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第96回天皇杯2回戦 川崎フロンターレ対ブラウブリッツ秋田 プレビュー「中央から相手を攻撃したい理由」

   

第96回天皇杯2回戦、川崎フロンターレの対戦相手はブラウブリッツ秋田です。

なぜ中央から攻撃したいのか

この試合のポイントは、中央からの攻撃です。

今シーズンの川崎フロンターレは、大久保の言葉を借りるなら「攻撃のクオリティが低い」という問題をかかえながら、シーズンを戦ってきました。現時点で年間得点数1位のチームに対して、「攻撃のクオリティが低い」という表現を用いるのは、おかしなことではないかと感じる方もいると思います。僕自身、得点が奪えているので、「攻撃のクオリティが低い」という問題を、そこまで問題視しなくてもよいのではないか。そう考えていた時期もありました。ただ、先週行われた柏レイソル戦を観ていて、改めて「攻撃のクオリティが低い」という問題を、きちんと考えなければならないのではないか。そう感じました。

大久保は、2016年シーズンの川崎フロンターレは、「中央から攻撃する回数が減った」と語っています。言葉だけ聞くと、実は良いことのように感じる人もいると思います。サッカーでは、攻撃はサイドから行ったほうが有効だと言われています。一般的に、中央はセンターバック2名とボランチ2名の合計4名で守りますが、サイドはサイドバックとサイドハーフの2名で守ります。4人で守るエリアより、2名で守るエリアを攻略することを優先したほうが、得点を奪えるのではないか。その考え方は、正しいように思えます。

ただ、よく考えてみると、ゴールは中央にあります。サイドのエリアを崩しても、ゴールを奪うためには、中央のエリアにボールを戻さなければなりません。結局、横から崩すか正面から崩すかの手段の違いはあるものの、中央のエリアを崩さないと、ゴールは奪えないのです。ペナルティエリアの形を考えて頂くと、長方形の形をしています。そして、中央のエリアを構成する辺の方が、サイドを構成する辺より長い形をしています。サッカーでは、ペナルティエリアの外からうったシュートと、ペナルティエリアの中でうったシュートの成功率は著しく違います。圧倒的にペナルティエリアの中でうったシュートのほうが、成功率は高くなります。

風間監督は、時折「高さで解決しない」という表現を使って説明することがあります。「高さで解決しない」という考えは、サイドから味方にあわせるとき、ふわっと高いボールを上げる時があります。この時、パスの出し手は「だいたいこの辺り」といった具合に、あまり狙いを定めずに蹴る傾向にあります。低いパスを繋ぐ時は、足元に正確につなごうと狙いを定めているのに、サイドからのパスはあまり狙いを定めない。これでは、なかなかゴールは生まれません。

ペナルティエリアの中でシュートをうつには、当然ボールをペナルティエリアの中に運ぶ必要があります。ペナルティエリアの中に運ぶためには、ペナルティエリアを構成する三辺のどこから侵入するとよいか。改めて、ペナルティエリアの形を考えると、中央のエリアの方が、「入り口は広い」と言えなくもありません。だから、川崎フロンターレは中央のエリアを崩す練習を繰り返し繰り返し行ってきました。それは、より効率よくゴールを奪うためなのです。

大久保が中央から攻撃する回数を増やして欲しいのは、自身のプレースタイルにも関係します。大久保は身長が低いため、高いボールをヘディングであわせるというゴールは、多くありません。むしろ、ペナルティエリア中央でボールを受けて、正確なシュート技術を駆使して、ゴールを奪うことを得意としています。だから、ペナルティエリア近くで、自分がパスを受けられる体勢になったら、早くボールが欲しいのです。大久保の技術を駆使すれば、目の前にDFがいても、足の間、身体の横を正確に抜いて、シュートを決める事が出来ます。中央のエリアを崩し、ボールを受けるのが、一番自分にとって効率よくゴールを奪える手段だからこそ、大久保は都度チームメイトに「早くパスが欲しい」「中央から崩して欲しい」と要求し続けてきたのです。

正確性が求められるから中央から崩すトレーニングを行う

ただ、川崎フロンターレの攻撃に対しては、相手チームも当然研究しています。中央のエリアを守るために守備者同士の距離を狭くし、川崎フロンターレが得意とする「受ける」動きを封じようとするチームが増えました。また、川崎フロンターレが得意とする、短い距離のパス交換をさせないために、攻撃時にロングパスを活用し、川崎フロンターレの選手間の距離を広げようとするチームもあります。

こうした相手チームの対策に対応するために、川崎フロンターレは2016年シーズンは中央ではなくサイドから攻撃するようになりました。ファーストステージはこの攻撃が有効でしたが、セカンドステージに入って、次第にサイドを崩せなくなってきました。そして、最近の川崎フロンターレに対する守備としては、DF4人、MF4人が、それぞれペナルティエリアの横幅と同じくらいの幅まで縮まって、中央からペナルティエリア内に侵入させないようにしています。中央もサイドも崩せない。そうなりかねない危険性が、今の川崎フロンターレの攻撃にはあります。

大久保が危機感を訴えているのは、サイドからの攻撃に強い小林を選択するチームに対する苛立ちもあると思いますが、中央もサイドも攻撃出来なくなってしまうと考えているからなのではないかと、最近感じました。今週の練習では、中央から相手の守備を崩すことに、改めて意識をおいて取り組んできたようです。

対戦相手のブラウブリッツ秋田はJ3のチームですが、中央から簡単に崩させてくれるとは思えません。だからこそ、改めて正確な技術を駆使して、相手の守備を崩すという、チームが目指す攻撃に立ち返る意味でも、中央からの攻撃がどれだけこの試合で表現出来るか注目したいと思います。

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