第96回天皇杯準々決勝 川崎フロンターレ対FC東京 レビュー「僕はこうやって川崎フロンターレの記事を書いてきた(レビュー編)」

第96回天皇杯天皇杯準々決勝、川崎フロンターレ対FC東京は、2-1で川崎フロンターレが勝ちました。準決勝は大宮アルディージャと戦います。

なお本記事は、川崎フロンターレ Advent Calendar 2016の25日目として寄稿させて頂く記事でもあります。せっかくなので、「僕はこうやって川崎フロンターレの記事を書いてきた」と題して、昨日のプレビュー編に続き、僕のレビュー記事の書き方を紹介したいと思います。

僕はこうやって川崎フロンターレの記事を書いてきた

プレビュー編では、試合を観る前に必ず心がけていることして、「試合ごとに注目すべきポイントを設定すること」と書きました。プレビューは試合ごとに注目すべきポイントを設定し、レビューは注目したポイントに対する振り返りと、他に気づいた事を書くようにしています。こうすることで、プレビューとレビューを続けて読むことで、より深く試合を理解して頂けるのではないか。そう考えたからです。

レビューを書く前には、必ず試合の映像を2回観るようにしています。観戦に行っていない時は、リアルタイムで1回。翌朝にもう1回観ます。観戦した時は、帰宅後に1回、翌朝にもう1回観ます。帰宅後に観るのは、観戦している時は子供と一緒に観ているので、途中で席を立つことも多く、落ち着いて観戦出来ない事が多いからです。

リアルタイムで観る時は、試合の大まかな印象をインプットするように心がけています。翌朝観る時は、得点シーンの前後、流れが変わったと思われるシーンは何度も巻き戻したりして観返します。ただ、毎朝行っているトレーニングをしながら観ているので、大まかにみつつ、気になるところだけ集中して確認しています。

試合の映像を観ている時は、ボールはほとんど目で追いません。どちらかというと、ボールを保持している選手の周りを観るように心がけています。映像を観る時、ほとんどの時間、ボールは画面の中央にあります。ボールは中央にあるのだとしたら、視点は中央においておきつつ、周りをみるように心がけた方が、より多くの情報を入手することが出来ます。

また、ボールを保持している人は、「これから何かを起こそうとしている人」です。ボールを持っている人が何かを起こすのではなく、ボールが動いた先で何かが起こるのが、サッカー、バスケットボールといった球技の特徴です。したがって、次にフィールド上で何が起こるのかを知りたかったら、ボールを持っていない選手の動きを目で追った方が、より多くの事が分かります。

ボールを目で追わないのは簡単ではありませんが、コツがあります。それは、お気に入りの選手を決めて、その選手の動きをボールに関係なく追い続ける事です。映像に映っていない時は、映像の外でどんな動きをしているか想像しながら観続けます。これを繰り返していると、次第にボールを目で追わなくなってきます。そして、少しづつボール以外を観る範囲を広げてください。慣れてくれば、フィールド全体をぼんやりと目に入れることが出来るようになります。そして、少しずつですが、映像に映っていない選手がどんな動きをしているのか、想像出来るようになってきます。

こうやって試合を観ながら、選手の動き、身振り手振り、口の動きといったことから、選手の調子、要求していること、選手のアイディアを想像していきます。「大久保がやりづらそう」とか「谷口が苦労している」とか書いていることは、すべてフィールド上の情報から読み取ったものです。取材はしていません。こうして、試合を観て読み取った情報と、川崎フロンターレのWebサイトに掲載されている試合後の選手コメントを照らし合わせて、レビューを書いていきます。

レビューを書くとき、プレビューを書くとき、心がけている事があります。それは、「箇条書きのように書く」という事です。一つの段落を箇条書きのように、100〜200文字ほどでまとめる。こうやって書くことで、長文を書くストレスを軽減させることが出来るだけでなく、書きたいことが簡潔にまとまるようになりました。

そして、出来るだけ起こっている事象を書くようにしています。「こう思った」「こう感じた」「こうあって欲しい」といった個人の願望、希望、要望は最小限にするようにしています。書くためにどんな事象を選ぶかで、書き手の意図、気持ちは十分すぎるほど文章に込められる。僕はそう考えています。個人のブログだからこそ、僕はそう心がけてきました。

前置きが長くなりましたが、試合のレビューを書きたいと思います。

改善されつつある攻撃のクオリティ

試合前にこの試合のポイントとして挙げたのは、「攻撃のクオリティが低い」という問題についてでした。大久保が2016年シーズンを通して再三指摘してきた問題です。

大まかに言うと、風間監督が就任後の川崎フロンターレのボールの運び方は、こんな感じでした。

  1. センターバックからボランチにパスを出す
  2. ボランチから大久保にパスを出す
  3. 大久保がボールを受けて、相手を外す。もしくは一旦下げる
  4. 何度もパスをつなぎながら、中央からペナルティエリアに侵入しようとする。運べない時はサイドにパスをしてペナルティエリアに侵入しようとする

