2016年J1セカンドステージ第15節 川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島 レビュー「前から奪いに来た相手に、どうにか勝った試合」

2016年Jリーグセカンドステージ第15節、川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島は2-0で川崎フロンターレが勝ちました。

積極的にボールを奪いに来たサンフレッチェ広島

前半はサンフレッチェ広島のペースで試合が進みました。普段、サンフレッチェ広島は守備の時、5-4-1のフォーメーションで守り、あまり前方からボールを奪いに来ることはありません。しかし、この試合では、川崎フロンターレのDFがボールを持った時、素早く距離を詰め、選手間の距離も短くし、積極的にボールを奪いにきました。

サンフレッチェ広島が積極的にボールを奪いに来たのは、よく考えれば、当然だともいえます。川崎フロンターレがセカンドステージに敗れているのは、サガン鳥栖、柏レイソル、大宮アルディージャ、ヴィッセル神戸の4チーム。ファーストステージの浦和レッズとあわせても、(大宮アルディージャは除いて)積極的にボールを前方から奪いに来たチームです。そして、先週行われた湘南ベルマーレとの練習試合に、川崎フロンターレは90分トータルで1-6と大敗しています。湘南ベルマーレは、Jリーグで最も積極的にボールを奪いにくるチームです。サンフレッチェ広島も、得意としている戦い方があるとはいえ、勝つために少し戦い方を変えるのは、当然だともいえます。

川崎フロンターレは、普段と違うサンフレッチェ広島との戦い方に対して、上手く対応できませんでした。もちろん、サンフレッチェ広島の守備もよかったのですが、川崎フロンターレの側にも問題がありました。

1つ目は、プレビューでも指摘したエドゥアルドのプレーです。エドゥアルドは、センターバックの選手としては、パスが上手い選手だと言われていました。しかし、川崎フロンターレの基準で判断すると、ボールを止めてから蹴るまでのプレーが他の選手と比べて遅く、また、左足でボールを持った時、縦方向にはよいパスが出せるのですが、横方向へのパスを出す時、素早くパスが出せません。したがって、横方向へのパスコースを切ると、味方がいないときでも、慌てて縦方向にパスをする傾向があります。この癖が何度か出てしまいましたし、味方がボールを受けられるタイミングに合わせてパスを出せなかったり、強引にシュートを打ったり、攻撃のリズムを途切れさせてしまうことがありました。

2つ目は、エドゥアルド・ネットと大島が相手に捕まってしまった事です。最近のエドゥアルド・ネットは、2016年シーズン序盤のように、ボールを1回で止めず、2回、3回とボールに触れてしまうことがありました。そのため、サンフレッチェ広島の素早く、献身的な守備に何度か捕まってしまいました。大島については、風間監督は試合後に「代表から帰ってきたので、フリーの定義が違っていた」と語っていましたが、ボールを受けるタイミング、パスを出すタイミングが、他の選手とあっていません。

エドゥアルド、エドゥアルド・ネット、大島といった攻撃を組み立てる立場の選手の、プレーする際の判断基準が他の選手と揃っていないだけでなく、基準が他の選手より低かったため、他の選手達のプレーとずれが生じ、上手くボールを相手陣内に運ぶ事が出来ませんでした。したがって、小林や大久保といった選手たちに、シュートチャンスを与える事が出来ませんでした。

中村のパスで相手を動かす

風間監督は、前半30分以降から中村と大島のポジションを入れ替えます。このポジション変更によって、攻撃がスムーズに機能し始めました。まず、中村がパスで相手を崩してくれました。相手を誘うような短い距離のパスと、相手の間を通す縦方向のパスを駆使することで、サンフレッチェ広島の守備者が動かされていきます。時間が経つにつれて、距離を短く保っていた、サンフレッチェ広島の選手間の距離が空いてきます。中村とポジションを入れ替えた事で、大島は攻撃により集中出来るようになり、少しずつボールを受け、タイミングをあわせてパスを出せるようになってきました。

サンフレッチェ広島も、後半15分過ぎからは、足が止まるようになってきました。足が止まってきたタイミングで、練習試合を見ていても調子がよかった、「出して、受ける」スペシャリストの森谷と、ドリブルで崩せる中野を投入し、勝負をかけました。交代策もはまり、苦しい試合でしたが、なんとか勝利することが出来ました。

谷口のプレーはこの試合が基準

この試合の勝因は、サンフレッチェ広島ペースで進んだ時間帯に、失点せずにゲームを進められたことです。新井と谷口は、素晴らしいプレーを披露してくれました。2人も、これまでのベストパフォーマンスといってよい程の出来だったと思います。特に谷口は素晴らしいプレーでした。相手のパスコースを読み、1対1でファウルなしでボールを奪い、ヘディングで相手に競り勝つ。文句のつけようがないプレーでした。谷口は、この試合のパフォーマンスが基準になると思います。この試合のパフォーマンスが常に披露出来れば、日本代表に選ばれる可能性があると思います。

解決していない「大久保にどう得点を取らせるのか」という問題

ただ、勝ったものの、手放しでは喜べません。攻撃は普段のように「出して、受ける」動きが目立ちませんでした。特に、「出して、受ける」がチームで最も上手い選手の1人である、大久保はシュートゼロ。大久保が待つ場所まで、スムーズにボールを運べなかった事もありますが、大久保が得点を取る時のパターンでもある、ボールを一度受けて、ゴール前に入って、もう一度受けるというパターンが、この試合はほとんど見られませんでした。まだまだ、試行錯誤は続きそうです。

次はアウェーの鹿島アントラーズ戦。チャンピオンシップの前哨戦ともいえる試合で、川崎フロンターレがどんな試合をするのか、注目したいと思います。

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