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2017年J1第20節 川崎フロンターレ対FC東京 プレビュー「求められているのは、長男プロレス」

   

2017年Jリーグ第20節、川崎フロンターレの対戦相手はFC東京です。まず第19節までのデータを基に、FC東京のデータから分析した特徴を紹介します。

シュートチャンスが作り出せないFC東京

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は8.6%でリーグ15位。攻撃回数は124.9回でリーグ7位なのですが、シュート数が1試合平均10.7本でリーグ15位と攻撃回数に対して、シュート数が少ないという特徴が伺えます。言い換えると「シュートチャンスを作り出せていない」のです。

他のデータを分析すると、1試合平均のボール支配率は49.9%でリーグ8位。1試合平均のパス数も455.4本でリーグ12位。1位の川崎フロンターレ(681.7本)とは、200本以上の差があります。FC東京はボールを保持し、パスを数多くつないでシュートチャンスを作り出す「ポジショナルプレー」よりは、相手の守備が整わないうちに素早く攻撃を仕掛ける「カウンター攻撃」を得意としているチームなので、パス本数が少ないこと、ボール支配率が50%を切っていることは、そこまで重要な指標ではありません。1試合平均の30mライン侵入回数が43.9回でリーグ8位という数値も、ある程度はボールを相手陣内に運べている事を示しています。問題なのは、「ボールを運べているのにシュートが打てない」ことなのです。

FC東京のシュート成功率は11.3%でリーグ6位と低い数値ではありません。ただ、FC東京はチャンス構築率が8.6%と高くないチームにもかかわらず、セットプレー関連の得点が全体の32%とそれほど高くありません。1試合平均の直接フリーキックの数は14.7本でリーグ1位。太田宏介という素晴らしいキッカーもいるにもかかわらず、セットプレーからの得点が少ないのは、FC東京というチームがセットプレーをシュートチャンスにつなげられていないということも意味しています。

実はFC東京の1試合平均のゴールの枠内にシュートした数は、3.6本でリーグ13位。シュート成功率が高いのに、枠内シュート数が少ないというのは矛盾しているように感じるかもしれませんが、FC東京が作り出しているシュートチャンスが、成功率が高いチャンスと低いチャンスに分かれている可能性があります。低いチャンスの例は、枠内にシュートする確率が下がるペナルティーエリア外からのシュートです。成功率が高いシュートチャンスをいかに作り出すか。ここにFC東京の課題がある気がします。

守備のデータを分析すると、シュートを打たれた数を被攻撃回数で割った「被チャンス構築率」は、10.7%でリーグ10位。1試合で打たれているシュート数は13.4本でリーグ14位と、シュートを多く打たれている事がわかります。ただ、失点数をシュートを打たれた数で割った「被シュート成功率」は、8.3%でリーグ6位。2017年シーズンから加入したGK林やDFが成功率の高いシュートチャンスを作らせておらず、シュートを打たれても止めている事が読み取れます。

ただ、FC東京は攻撃時のビルドアップに問題を抱えているチームなので、時間が経つにつれて、少しずつ相手に押し込まれる傾向があります。Football-LABで新しく開始した「プレースタイル」に関する指標を分析すると、75分の時は自陣ゴールから35.5mの位置にあるDFのポジションが、90分の時は37.7mと2mほど下がっています。これは、時間が経つにつれて相手に押し込まれる傾向があることを示しています。川崎フロンターレは75分以降の得点が多いチームなので、75分以降にFC東京が川崎フロンターレの攻撃をどう抑えるか、ポイントになりそうです。

「攻撃しすぎた」ジュビロ磐田戦

川崎フロンターレは前節2-5で敗戦。特にもったいなかったのは、1-1で追いついた後にセットプレーで失点したことと、1-3になった後の6分間で2失点して1-5にしてしまった事でした。チームとしてゲームマネジメントが上手くいってないことがもたらした連続失点だと感じました。

同点に追いついた直後、失点した直後に失点を重ねる原因は、焦って次の得点を奪いにいった事が要因です。ジュビロ磐田は川崎フロンターレにボールを保持させて、中央エリアに出される縦方向のパスを狙っていました。川崎フロンターレは、相手の狙いを外して攻撃を仕掛ける力もありますが、ジュビロ磐田戦は相手の狙いと、相手の守備力を読み取って、違う方法でボールを相手ゴール前に進めてもよかったと思います。ボールは保持できているものの、相手を押し込む事が出来なかった事が、ボールを奪われた後に相手の攻撃を受けてしまった要因でした。雨でパス交換のテンポを上げるのは簡単ではありませんでしたが、パス交換のテンポが上げられないのであれば、陣地を進めるようなロングパスを蹴って、相手を押しこんでから、ボールを奪い返してから攻撃を仕掛けても良かったと思います。ジュビロ磐田は自陣からのビルドアップが得意なチームではありません。相手に応じて臨機応変に戦い方を変えても良かったと思います。

サッカーでは、ボールを保持するチームは、攻撃を仕掛ける権利を持っています。攻撃の仕掛ける方法は、ボールを持っているチーム次第です。川崎フロンターレは、相手を押し込み、パスを正確につないで、相手の守備を崩す事は出来るようになりました。あとは、攻撃する権利のコントロールを上手く出来るかだと思います。タイトルをとるチームは、これが上手いのです。

将棋を観ていると、相手にチャンスをわざと与えて、相手の手にあわせて対応することで自分が優位に立つ方法を選択する棋士がいます。羽生善治さんはこれが抜群に上手いのですが、サッカーでも同じことがいえます。無理して相手を攻撃し続ける必要はありません。時に相手に攻撃する権利を渡すのも、勝つためには大切です。言い換えるとジュビロ磐田戦の川崎フロンターレは、「攻撃し過ぎた」のです。

新日本プロレスの棚橋弘至さんが語っていたのですが、団体を背負う選手に求められているのは「長男プロレス」なのだそうです。相手の攻撃を受け止め、相手の良さを出させた上で、最後に自分が勝つ。相手に突っかかっていったり、ツッコミをいれるのではなく、相手をどっしりと受けとめ、時に攻撃させて、最後に自分が勝つ。そんな選手がチャンピオンに相応しい。そんな意味で「長男プロレス」という言葉を使っていたのだと思います。

FC東京もゴール前の守備が上手いチームなので、ジュビロ磐田戦と同じような試合展開になる可能性があります。同じような試合展開になった時にどのように対応するのか。しゃかりきに攻撃するのではなく、相手にボールを渡すくらいの余裕があるか。川崎フロンターレというチームのレベルが上がったからこそぶつかった課題をどう解決するかに、僕は注目したいと思います。焦ってはダメです。

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