぐパスのスピード、精度を突き詰めてきました。そして、この試合で求められるのは、基本的な動きとあわせて、相手が身体をぶつけたり、心理的に揺さぶりをかけてきたときに、普段と同じ動きが出来るかどうかです。普段と同じ動きをするために必要なのは、技術、体力、知力含めた1人1人がサッカーという戦いで戦える総合力、すなわち「戦闘力」です。

この試合で問われているのは、風間監督が約5年間突き詰めてきた「戦闘力」をいかに発揮するか。大久保、中村、チョン・ソンリョンといった選手は、その事をよく分かっているはずです。

サッカーをしよう

僕はチャンピオンシップ準決勝のレビューで、「川崎フロンターレは、勝つために必要な事とは逆の行動をしていた」と書きました。象徴として「#いざ決戦」と題したプロモーションに、とても違和感がありました。準決勝から「#いざ決戦」ではないだろう。このプロモーションから、力が入りすぎているチームの状態が読み取れたからです。ただ、この試合は違います。トーナメントの決勝戦。一発勝負です。この試合こそ「#いざ決戦」にふさわしい舞台です。

FC今治の吉武監督は、JFL昇格を決める地域決勝前には「さらっと勝つ」と語っていましたが、地域決勝のハーフタイムには「もう戦術なんて関係ない!」と選手に声をかけ、こう続けました。


いいサッカーをしよう!

2016年シーズン最後の試合、どんな試合になるか楽しみです。

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Photo by TAKA@P.P.R.S

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