真正面からお金について書かれた1冊。書評「投資家が「お金」よりも大切にしていること」(藤野英人)

何度も何度も読みなおしていたので、なかなか書評を書く機会がなかった本を紹介したいと思います。本書「投資家が「お金」よりも大切にしていること」は、レオス・キャピタルワークスのファンドマネージャーとして20年以上かけて考えてきた「お金の本質とは何か」の結論を一冊に凝縮したものです。

正面から「お金」について考える

本書は、お金を儲けるためのテクニックでも、投資をすすめている本でもありません。「お金」とは何か。その事を、正面から、徹底的に向き合って、書かれた1冊です。本書が売れている理由がよく分かります。なぜなら、ここまでお金の事について、正面から、徹底的に向き合って、書かれた本はないからです。

読み終えて、お金はどういうものなのか、改めて考えさせられました。なんとなく理解できたのは、今手元にあるお金は、過去の自分に対するお金だということでしょうか。お金を増やしたければ、未来の自分に投資する。あるいは、未来を良くするために努力している会社、個人、団体に投資する。未来の社会を、少しでも良くしていこう。こういう心がけで物事に取り組み続けた結果、その対価として、多くのお金をもらえるのだということを、本書は教えてくれます。本書では「清豊」になると表現していますが、豊かで、清らかな社会を目指して頑張る人は、長い目で見て、対価は返ってくるはずだということです。

未来に投資すること、成長に投資すること

「Zero to One(ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか)」という本のメッセージにも共通しているのですが、未来に投資すること、成長に投資することが、最も確実に対価が返ってくる投資なのだと、本書には書かれています。それは、企業に限ったことではなく、個人も同様です。未来をよくするために、少しでも成長するために、真面目に、コツコツと努力し、一歩づつ前進する。そして、自分の成長に、お金も、時間も、投資する。これが、最も効果の高い投資なのだということを、本書は教えてくれます。よく分かっていたはずですが、こうして企業の話と比較してみると、自己投資という言葉の意味が、自分自身よく分かっていなかったのだと、気づかされます。

お金には人格がある

本書には、短期的にお金儲けをするテクニックは書かれていません。もう、短期的に投資で儲けをだすなら、「Flash Boys」という本にも書かれていますが、コンピューターの方が成果が出せる時代です。しかし、楽しい未来を切り開くために、どの会社に、誰に、どのように投資をすればよいのか。それは、人間でしか判断できないことです。そして、投資先を長期的に支援し、社会を変えていくことが出来るのも、人間だけです。そう考えると、普段自分が生活のために遣っているお金も、投資なのです。コンビニでお茶を買うこと、通勤で電車を使うこと、アパートに住むこと、などなど。よく考えれば、これは全て投資です。こうしたお金の本質を、本書は丁寧に丁寧に教えてくれます。

本書は、1回読んで終わりという類の本ではありません。繰り返し繰り返し読んで、お金に対する考えや、自分の現在と未来について考える時に、都度見直したくなる1冊です。手元において損はありません。本当によい本に出会いました。

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