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第96回天皇杯4回戦 川崎フロンターレ対浦和レッズ レビュー「4年半の積み重ねが生んだ勝利」

   

第96回天皇杯天皇杯4回戦、川崎フロンターレ対浦和レッズは、120分戦って、3-3の同点。PK戦で4-1で川崎フロンターレが勝ちました。浦和レッズのように、自信を持って、ボールを保持し、相手の守備を崩そうとするチームとの対決だからこそ、お互いの力をぶつけ合うような素晴らしい試合になりました。

素晴らしいプレーをみせた三好と板倉

この試合の川崎フロンターレは、長谷川、三好、板倉といった選手が、スターティングメンバーで出場しました。開始15分間は、どうなることかと思いました。板倉は柏木に食いつき過ぎて、空けちゃいけない場所を空けてるし、長谷川はボールが足につかない。開始15分の間に訪れた浦和レッズの決定機を決められていたら、一方的な展開になっていたと思います。

しかし、開始15分以降は、3人とも素晴らしいプレーをしてくれました。長谷川だけは後半まで時間がかかりましたが、三好はDFとMFとの間でボールを受け、ボールを持ったら、まず相手陣内に運ぶ。このプレーを何度も何度もみせてくれました。顔に似合わず、負けん気の強いプレーも、三好の魅力です。良い意味でも悪い意味でも、何をするか分からないので、観ている人が「次は何をするんだ?」という期待感を抱かせるようなプレーをみせてくれました。

驚いたのは、板倉です。プロ入り後2試合目のスターティングメンバーの選手ということで、当然浦和レッズは板倉に狙いを定め、ボールを奪いにきました。板倉からボールを奪って、カウンターを仕掛ける。そんな目論見もあったはずです。ところが、板倉はボールを失いません。ゆっくりした動作から、相手とは逆の向きに身体をターンさせ、相手にボールを奪わせません。そして、ボールを持ったら、正確な縦パスで攻撃を組み立てていきます。

後半足が止まって、もっとボールを受けたほうがいい場面で、足が動いていなかった場面がありましたが、浦和レッズのボランチは阿部と柏木です。この2人と互角に戦い、柏木を途中交代させただけでも素晴らしいのに、3得点目にヘディングで競り勝ち、エドゥアルドのゴールまでアシストしてみせました。この場面、板倉は敢えて宇賀神に狙いを絞って、ポジションをとっていました。浦和レッズの選手の特徴を見極め、ヘディングが勝てる選手が誰か判断して、自ら動いた事に、驚かされました。

三好のようにDFとMFの間でボールを受けて、相手陣内で仕掛けられる左利きの選手や、板倉のようにヘディングで競り勝て、ボールがつなげるボランチは、今の日本代表に求められている人材です。今日のパフォーマンスを続けていれば、十分チャンスはあると思います。

3失点したけどプレーは素晴らしかったDF3人

3失点しまいましたが、この試合は田坂、エドゥアルド、谷口という3人のプレーが本当に素晴らしかったです。田坂は1失点目につながるミスはしてしまいましたが、それ以外は完璧でした。攻撃の時にボールを運んだり、テンポを整えたり、相手が空けている場所に動いてボールを受ける動きだけでなく、1対1でボールを奪ったり、背後へのパスをカットしたり、守備でも素晴らしいプレーを披露してくれました。

谷口は最近のプレーを観ていると、相手の攻撃を読んで、プレーが出来ていると感じます。パスカットが増え、相手のドリブルに対する対応も、先に相手の狙いを読んで、身体を動かして、コースを切る。身体が動くようになって、このような守備が自然と出来るようになりました。守備に余裕があるから、大胆に敵陣深くに攻め上がるプレーも何度も披露してくれました。セカンドステージ第15節のサンフレッチェ広島戦から、谷口は素晴らしいプレーが続いています。

そして、エドゥアルド。サンフレッチェ広島戦ではサイドで起用されていたエドゥアルドを、この試合で中央に起用したのは、理由があります。浦和レッズは、攻撃時にフォーメーションを変えながら、数的優位を作って攻撃してくるのですが、数的優位を作る場所は、サイドです。サイドで数的優位を作ってから、中央にパスを出してくるので、最後に中央で相手の攻撃を防げれば、失点する確率が減らせるというわけです。中央で相手の攻撃を防ぐプレーは、谷口よりエドゥアルドの方が得意です。浦和レッズの中央へのパスは、エドゥアルドがことごとく弾き返してくれました。

そして、エドゥアルドが上手く対応してくれたのが、浦和レッズの縦方向へのパスです。浦和レッズは、興梠に縦方向へのパスを出し、興梠にボールをキープしてもらい、味方がボールを受けるためにポジションを変える時間を作って、相手の守備を崩そうとします。しかし、エドゥアルドは興梠相手に何度もパスカットを仕掛け、浦和レッズにペースを握らせませんでした。このエドゥアルドの守備が、浦和レッズの試合運びに大きく影響しました。

