勝つときは汚く、負けるときはきれいに。クライフイズムを感じた川崎フロンターレの「3-4-3」。2014年J1第20節 川崎フロンターレ対セレッソ大阪 レビュー

2014年J1第20節、川崎フロンターレ対セレッソ大阪は、5-4で川崎フロンターレの勝利。両チーム合わせて9ゴールを記録した試合ですが、つまらないミスは少なく、両チームが持てる力を発揮した見どころの多いゲームでした。5-4というスコアになった時、ヨハン・クライフの「勝つときは汚く、負けるときはきれいに」という言葉が浮かびました。まさに、「勝つときは汚く」勝った試合だと思います。

機能した前半、機能しなかった後半

この試合は、3-4-3が機能するかに注目していました。機能するかどうかの判断基準として、プレビューでは「ボールを握る時間」「MF4人がダイヤモンドの陣形を築けるか」をポイントに挙げてみました。

前半は、3-4-3というフォーメーションによって、川崎フロンターレが持っている攻撃力が存分に発揮されました。3-4-3の良い所は、フォーメーションによって、自然とパスコースが作れる点です。元々パスを繋ぐのがうまい川崎フロンターレにとって、パスコースが自然と作れる3-4-3を採用したことによって、普段以上にパスがスムーズに回るようになりました。

セレッソ大阪は、ボールを持っている選手に対して、人数をかけ、距離を狭くすることでプレッシャーをかけ、ボールを奪おうと試みました。しかし、川崎フロンターレはその狙いを逆手に取って、わざとセレッソ大阪の選手を引きつけてから逆サイドに展開して、セレッソ大阪の守備の狙い所を絞らせませんでした。レナトがPKを奪うまでのパス回しは、川崎フロンターレの狙いが上手くはまったプレーだったと思います。

しかし、後半はセレッソ大阪が攻勢に出ます。選手を2人交代し、フォーメーションを3-5-2に変更。守備の時は、3-4-3の川崎フロンターレの選手にマンマークでつくようにしました。川崎フロンターレは、マンマークしてくる相手を外すことが出来なくなったため、ミスが目立ち、徐々にボールを繋げなくなっていきます。

川崎フロンターレは、61分に稲本を投入し、フォーメーションを4-2-3-1に変更し、セレッソ大阪のマンマークを外そうとします。その狙いを読んだセレッソ大阪は、後半から右のウイングバックに入っていた吉野をボランチに移し、4-2-3-1に戻し、簡単には主導権を渡しません。こうした臨機応変の対応をみていると、セレッソ大阪のペッツァイオリ監督が優秀な監督だということがよく分かりました。

結果的に1点差で逃げ切ることに成功しましたが、3-4-3のメリット・デメリット両方が感じられた試合だったと思います。

3-4-3のメリット・デメリット

3-4-3はパスコースが作りやすく、FWが3人いるため、非常に攻撃しやすいフォーメーションなのですが、反面DFが3人しかいないため、相手の攻撃を受けるときは、人数が同数もしくは数敵不利になるため、チャンスも作りやすいが、ピンチも多いフォーメーションなのです。

そのため、3-4-3でプレーするときは、普段以上にミスのないプレーが求められます。また、相手の攻撃を受けた時、DF3人は1対1もしくは数敵不利でも、相手を止めることが求められます。あのFCバルセロナでも3-4-3を実行するのは、簡単ではありませんでした。ヨハン・クライフが監督を務めていた、「ドリームチーム」と呼ばれたFCバルセロナでさえ、1シーズン100点取る攻撃力を持ちながら、失点も50点近く取られるチームだったということが、3-4-3の難しさを物語っています。

僕個人的には、3-4-3を今後も続けて欲しいと思います。なぜなら、前半の川崎フロンターレがみせた攻撃は、今までJリーグで見たことがない破壊力を秘めていたからです。川崎フロンターレは、3-4-3がもたらす力をまだ45分しかコントロール出来ませんでしたが、今後はコントロール出来る時間が増えていくのか、注目していきたいと思います。

目指すサッカーへのこだわりが感じられた交代策

余談ですが、この試合風間監督の選手交代のタイミングが印象に残りました。5-4と追い上げられているにもかかわらず、ジェシと田中裕介を投入するのを、試合終盤まで待ちました。試合終盤まで待った理由としては、早めに守備の選手を投入してしまうと、チームの意識が守備に傾いてしまい、攻め込まれる時間が長くなってしまうのを危惧したのだと思います。

現に、68分にパウリーニョを投入したサガン鳥栖戦では、守備に意識が傾きすぎてしまい、試合終盤は相手に押し込まれてしまいました。川崎フロンターレが目指すのは、90分間ボールを持ち続けて、選手が伸び伸びとプレーするサッカーです。1点差に追い上げられたからといって、守備を固めて逃げ切るのではなく、ボールを持って試合をコントロールして勝つことを優先する。風間監督の采配にも、川崎フロンターレが目指すサッカーへのこだわりが感じられました。

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