第97回天皇杯4回戦 川崎フロンターレ対柏レイソル プレビュー「Be Professional」

第97回天皇杯4回戦、川崎フロンターレの対戦相手は柏レイソルです。

苦しいときこそ自分が出来ることをする

僕が好きでよく思い出すエピソードがあります。

イチローがオリックス時代に1軍に定着した頃の話です。ある試合に負けて、責任の一端を感じていて落ち込んでいたイチローが落ち込んでバスに座っていたら、当時オリックスの監督だった仰木監督が、にこやかな顔でバスに乗り込んできたそうです。

不思議そうに見ていたイチローに対して、仰木監督は「お前、今日の成績は?」とたずねると、イチローは「3打数1安打でした」と答えました。すると、仰木監督は「いいじゃないか!ヒット1本打ってるんだから!最高じゃないか!!」と答えた後、「負けたことなんて気にするな!!」と続けたそうです。勝敗の責任を背負って落ち込んでいたイチローは、その言葉に心から勇気づけられたといいます。

よく、「苦しいときこそチームのために頑張る」という言葉を聞きます。この言葉は、「チームで成績をあげるためにどうすべきか考え、行動することで、問題を解決する」という意味で使っているのだと思うのですが、そもそも、チームの成績が苦しくなっているのは、メンバー個人個人が自分のできる事をきちんとやっていないからであって、ただチームで成果をあげることを考えて行動しても、個人個人が成果が出ないままでは、状況は改善されません。

したがって、本気で状況を打開したければ、苦しいときこそ、自分ができる事をやるしかありません。自分のできる事を認識した上で、できる事をきちんとやり続ける事が、苦しいですが成果が出る唯一の近道なのだと思います。そして、チームに所属するメンバー個人個人が成果を出すための仕組みや環境整備をするのが、マネージャーの仕事です。したがって、勝敗の責任はマネージャーにある。仰木監督はそんなことをイチローに伝えたかったんだと思います。一人ひとりがきちんとやるべき事をやり、マネージャーが1つの方向に向かって舵をとる。プロフェッショナルのあるべき組織を思い浮かべる時、いつもこのエピソードを思い出します。

弱いチームほどミーティングが多い

プロスポーツに関する記事や本を読んでいると、ある事に気がつきます。それは、「強いチームはミーティングが少ない」という事です。

プロスポーツの現場で行われるミーティングは、大抵上手くいっていない時に行われます。「決起集会」というなのバーベキュー、選手同士のミーティングが報じられる時、大抵のチームは負けが込んでいる状態です。強いチームや勝ち続けているチームは、決起集会も、選手同士のミーティングもあまりやりません。理由は簡単です。やる必要がないからです。

決起集会や選手同士のミーティングが多い時に語られることは大抵同じです。「チームのために頑張ろう」。「苦しいときほどチームのために頑張ろう」。これは海外のチームでも同じだそうです。僕は勝てないチームのミーティングというのは、「チームのために頑張ろう」という意識を共有するという裏に、「責任を他の人と分け合おう」という意識も見え隠れしていると感じます。しかし、プロスポーツの試合は、1人のミスを他人がカバー出来るような簡単な試合はありません。選手がベストプレーを実行し続けてようやく戦える。それがプロスポーツの世界です。そして、ここで書いたことはプロスポーツの世界だけの話ではありません。会社員も同じです。

時間がかかったプロフェッショナルなチーム作り

今の川崎フロンターレは、5年かかりましたが、ようやくプロスポーツのチームらしいチームになってきました。小林も、中村も、谷口も、他の選手も、自分のベストプレーを実行させる事がチームの勝利につながると考えてプレーしているように感じます。正直5年前の川崎フロンターレを振り返ると、自分のベストプレーを実行させる前にやるべき事をやっていない選手がいました。しかし、そのような選手は時間とともに淘汰され、自分の利益とチームの利益が高いレベルで一致出来る選手でなければ、今の川崎フロンターレではベンチ入りどころか、チームの一員としてプレー出来ない。ようやくそういうレベルになりました。風間さんや大久保が言い続けてきたことも、無駄にはなってないと思います。

この試合は、普段リーグ戦に出場している選手以外の選手の、技術、体力だけでない「プロフェッショナルとしての器」の大きさが問われる試合です。リーグ戦に出られなくても、出場機会を得て、短い時間でもよい仕事をしようと、どれだけ陰で努力を重ねていたのか。どれだけきちんと準備出来ていたのか。その事が問われる試合です。

活躍する場所が常に与えられる人なんて、一握りです。チャンスは突然やってきます。いつやってくるかなんて分かりません。不平不満を言わずに準備し続け、涼しい顔で結果を出す。そんなプロフェッショナルらしい試合を期待したいと思います。楽しみです。

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