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第96回天皇杯3回戦 川崎フロンターレ対ジェフユナイテッド千葉 プレビュー「原川力のプレーから考えるボランチに求められるプレー」

   

第96回天皇杯3回戦、川崎フロンターレの対戦相手はジェフユナイテッド千葉です。この試合はテレビ中継がありません。テレビ中継がないのでレビューは書けません(僕はBリーグの開幕戦に行きます)。したがって、この試合に関する記事はプレビューのみになります。

原川が川崎フロンターレで力を発揮できていない理由

この試合で注目して欲しいのは、原川力のプレーです。原川はここまでリーグ戦わずか出場4試合。セカンドステージはオリンピックへの参加があったとはいえ、1試合も出場していません。2016年シーズン開幕前、オリンピック代表選手を獲得したということで、原川に期待していた人は多かったかもしれません。ただ、僕は原川の2016年シーズンの成績は、予想通りでした。

オリンピック最終予選が終った後、「U-23サッカー日本代表で大島僚太が力を発揮できなかった理由を考える」という記事を書いたのですが、実はこの記事で書いている事を裏返すと、「川崎フロンターレで原川力が力を発揮できていない理由」という記事が書けます。

原川が川崎フロンターレで力を発揮できていない理由は、2点あります。

1点目は「フリーの定義」が完全に理解出来ていないことです。このブログでは何度も何度も書きましたが、川崎フロンターレ以外のチームは、「相手が周りにいない」状態の事をフリーと定義しています。しかし、川崎フロンターレは、相手がいてもかわせる、あるいは相手が届かない場所にパスをして、ボールを取られないのであれば、それは「フリー」だという考えをもっています。相手選手が近くにいても、ボールをとられない位置にコントロール出来る自信がある選手にとっては、その状態は「フリー」です。ところが、味方の選手からしてみると、その状態は「フリー」ではなく、「マークされている」状態なのです。

正直言うと、僕は元々他のチームのフリーの定義の方が理解出来ないのですが、川崎フロンターレの「フリー」と他のチームの考える「フリー」は、全く違います。

川崎フロンターレに移籍してきた選手は、この「フリーの定義」の違いに苦しむのですが、原川も例外ではありませんでした。原川がボールを持つと、他の選手としてはフリーな場所を作ったので、フリーだからパスが欲しいと思っても、パスが出てこない。逆に、原川はフリーと感じてなくても、他の選手としては「こういうプレーをしてくれれば取られない」という考えを持っていてパスをしても、意図通りのプレーが原川から返ってこない。そんな事が出場した試合で何度もありました。

2点目は、技術の問題です。原川はボールを1回で「フリー」でプレー出来る場所に止められません。トラップがどうしても浮いてしまうのです。川崎フロンターレは、短い距離でパスを何本も交換した後、縦方向に素早くパスを入れて、相手の守備を崩しにいくのですが、原川はボールを止めるのにわずかに時間がかかるので、どうしても他の選手とパス交換するよりはテンポが遅くなってしまうのです。川崎フロンターレはボランチ同士のパス交換で相手の守備を動かしたり、動きを止めたりしてから攻撃を仕掛けるので、テンポが遅くなってしまうと、攻撃出来ません。したがって、出場機会が減ってしまうのも当然といえます。

そして、2016年シーズンの原川は、オリンピック代表の活動に参加している期間が長く、せっかく「フリーの定義」が理解出来てきたと思ったら、オリンピック代表の活動でチームを離れ、戻ってきたら感覚が違うのでやり直し。原川にとって、非常に苦しいシーズンだと思います。ただ、こうなることは、僕は原川が加入した時に予想出来ていました。だから、原川が活躍しなくても、特に取り上げたりすることはありませんでした。

ただ、これからは違います。オリンピック代表としての活動は終わりました。ようやく、川崎フロンターレの活動に専念出来る状態が整いました。課題は明確です。本来なら3月くらいに着手したかった課題に、ようやく着手出来る時間が出来ました。だからこそ、この試合では原川がどのくらい川崎フロンターレのテンポに適応し、フリーの定義を理解し、技術的な問題を解決しているか注目して欲しいと思います。

