2017年J1第32節 川崎フロンターレ対ガンバ大阪 プレビュー「阿部浩之の凄さは、いなくならないと分からない」

2017年Jリーグ第32節、川崎フロンターレの対戦相手はガンバ大阪です。

ボールを相手陣内に運べなくなったガンバ大阪

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は11.1%でリーグ8位。攻撃回数は120.5回とリーグ10位。1試合平均のシュート数は13.4回でリーグ8位という数字からは、特筆すべき点はありませんが、第16節に対戦した頃から、大きく変わった点があります。それは、シュート成功率です。

第16節時点でのガンバ大阪のシュート成功率は、14.3%でリーグ1位でした。しかし、第31節時点でのデータによると、ガンバ大阪のシュート成功率は、11.1%でリーグ5位。シーズン半分を終えた頃と比較すると、下がっています。

第16節時点でのガンバ大阪の個々の選手のシュート成功率を調べると、当時チームトップの6得点を挙げていた倉田のシュート成功率が19.4%、5得点の長沢が22.7%、3得点の堂安が27.3%と、20%を超えていました。しかし現在は、長沢のシュート成功率は19.2%ですが、倉田は11.1%と下がっています。つまり、第16節の頃と比較すると、成功する確率が高いシュートチャンスが作れていないのです。

気になったのは、1試合平均のパス数が521.7回でリーグ4位、1試合平均のボール支配率が52.7%とボールを保持する時間が長く、パスをつなぐ本数が少なくないにもかかわらず、30mラインの侵入回数が1試合平均で44.6回でリーグ8位と、ボールが相手ゴール方向に運べてないのだということがわかります。

ボールを相手陣内に運ぶのに苦労しているので、成功する確率が低いシュートに該当する、相手に身体を当てられながらシュートを打ったり、相手のシュートブロックが近い位置や、ゴールから遠い位置でシュートを打つ事が多いのではないかと読み取れます。1試合平均の枠内シュート数は、4.2本でリーグ8位という数字からも、成功率が低いシュートを打っている事が読み取れます。

守備のデータを分析すると、「ボールを相手陣内に運べていない」問題が影響している事が読み取れます。

シュートを打たれた数を攻撃を受けた数で割った「被チャンス構築率」は11.7%でリーグ14位。ちなみに、第16節当時は10.1%でした。つまり、ボールが相手陣内に運べないので、相手の攻撃を受け、シュートを打たれる確率が高まっているのです。ゴールを決められた数をシュートを打たれた「被シュート成功率」は、8.5%でリーグ5位という数字は、被チャンス構築率を考えると悪い数字ではありません。東口、三浦、ファビオといった選手の守備のレベルは、相変わらず高いことが読み取れます。ただ、第16節時点に比べると、攻撃に問題をかかえており、攻撃の問題が守備に影響を及ぼしている事が読み取れます。

阿部の凄さはいなくならないと分からない

この試合で注目しているのは、阿部浩之です。

ルヴァンカップ決勝を観ながら、「阿部がスタメンで出られていたら」「阿部が30分出られていたら」「阿部が20分」と、阿部がもっと長い時間出場出来ていたら、結果は違っていたんじゃないか。そう感じずにはいられませんでした。

阿部という選手の凄さは、もしかしたら、同じチームでプレーしないと分からないのかもしれません。ボールを扱う技術も素晴らしいですが、何より凄いのは、「いつ」「どこで」「何を」「どのように」というプレーの選択に、ミスがないことです。プレーを観ていると、攻撃だけ選択し続けられる、守備だけ選択し続けられる選手はいます。阿部が凄いのは、守備でも、攻撃でも、プレーの選択にミスがなく、動きを止めない事です。阿部の凄さは、川崎フロンターレに移籍してきたことで、ようやく理解出来ました。「阿部ってこんなに凄い選手だったのか」と川崎フロンターレのサポーターは感じたかもしれませんし、移籍したガンバ大阪のサポーターは「阿部がいないってこんなに大きいのか」と感じているかもしれません。

阿部の復帰は、1人の選手が怪我から復帰する以上の影響があると、僕は考えています。攻撃で何かが起こりそうな場面でボールを受け、何かを起こしてはいけない場面でチームの動きを止め、守備でピンチになりそうな場面で相手からボールを奪い、時にはファウルで相手の攻撃を止める。試合のなかで何をしなければいけないか、たくさん見て、判断し、実行出来る選手の復帰が、チームに良い影響がないとは思えません。

阿部のいないガンバ大阪、阿部がいる川崎フロンターレ。どちらが勝つのでしょうか。楽しみです。

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