2017年J1第15節 川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島 プレビュー「リーグ戦優勝を狙うならもう負けられない」

2017年Jリーグ第15節、川崎フロンターレの対戦相手はサンフレッチェ広島です。まず、第14節までのデータを基に、対戦するサンフレッチェ広島のデータから分析した特徴を紹介します。

シュートは打てているけど成功率が低いサンフレッチェ広島

現在16位のサンフレッチェ広島ですが、データを基に分析するとても興味深い事実が浮かび上がってきます。

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は13.7%でなんとリーグ1位。以前からサンフレッチェ広島は「チャンス構築率」が高いチームでした。サンフレッチェ広島の特徴は、攻撃時はパスをミスなく交換し、ゴール前までボールを運んでいきます。サンフレッチェ広島はボールをゴール前まで運ぶプレーにミスが少ないので、攻撃回数が少ないのが特徴です。2017年シーズンも攻撃回数は115.4回でリーグ18位です。しかし、1試合平均のシュート本数は15.3本でリーグ3位。攻撃回数は少なく、シュートは多く。これが、サンフレッチェ広島の攻撃の特徴です。

しかし、得点数は12点でリーグ14位。決して多くありません。ゴール数をシュート数で割った「シュート成功率」は5.4%でリーグ18位。シュート本数の内訳を見ると、アンデルソン・ロペスが最もシュートを打っていて44本ですが、成功率は6.8%と高くありません。次が塩谷の27本で成功率は0%。70本近くシュートを打って、3得点しか挙げられていない事を考えると、シュートチャンスは作れているのですが、成功率の高いシュートチャンスを作れていないと言えます。

ただ、FWの工藤やMFの柴崎といった選手のシュート成功率は10%を超えています。サンフレッチェ広島にとって「成功率の高いシュートチャンス」とは、工藤や柴崎といった選手にシュートを打たせる事だと思います。川崎フロンターレとしては、この2人にシュートチャンスを与えないことがポイントです。

相手にシュートを打たれると失点する確率が高い

サンフレッチェ広島は、自分たちの攻撃回数も少ないのですが、相手から攻撃を受ける回数も少ない戦い方をするチームです。実際、被攻撃回数は113.4回でリーグ1位。サンフレッチェ広島の試合は、攻撃する回数が少ない「スローテンポ」の試合になることが多いのですが、攻撃回数から読み解くと、狙い通りの試合をある程度は実行出来ている事は読み取れます。

問題なのは、攻撃を受ける回数の割に、ゴールを決められる本数が多いことです。シュートを打たれた本数を攻撃回数で割った「被チャンス構築率」は10.6%でリーグ13位。ゴールを決められた数をシュートを打たれた「被シュート成功率」は、12.5%でリーグ16位。攻撃は受けないけど、シュートを打たれて簡単に決まってしまうということは、ゴール前の守備に問題があるということが分かります。実は2016年シーズンの「被シュート成功率」は、12.3%でリーグ17位。元々シュートは打たれるチームなのです。しかし、失点の要因は相手に成功率の高いシュートチャンスを作られている事だと、データから分かります。

新しく加入した選手の問題なのか、今まで試合に出続けていた選手たちの問題なのか、長年同じ戦い方をしてきた事による問題なのか、試合を観れていないので詳しいことまでは読み取れませんが、小さな問題が積み重なって、大きな問題になっているように見えます。解決するのは簡単ではありません。ただ、リーグ中断期間中に森保監督はきちんと修正策を施してきたはずです。チャンス構築率が10.6%でリーグ6位、シュート成功率が11.2%でリーグ5位の川崎フロンターレに対して、どのような守備を披露するのか注目です。

優勝を狙うなら負けられない川崎フロンターレ

川崎フロンターレは6勝4分3敗で勝ち点22の9位。5月までの川崎フロンターレに求められていたのは、ACLベスト8、そしてリーグ戦は勝ち点差を離されない順位につけておく事でした。怪我人が続出した状況で、ACLベスト8と1試合少ない状況で、1位の柏レイソルから勝ち点8差というのは、求めてられていた事をきちんと成し遂げたといえます。ここからACLは8月まで試合がありません。8月までの2ヶ月間はリーグ戦に集中することが出来ます。

ACLが再開するまでの9試合で、6勝2分け1敗の勝ち点20くらい獲得出来かどうかが、目安だと思っています。ただ、このペースで勝ち点を積み重ねても、年間勝ち点は60にしかなりません。

ちなみにこのサイトによると、2016年シーズンの第14節終了時点での1位の勝ち点は、2017年シーズンとほぼ同じ31。2016年シーズンの浦和レッズの勝ち点が74でしたから、2017年シーズンも同じくらいの勝ち点が優勝ラインになるのではないかと思われます。川崎フロンターレが勝ち点74までに必要なの成績は、16勝3分け2敗(厳密に言うと勝ち点73ですが)。2016年シーズンの川崎フロンターレが6敗しかしていない事を考えると、8月までいかに負けずに勝ち点を積み重ねていけるかが、これからリーグ戦の順位を挙げていくうえでのポイントになりそうです。

注目している登里のプレー

僕はサンフレッチェ広島戦で注目しているのは、右サイドバックで出場が予想されている登里です。武岡がシーズン中の怪我で復帰が難しくなってしまったため(川崎フロンターレはこういった事例が多すぎます。さすがに何か問題があるとしか思えません)、右サイドバックを務められる選手が、田坂、エウシーニョ、そして登里の3人になってしまいました。3人とも攻撃は問題ありませんが、1対1の守備や相手のロングパスに対する対応が上手い選手ではありません。ただ、この3人のなかでは、最も守備が上手いのは登里です。

右利きの左サイドバックはよくいますが、左利きの右サイドバックはあまり例がありません。右利きのプレーヤーが多い事が要因なのですが、両サイドのMFとサイドバックを簡単にこなしてみせる登里が、いかに頭のよい選手なのかが分かります。鬼木監督が期待しているのは、登里の守備だけでなく「頭のよさ」なのではないかと思います。

登里は膝を怪我してから、ドリブルで相手の守備に突っ込んでいくようなプレーは減りましたが、相手を見ながら必要なプレーを適宜選択する事が出来る選手になり、ミスが減りました。「怪我の功名」と言いたくはないほど大きな怪我でしたが、プレーヤーとして幅を広げました。たぶん、今の登里ならボランチも出来るでしょうし、「やれ」と言われたらセンターバックも出来ると思います。フィリップ・ラームのように、どのポジションでも最適なプレーが出来る。そんな選手になれる可能性を秘めていると感じます。

登里に必要なのは、「スペシャル」な選手になることだと思います。身長が低い選手は、何かの要素でスペシャルにならないと、「身長が低い」という理由でスタメンから外されてしまいます。フィリップ・ラームは、ボールを運ぶこと、ボールを奪うプレーの2つが、他の選手よりずば抜けていたため、どの監督からも起用され続けました。登里のスペシャルはどこにあり、どこを武器とするのか。これによって、今後の登里のキャリアは変わってくると思います。「どこでもプレーできる」だけでなく、どんなスペシャルを加えてくれるのか。この試合の登里のプレーで、そんな片鱗が観れたら嬉しいです。楽しみにしています。

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