正念場で持てる力を発揮した福森。2014年J1第31節 川崎フロンターレ対清水エスパルス レビュー

2014年第31節、川崎フロンターレ対清水エスパルスは2-3で清水エスパルスの勝利。10月以降のリーグ戦の成績は1勝5敗。リーグタイトルの獲得は絶望的となってしまいました。

プレビュー記事では、この試合のポイントとして、福森のプレーを取り上げました。正直どういうプレーをしてくれるのか分からなかったのですが、期待以上の活躍を披露してくれました。素質のある選手が、ようやく持っている力を試合で発揮してくれました。嬉しかったです。

この試合の福森のプレーでよかった点は、3点あります。

左足の正確なキック

1つ目は、左足の正確なキックです。特に前半は福森から小林への正確なロングパスがチャンスを作っていました。

川崎フロンターレは短いパスを使って攻撃することが多いチームなので、長いパスを使って攻撃することを相手のチームは想定していません。ここ数試合は、短いパスを繋ぐことや、大久保に縦パスを通すことが目的になってしてしまい、相手に攻撃が読まれやすくなっていました。しかし、ロングパスもあると分かれば、相手の守備はロングパスも想定して守らなければならないので、的を絞りにくくなります。福森のロングパスを有効に活用することで、前半の川崎はよいテンポで攻撃が出来ていました。

福森の左足キックは、一級品です。後半にグラウンダーのクロスを、ペナルティエリア中央にいた小林と大久保にあわせた場面がありました。グラウンダーのクロスをペナルティエリア中央の選手に正確にあわせるのは、簡単なことではありません。スピード、正確さ、そしてトラップしやすいきれいな回転を生み出すために、ボールの中心を正確に打ちぬく技術が必要です。プロでも簡単に出来るプレーではないので、観ていて驚きました。

大胆なポジショニング

2つ目は、ポジショニングです。

この試合を観ていて、福森の攻撃開始時のポジショニングには驚かされました。普通は攻撃を開始するとき、サイドバックはセンターバックの横にいます。センターバックからのパスを受けて、攻撃の組立を担うのがセオリーです。ところが、福森の攻撃開始時のポジションは、相手の右サイドバックのすぐ横。セオリーでは考えられないほど、高いポジションをとっていたのです。

福森が高いポジションを取ることによって、レナトをマークしたい相手の右サイドバックが、福森をマークしなければならず、相手の守備を曖昧にすることが出来ていました。また、スピードがあまりない福森があえて高いポジションを取ることで、自分がマークすべき大前に守備をさせ、攻撃でのパワーを減らすという狙いもあったと思います。

気持ちのこもったプレー

3つ目は、プレーの一つ一つに気持ちがこもっていたことです。

トラップする時は常に前向きにトラップ、相手ゴールに向ってボールを運ぶドリブル、相手DFの逆をとって裏に抜けようとする動きなど(少くとも2度は完全に逆をとった場面がありました)、選択するプレー一つ一つに、前を向いてプレーしようとする強い意志を感じました。

先ほど説明した高いポジショニングを取るのは、簡単なことではありません。ボールを奪われた時にはカウンターを受けやすいポジショニングなので、リスクが伴います。ただ、福森が勇気を持って90分間続けたことを、僕は評価したいと思いますし、この試合にかける意気込みを感じました。

試合にかける気持ちが一番顕著に現れたのが、FKの場面です。レナトを制してFKを蹴った場面は、観ていて鳥肌が立ちました。FKが入っていれば最高だったのですが、フットボールの神様はちょっと意地悪です。

本人も危機感を持って試合に臨んだのだと思います。今シーズンのリーグ戦の出場試合数は、わずか1試合。入団4年目の選手の記録としては、褒められたものではありません。このままでは、下位クラブやJ2への移籍もありえたと思います。このチャンスを何が何でも活かしてやろう。その気持ちがプレーにこもっていました。普段は朴訥としていて、気持ちがあまり感じられないプレーヤーですが、この試合は違いました。

福森の課題は、この試合のパフォーマンスを続けていくことだと思います。この試合のパフォーマンスを何試合も続けられれば、登里や田中が復帰しても、レギュラーでプレー出来ると思います。そのくらい、この試合のパフォーマンスは素晴らしかったし、可能性を感じるプレーだったと思います。リーグ戦1試合しか出ていない選手のパフォーマンスではありません。もっと出来る選手です。

福森は素晴らしいプレーをみせました。しかし、チームは敗戦。これがフットボールです。でも、負けた試合だからこそ、がむしゃらに戦う選手の姿が見れたことが、僕は嬉しかったです。

残り3試合。

サッカーが好きな人はこの試合の福森のように、持てる力を尽くして戦う選手の姿をもっと見たいのです。

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