ボランチは「立つべき場所に立てればよい」

余談ですが、原川のよい所は「ボランチとしてプレーすべき場所を知っている」これに尽きます。原川は特に何か特徴がある選手ではありません。中村憲剛のように、パスで相手の守備を崩せるわけでも、大島のようにボールを運べるわけでも、チェルシーのカンテのようにボールを奪うのが得意でもありません。ただ、原川はボランチとしてプレーすべき場所をよく知ってます。これが出来ていれば、技術はどうにでもなります。ただ、最近のボランチとして注目される選手は、プレーすべき場所を知らない選手ばかりなのが気になります。

ボランチは極端なことを言うと、真ん中のセンターサークルから前後30m以上は動く必要はありません。横幅もペナルティエリアの幅くらいまで動けばよいポジションです。重要なのは、細かく細かく動いて、ボールとゴールを直線状に結んだ位置に立ち続ける事。人でもなく、ボールでもなく、立つべき場所に立ち続ける事。これが出来れば、ボランチの仕事は半分以上終わり。僕はそう思っています。

ところが、最近話題に出てくるボランチの選手は、立つべき場所より、ボールを追いかけたり、人を追いかけたり、あるいは得点を奪いにペナルティエリアに侵入するプレーをする選手が増えてきています。ボランチはポルトガル語で「ハンドル」という意味ですが、ボランチが本当にすべきなのは、ハンドルとして他の選手を動かす事です。動かし方は、パス、ドリブル、自分の動き、色々ありますが、自分のプレーで人を動かせなければ何の意味もありません。それに、ハンドルがあちこちに移動してしまったら、車は重心を失って、制御不能になってしまいます。ボランチの選手は、コートの中央に位置して、細かくハンドルとして位置すべき場所を調整しつづけ、チームと、相手をコントロールする。それが出来るのが、本当のボランチです。

原川はボランチとして立つべき場所に立とう、という意識は感じられます。ちなみに、サッカー日本代表のボランチでは、立つべき場所に立てている選手は大島くらいです。長谷部が在籍年数は長いものの、ボランチのポジションを奪いきれないこと、山口が短期間で帰国したのは、ボランチとして立つべき場所が分かっていないと、チームの監督に判断されているからかもしれません。立つべき場所に立つという点では、細貝の方が出来ています。阿部勇樹がレスター・シティで高い評価を受けていたのも、立つべき場所に立つことが出来るからです。

立つべき場所に立てているかを見分けるポイントは、ボールが無い時に、ボールと自分のチームのゴールを結んだ直線状にいるかどうかです。前過ぎてもいけないし、後ろ過ぎてもダメ。ボールに近すぎても、遠すぎてもダメ。サイドによりすぎているのは論外です。これが出来ていれば、遠藤保仁のように、わざとポジションを離れてボールを受けにいくという動きも出来ます。立つべき場所が分かってないのに動きだけ真似しても、効果はありません。大抵のプレーヤーは動きだけ真似しますし、サッカーが好きな人でも動きだけ注目してしまいがちで、本来立つべきポジションをわざと外したのか、分かってないのかを見分けるのは、簡単ではありません。

あとは、やたらペナルティエリア付近に顔を出す選手、サイドにまでボールを奪いに行ったり、ボールを受けに行く選手は、立つべき場所に立ててないのではないかと、疑ってください。僕がよいボランチだと思うのは、鹿島アントラーズの小笠原、ベガルタ仙台の富田、柏レイソルの大谷と秋野、大宮アルディージャの金沢、浦和レッズの阿部、FC東京の高橋、横浜F・マリノスのパク・ジョンス、中町、川崎フロンターレの中村、大島、エドゥアルド・ネット、アルビレックス新潟のレオ・シルバ、ガンバ大阪の遠藤、ヴィッセル神戸の藤田、サンフレッチェ広島の青山、森崎、といった選手です。

今後試合を観る時は、ボール周辺で起きている出来事だけでなく、ボランチの選手の動きにも注目してみてください。

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