丁寧に試合を進められなかった浦和レッズ

浦和レッズとしては、試合開始後15分に得点が奪えなかったことで、川崎フロンターレに勢いを与えてしまいました。そして、柏木が板倉に抑えられたため、攻撃のテンポが上がりません。柏木に替えて、青木を入れたことで、ボールを敵陣に運ぶ事は出来るようになりましたが、時間が経つにつれて、敵陣にボールを運んだ後、最後の攻撃のスピードの調整だったり、シュートチャンスを演出するための「味方をフリーにさせるパス」が出ないため、攻めきれない場面が目立つようになりました。柏木を交代させた事は正しかったと思いますが、柏木がいなかったことで、川崎フロンターレとしては助かりました。

そして、時間が経つにつれて、興梠がエドゥアルド相手にボールを受けられなくなったことで、攻撃の起点が作れず。段々と川崎フロンターレにボールを保持されるようになっていきます。ペトロビッチとしては、攻撃する時間を増やすことで、川崎フロンターレの攻撃を防ぎたいと考え、興梠の負担を減らしたかったので、武藤に代ってズラタンを入れました。セットプレーの時の高さ対策というのも頭にあったと思います。しかし、ズラタンが全くボールを引き出す動きをせず、結局ポジションを下げた興梠の負担が増える結果になってしまいました。武藤は守備で効いていたので、ズラタンではなく、他の選手を入れても良かったと思います。

川崎フロンターレの2得点目、3得点目は、左サイドからのパスを決めたゴールでした。浦和レッズの3バックの左は宇賀神が務めていました。宇賀神は素晴らしい選手ですが、サイドからのパスに対する対応が得意な選手ではありません。ましてや、ヘディングが強い選手でもありません。右サイドの駒井の動きが落ちたこともあり、川崎フロンターレは左サイドで起点を作り、宇賀神に狙いを定めて、攻撃を仕掛けていました。駒井に替えて那須を入れて、宇賀神を1つ前に上げて、関根を右にするという選択肢もあったと思います。ペトロビッチらしい交代ではありましたが、浦和レッズが丁寧に試合を進めていたら、試合結果は違っていたような気がします。

なお、チャンピオンシップで戦うことになった場合は、槙野がいるので、宇賀神を狙う攻撃は使えないと思いますので、違う方法を使うと思います。

チームを引っ張った、とびきり経験豊かな2人

川崎フロンターレには、試合経験の少ない選手がスターティングメンバーに3人、名を連ねていましたが、とびきり経験豊かな選手も2人いました。1人目は、チョン・ソンリョンです。膝の状態は万全じゃないと思います。1失点目は、チョン・ソンリョンの膝の状態が万全であれば、防げた失点だったと思います。しかし、シュートを防ぐ動きはいつもどおりで、数多くの決定機を防いでくれました。そして、PK戦。1本目にシューターより早く動いたという理由でイエローカードを取られた時、普通のGKなら、動けなくなってしまいます。しかし、すぐに動き方を修正し、2本目のズラタンのシュートを止めてみせたプレーには、チョン・ソンリョンの能力と、経験が詰まったビッグプレーでした。興梠が「反応が早くて、隅まで届くので、動きと逆に蹴らなければ止められると思った」と語っていましたが、相手は知らずしらずのうちに、プレッシャーを感じていたのだと思います。

そして、大久保。三好、長谷川、板倉といった選手が素晴らしいプレーが出来たのは、大久保が要所要所で、味方にとって助かるプレーをしてくれたからです。ボールを受けて時間を作ってくれたり、守備の時に攻撃されたらまずい場所に素早く戻る。大久保がどれだけサッカーという競技に対する理解度が高いか、この試合でよくわかりました。大久保が先頭に立って、責任を引き受け、自信をもってプレーしたからこそ、チームは堂々と浦和レッズと戦えたのだと思います。

この試合に勝ったことは、チームにとって自信になると思います。中村、大島、小林がいない試合で、浦和レッズと互角の勝負をして、勝つことが出来た。この試合がチームにもたらしたものは、本当に大きいと思います。この4年半、川崎フロンターレが、苦しいときも、辛いときも、辛抱強く取り組んできたことが、報われた試合だと思います。

だからこそ、2016年シーズンの残り試合が重要です。チャンピオンシップ、天皇杯と続く試合に、どのように選手たちが臨むのか。そして、チームがどのように成長するのか。とても楽しみになりました。期待してほしいと思いますし、僕も期待したいと思います。

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