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2016年J1セカンドステージ第10節 川崎フロンターレ対柏レイソル レビュー「巧みな柏レイソルの守備とエースストライカーの悩み」

   

2016年Jリーグセカンドステージ第10節、川崎フロンターレ対柏レイソルは2-5で柏レイソルが勝ちました。川崎フロンターレが5失点して敗れるのは、2015年ファーストステージ第14節の清水エスパルス戦以来の事です。

相手に「風をふかせてしまった」

この試合のポイントは、試合開始直後のプレーでした。キックオフした後、谷口から車屋に何気なくパスを出した後、柏レイソルの伊東が素早く車屋に寄せて、ボールを奪います。風間監督は「風を吹かせてしまった」という表現を使いましたが、このプレーで柏レイソルは「いける!」と思ったのではないのでしょうか。逆に川崎フロンターレとしては、最初のプレーが上手くいかず、その後セットプレーで失点し、立て続けに2失点。リズムを取り戻せないまま、試合を終えてしまいました。

特に相手が狙っていたと思われる、セットプレーで失点を重ねたことが、試合を難しくしてしまった要因です。

ディエゴ・オリベイラをマークしていたのはエドゥアルド・ネットですが、エドゥアルド・ネットは、少しマークをフリーにする傾向があります。これまでは身体の強さとジャンプ力でマークのズレを補い、ピンチにはなっていませんでしたが、柏レイソルは見逃してくれませんでした。柏レイソルは、ディエゴ・オリベイラがフリーになるように、中谷が谷口を引きつけたり、ディエゴ・オリベイラをスクリーンでフリーにしたり、オフサイドにならない位置から飛び出させたり、と色々と仕掛けてきました。あと、クリスティアーノが蹴ったボールも、全てゴール中央から逆サイドの辺り。エドゥアルド・ネットとチョン・ソンリョンが守るエリアの背後にボールを蹴ってきました。狙われていたのだと思います。

柏レイソルは守備が上手い

セットプレー以外にも、柏レイソルは川崎フロンターレの事を、よく研究し、対策を練ってきていました。ジュビロ磐田、サガン鳥栖とセカンドステージで苦戦を強いられたチームの特徴は、中央は選手間の距離を短くしてスペースを消し、サイドにパスが出た時は、素早く寄せてボールを奪う事が出来るチームです。レビューにも書きましたが、柏レイソルの伊東とクリスティアーノは他のチームと比較しても、ボールを運んで、守備を崩す能力に長けた選手です。サイドでの攻防で、優位に立ちたかったところですが、攻撃ではなく守備で後手を踏んでしまいました。

柏レイソルはいつ対戦しても、「守備が上手い」と感じるチームです。守備が上手いと感じるのは、選手個人個人がボールの奪い方を知っています。ボールを奪うために必要なのは、ボールを持った人に対して、パスコースを消し、相手の選択肢をなくしてしまうことです。そして、パスコースを消すには、パスが人から人に渡る間に、素早く移動し、適切なポジションをとることが重要です。ボールが動くタイミングにあわせて、身体を動かすのは簡単ではありません。

縦方向のパスには、パスが出されるタイミングにあわせて素早くダッシュ。相手を振り向かせず、自由にプレーさせなかったり、時にはボールを奪ってしまう。川崎フロンターレの選手の動きが止まったり、後ろを向いた時には、素早く身体を寄せて、自由を奪う。特に、川崎フロンターレのように、素早くパス交換を行い、相手の足を止めてしまう事に長けているチームと対戦する時には、難易度はより高まります。しかし、柏レイソルは90分通して、選手全員がこの難しい作業をやってのけました。これを、本当の「ハードワーク」といいます。この日は雨が降っていて、気温があまり高くなかったこと、そして雨でボールコントロールが難しかったことも、柏レイソルには優位に働いたと思います。