ところが、2016年シーズンの川崎フロンターレのボールの運び方は違いました。

  1. センターバックからボランチにパスを出す。出せない時はサイドバックにパスを出す
  2. ボランチからサイドハーフ、サイドバックにパスを出す
  3. サイドからボールを運ぶ。サイドで何度もパスをつなぐ
  4. サイドを崩してペナルティエリアにいる選手に向けてパスを出す

2015年シーズンまでは、大久保が下がってボールを受けようとしたら、かなり高い確率でパスを出していました。大久保はパスを高い確率でキープし、味方にパスをし、攻撃を仕掛けるスイッチを入れる役割を担っていました。ところが、2016年シーズンは大久保にパスを出す場面が激減しました。空いているサイドからボールを運ぶようになったため、大久保がパスを受ける回数が激減しました。

大久保はFWの位置から下がってパスを受け、味方にわたしてからゴール前に走り込み、シュートを入れるというパターンで、3年連続得点王を獲得してきました。ところが、2016年シーズンはこのパターンが使えなくなりました。通用しなくなったのではなく、使えなくなったのです。したがって、大久保は別のパターンを使ってゴールを奪わなければならなくなりましたが、チームには幸か不幸か小林というストライカーがいました。小林はサイドからのパスにあわせてゴールを決めるのが得意なので、ボールの運び方が変わっても、勝つことが出来ていました。ただ、大久保の不満はつのるばかりでした。

しかし、セカンドステージ第16節の鹿島アントラーズ戦の後半、第17節のガンバ大阪戦の前半、天皇杯4回戦の浦和レッズ戦と、少しずつ大久保にパスが入る攻撃が増えてきました。これは大久保のポジションを下げ、大久保にパスが入りやすくしたこと、そしてガンバ大阪戦と浦和レッズ戦は長谷川がスタメンで起用され、背後を狙う長谷川の動きが、大久保がパスを受けるスペースを与えたことも要因です。ただ、チャンピオンシップで長谷川が負傷交代し、大久保だけになってしまった後、攻撃は機能しなくなってしまいました。だから、小林が復帰するこの試合、攻撃がどうなるのかに注目していました。

結果的には、セカンドステージ最後2試合と天皇杯の浦和レッズ戦の流れをくんだ、ボールの運び方が出来ていたと思います。大久保がマークを外した瞬間に、DFやボランチから縦方向にパスが出る。大久保がパスを受けてキープして味方にパス。パスを受けた味方は前を向いてパスを受けられるので、スピードを上げて、ボールを運ぶことが出来るので、攻撃のスピードが2016年シーズン全般の攻撃と比較して速くなっていました。まだまだ、中村から大久保に縦方向のパスが入る回数は多くありませんでしたが、小林がDFの背後を狙い、大久保がパスを受けて、登里が2人の間に立って攻撃をサポートする。この3人の連携もスムーズでした。

なぜ、縦方向にパスが入ると、攻撃のクオリティが改善されるのか。それは、相手を崩す回数が増えるからです。ゴールは結局中央にあるので、サイドを崩しても中央にボールを運ばなければなりません。しかし、中央を崩せば、最短距離でボールを運ぶ事が出来ます。中央は相手も人数をかけて守るエリアですから、難易度は高いです。しかし、難易度の高いエリアを崩す事が出来ているということは、攻撃のクオリティが上がっていると言えると思っています。

後半からFC東京が川崎フロンターレの弱点である右サイドを攻撃してきた結果、守備をする時間が長く続きましたが、焦る事なく試合を運ぶ事が出来ていました。1ヶ月ぶりの試合としては、悪くない試合だったと思います。

試合後の選手、監督のコメントを読んでも、勝ったからといって浮かれている選手はいませんでした。サポーターのツイートも冷静な内容が多く、勝った事で必要以上に喜ばない態度からは、タイトルへのモチベーションの高まりと、チャンピオンシップの反省が活かされているような気がしました。勝つチームは、淡々としています。勝って当たり前。このくらいの気持ちでいなければ、勝ち続ける事は出来ません。必要以上に盛り上げすぎず、喜び過ぎず、次の試合への準備をする。よい緊張感が保てていると思います。

次の準決勝は大宮アルディージャ戦。大久保の退場をきっかけに、2-3で負けた試合が思い出されます。この試合をきちんと勝っていれば、優勝できたのではないかという試合です。その借りを返すというわけではありませんが、負けたら終わりのトーナメントで、どんな試合をしてくれるのか、注目したいと思います。

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