nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

ドルトムントだから香川が活きる理由。川崎フロンターレ対ボルシア・ドルトムント レビュー(2)

      2015/07/10

川崎フロンターレ対ボルシア・ドルトムントとの試合は、0-6でボルシア・ドルトムントが勝ちました。本当は、この試合のレビューを書くつもりはなかったのですが、あまりにも気づきの多い試合だったので、急遽試合を観てレビューを書くことにしました。今日から3回に分けて、この試合を観て気づいた点を書きたいと思います。

今回は「ドルトムントだから香川が活きる」です。

ゲーゲンプレッシングの基になっている動き

ドルトムントとの試合後、谷口彰悟が「相手はポジショニングが的確で、言い方は悪いが、立っているだけなのに、ボールが出せなかった。」というコメントをしていました。なぜ、谷口はそう感じたのでしょうか。

ドルトムントは、「ゲーゲンプレッシング」と呼ばれる守備が持ち味のチームです。ゲーゲンプレッシングとは、ボールを奪われた後、素早く相手に対して2~3人で囲むことで、相手ゴールに近い位置でボールを奪ってしまう守備戦術のことです。「ゲーゲンプレッシング」という言葉は、ドルトムントの前監督ユルゲン・クロップが使い、今や「ゲーゲンプレッシング」は、ブンデスリーガの多くのチームが取り入れています。

「ゲーゲンプレッシング」の基本となるのは、「相手のパスコースとドリブルするコースを塞ぐ」ポジショニングと、身体の動きです。相手の身体の向き、目線、脚の動き、ボールの位置、背中の感覚などから、相手が次にどんな動きをしてくるか予測し、素早く相手のパスコースとドリブルするコースを塞ぎます。

「ゲーゲンプレッシング」の動きを見ていると、とりあえずボールを持っている相手を複数人で取り囲み、強引にボールを奪っているように見えてしまいます。しかし、「ゲーゲンプレッシング」を機能させるには、的確なポジショニングと、ポジショニングを実現する身体の動きが必要なのです。

川崎フロンターレ戦のドルトムントは、コンディションがよくなかったため、「ゲーゲンプレッシング」と呼ばれる強引にボールを奪いかえす動きの頻度は、多くありませんでした。しかし、「ゲーゲンプレッシング」を実現するポジショニングは、身体が覚えていますし、コンディションが悪くてもある程度は表現できます。谷口が体感したのは、「ゲーゲンプレッシング」の基礎なのだと、僕は考えています。

なお、プレーの選択肢を減らされた選手は、サポーターから観ていると「やる気がない」「何とかしようとする気持ちが見えない」と思う時があります。しかし、本当の選手の心理はサポーターとは間逆だと僕は考えています。何かしたくても出来ない。どんなプレーをすればよいか分からない。こんな状態に陥ってしまっているため、サポーターからは気持ちが見えないように感じてしまうのです。

(ちなみに「選択肢を減らす」守備については、「ユベントスの「ボールを奪いにいかない守備」について考える」で詳しく書いています。)

ドルトムントだから香川が活きる

ドルトムントは、チームが指導して2週間しか経っていないということもあり、チームの戦い方としては統一されていないところも見られました。

特に、前半に4-1-2-3というフォーメーションで戦っていた時、川崎フロンターレのセンターバックがボールを持った時、香川が慣れ親しんだ4-2-3-1のフォーメーションの時と同じように、センターバックに対してボールを奪いにいってしまい、香川がかわされた後のスペースを使って、川崎フロンターレがボールをドルトムント陣内まで運ぶ場面がみられました。

香川と丸岡のプレーを観ていると、「止める」「受ける」「外す」「運ぶ」といった動きは、ドルトムントのメンバーと比較しても、高いレベルにあります。特に狭いスペースの中で、ボールを正確にコントロールする技術は、他のメンバーより明らかに勝っています。

しかし、守備の時に他の選手と連動してボールを奪う動きや、フォーメーションのポジションを守りながら、相手の選択肢を減らしていく動きは、他の選手と比較すると質が落ちると、僕は思いました。だから、ドルトムントで香川が起用されるのは、他の選手が守備についてはカバー出来るので、相手ゴール前で違いをみせてくれればよいという考えがあるからだと思います。

マンチェスター・ユナイテッドでは、香川のために守備をカバーするという考えはありませんので、香川が成功しなかったのは、ヨーロッパのリーグを戦う上で求められる、基本的な守備戦術をこなした上で、攻撃面での違いを出せなかったからだと、この試合を観ていて、改めて感じました。

今シーズンの香川に期待したいのは、「のびのびした動き」です。狭いエリアでも正確にプレー出来るのが香川の強みですが、マンチェスター・ユナイテッドに移籍後から、身体が縮こまってしまい、窮屈に見えるときがありました。

狭いエリアでの正確にプレーするには、リラックスしてのびのびと動くことです。ここ数年、香川は強いプレッシャーを感じてプレーしていることが、身体の使い方からも伝わってきました。今シーズンは、のびのびとしたプレーする香川が見れることを期待しています。

次回は「川崎フロンターレがドルトムント戦で試したかったこと」というテーマについて書きたいと思います。

おすすめ商品

 - , ,