相手を押し込めなかった要因

ただ、川崎フロンターレが試合を優位に進める事も出来たと思います。1-2とした後、ボールを保持しながら、相手を押し込むことで、相手の攻撃のチャンスを減らし、自分たちのペースに持ち込む事も出来たと思います。ところが、試合開始直後のプレー以降、伊東、ディエゴ・オリベイラ、クリスティアーノという3人のスピードを警戒し、エウシーニョ以外の3人が自分の背後を気にしてプレーするようになってしまいます。したがって、攻撃の時にミスや相手の攻撃を恐れて、ボールを運んだり、縦方向にパスを入れるプレーが減ってしまいました。

DFのパス回しのテンポが上がらず、ミスを恐れている事を察知した他の選手は、吸い寄せられるようにDFライン近くまで下がってきてしまいます。

エドゥアルド・ネット、大島といったボランチの選手だけでなく、相手DFとMFの間でボールを受けて欲しい中村まで下がってしまいます。中村も下がったので、大久保もズルズルと交代します。柏レイソルが2人で守っているエリアに、川崎フロンターレの選手は4人くらいいるのだけど、数的優位を活かせず、スムーズにボールが運べないため、相手を押し込めません。押し込めないから、カウンターを受ける。この繰り返しが止まらなかったことが、5失点につながってしまいました。

大久保を悩ませる「バスがこない問題」

気になるのが、大久保のプレーです。この試合はシュート1本しか打てなかっただけでなく、普段なら絶対にしない、ボールを止めるプレーのミスも目立ちました。

大久保のコンディションは分かりませんが、プレーからうかがえるのは、「いつパスが受けられるのか、分からない」という迷いです。自分が欲しいタイミング、欲しいパスはチームメイトは分っているはずなのに、ボールがこない。そんな気持ちが伝わってきました。

チームメイトは、大久保を無視しているわけでも、嫌いなわけでもないと思います。では、なぜ大久保が欲しいパスが届かないのか。まずは、大久保にはチームで一番きついマークがついているという前提があります。3年連続得点王なのですから、当然です。大久保のマークがきついので、当然他の選手が目につきます。特に小林は相手を外す動きも上手いので、必然的にパスが増えます。そうすると、マークがきつい大久保より、他の選手にパスをしようと思うのは、ある意味仕方がないことです。

ただ、大久保は一瞬相手を外して、フリーになる事に長けている選手です。タイミングは一瞬なので、合わせるのは簡単ではありませんが、大久保は合わせられると思っているし、合わせてもらえると思っているはずです。だから要求を続けるのですが、実際の試合だと、上手くいかないのです。

そして、大久保が自己中心的な選手であれば、問題は簡単なのですが、大久保がチームの事を考えてプレー出来る事が、問題をややこしくさせています。大久保がゴールから遠い位置でボールを受け、チームメイトにパスをします。大久保が相手をひきつけているので、大久保からパスを受けた選手は、フリーでパスを受ける事が出来ます。

大久保としては、パスをした後に自分にパスが返ってくると思ってパスを出しているのですが、パスを受けた選手は、これ幸いとばかりに、シュートを打ったり、他の選手を選択する場面が観られます。大久保としては、何のためにパスを出したのかと思うとともに、どうやったらパスを受けられるのか。そう思っているはずです。

セットプレーの問題、試合の入り方の問題は、そこまで修正が難しい問題ではありません。しかし、大久保の問題は、簡単ではありません。どう勝つか。そのものに関わるからです。

中断期間で思い切った修正をするのが風間監督

幸い、選手も監督も自信を失っているわけでは、ないようです.風間監督の試合後のコメントは、5失点して負けたチームの監督とは思えないほど、サバサバしてました。問題ははっきりしてるし、簡単ではないけど、立て直しは可能。そう言いたげな顔でした。

風間監督は、これまでリーグの中断期間を有効に使って、思い切った修正をする監督です。たぶん、次のリーグ戦の試合までに、対策を講じるはずです。風間監督が講じた対策が、大久保を悩ませる「攻撃のクオリティ」問題を解決するのか。それとも、他の問題に手をつけるのか。今から次の試合が楽しみです。

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