お金を集めたければ、投資以上のリターンを与えろ。書評「「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み」(岩崎 明彦)

僕は映画を観て泣くことはあまりないのですが、「フラガール」を映画館で観た時は、思わず泣いてしまいました。主人公と友人が別れるシーン、主人公の母がストーブを街中からかき集めるシーン、そしてラストのフラダンス。1つ1つのシーンが丁寧に作られていて、観ていて思わず引き込まれてしまいました。

そんな「フラガール」の資金調達を支えたのが、「映画ファンド」。シネカノン社が製作・配給する20作品に対し、45億円を出資するという日本映画界史上空前の規模のファンドが、「フラガール」のヒットを陰で支えていたことを、本書を読んで始めて知りました。

本書「「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み」は、45億円を出資するというファンドを組成した著者が、コンテンツビジネスにおける資金調達の方法としてファンドを活用するメリットだけでなく、日本のコンテンツビジネスの現状を分かりやすく解説した1冊です。

映画のファンドは儲かるのか

映画のファンドなんて、儲かるのか。そういう疑問にも、本書では丁寧に答えています。フラガールを支援したのは、ポートフォリオ型のファンドで、複数の作品に対して分散投資をすることで、リスクを低減するように工夫しています。映画ファンドは、決して「ハイリスク・ハイリターン」の投資ではなく、「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資商品なのです。また、映画公開時の収益だけでなく、DVDやテレビ公開時の収益も分配されることで、投資者に対してリターンがあるように工夫しているのです。

投資以上のリターンを返す

本書を読んでいると、映画を含めた日本のコンテンツビジネスが、どんな仕組みになっているのか、分かりやすく解説されています。現在、映画の運営方式としてよく使われている「委員会方式」の問題点(ちなみに、「委員会方式」を作ったのは、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと言われています)、著作権ビジネスの仕組みなど、読んでいるとコンテンツビジネスがどのような仕組みになっているのか、よく分かります。

スポーツビジネスに興味がある僕にとって、いかに資金を確保するのか。いかに収益を分配するのか。どうやったらスポーツに応用できるのか、考えさせられた1冊です。人は、リターンなき投資はしてくれません。投資に対してお金をリターンとして返すだけでなく、「この作品に投資した」という投資者が誇りに感じられるように、資金以上のリターンを返してあげることが、スポーツやエンターテイメントの投資に必要なのではないかと感じます。

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