AFCフットサル選手権2018決勝 日本代表対イラン代表 レビュー

AFCフットサル選手権2018決勝 日本代表対イラン代表は、0-4でイラン代表が勝ち、日本代表は準優勝となりました。僕にとって、2017年以降バスケットボールと同じくらいよく観るようになったスポーツが、フットサルです。2017年1月に、ひょんなことからバルドラール浦安の試合を観に行って以来、何度かバルドラール浦安の試合を観に行きました。

こんな事も書きました。

バスケットボールの事は気軽にいろいろ書きましたし、雑誌に書いたりもしましたが、フットサルの事はブログにも書いてませんでした。理由はいろいろあるのですが、フットサルはサッカーと共通点が多いものの、全く違う点もあり、知ったかぶりして書くのも嫌だなと思っていたことも要因でした。だから、AFCフットサル選手権の日本代表の試合は全試合観ていましたが、ブログに書く予定はありませんでした。

ただ、この記事を読んで、ちょっと考えが変わりました。

星翔太さんとは、2017年1月以降何度かお会いし、ある時はフットサルの話し、ある時はスポーツの話し、FC今治 経営企画室長(2018年2月現在)の中島さんと3人でランチを食べながら話をしたこともありました。

オランダ代表U-13、U-14、U-15専属アナリストの白井さん、バルドラール浦安の高橋さん、橋谷さん、データスタジアム フットボールアナリストの久永さん、Bリーグの斎藤さん、フェンシング日本代表アナリストの千葉さん、元フットサル女子日本代表監督の在原さん、というメンバーで食事をして、フットサルやバスケットボールに共通する戦い方や分析、そして選手の成長といったテーマについて、話をしたこともありました。(メンバー集めたのは僕ですが、都合つかなくてこれなかった、元SCホルン監督の濱吉さんと佐々木クリスさんが来たら、収拾つかなかっただろうなぁ..と思ったり)。

アルゼンチン代表との親善試合、そしてAFCフットサル選手権と、よく知っている人が日本代表としてプレーしているのを観るのは、とても感慨深いものがありました。そして、フットサルをきちんと観た感想は、凄く面白かったです。そして、サッカーを分析するにあたって、たくさんヒントを得ることが出来ました。

星さんの記事を読んで、少しはフットサルから学んだ事を発信する事で、興味をもつ人が増えたら嬉しい。そう考えて書いてみることにしました。

前置きが長くなりましたが、イラン代表との決勝のレビューについて書きたいと思います。

日本の強みを出させなかったイラン代表

イラン代表は、日本が出場出来なかった2016年ワールドカップでは3位に入るほど強豪です。日本代表としては「10回やって5回勝てるかどうか」という相手との対戦でした。フットサルは、選手交代が自由なので、選手の動きの強度も高く、頻繁に選手交代が行われます。スタメンの構成は3セットに分かれていて、日本代表は以下の3セットをローテーションしていました。

1セット目:森岡、逸見勝利ラファエル、滝田、西谷
2セット目:清水、室田、吉川、斎藤
3セット目:星、仁部屋(渡邉)、皆本、吉川or逸見勝利ラファエル

3セット目は、当初仁部屋と渡邉が出場していたのですが、予選リーグ2戦目の韓国戦で、3セット目の出来が悪く、後半残り5分以降は3セット目の選手が全く起用されないということがありました。韓国戦以降、3セット目の選手のプレータイムが減り始め、星(ここからは他の選手とあわせて敬称略で)と皆本は、2セット目に出場したり、3セット目に吉川や逸見勝利ラファエルが出るようになりました。

今大会の日本代表は、森岡と逸見勝利ラファエルという、ボールを持った時に強みが出せるプレーヤーの能力を活かして、得点を奪ってきました。森岡が相手を背負ったボールキープ、逸見勝利ラファエルの左サイドでの1対1のドリブルでのボールを運ぶプレー、2人にスペースを与えるために相手を引きつける西谷、ボールを奪われた時の守備を担当する滝田という1セット目の連携は、試合ごとに高まっていました。

しかし、イラン代表との試合では、1セット目の強みがまるで活かせませんでした。象徴的だったのは、試合開始直後のプレーです。いつも通り、森岡が縦方向のパスを相手を背負いながら受けようとしたところ、イラン代表の激しい守備に体制を崩され、ボールを奪われてしまいました。森岡がボールをキープしている間に、他の選手が決められたポジションに移り、逸見勝利ラファエルの1対1のためのスペースを作ったりしていたのですが、森岡が余裕をもってプレー出来ないため、これまでの試合のように、1セット目で相手との差を作り出すことが出来ません。

日本代表もイラン代表に対して激しくボールを奪いにいくことで、イラン代表にチャンスは作らせませんが、日本代表としては有効だった武器を奪われてしまいました。

ちなみに日本代表は、決勝限定で「セットプレーの守備用」のセットを使っています。メンバーは、星、室田、吉川、皆本。4人ともボールを奪うのが上手いメンバーですし、味方と連携して守備が出来るメンバーです。ファウルによってイラン代表にフリーキックを与える度に、日本代表はこのセットに切り替えていました。いかに、日本代表が先制点を与えたくなかったかが分かります。

イラン代表の背後を狙うことでチャンスを作った日本代表

一方、イラン代表も1セット目のプレーは強烈でしたが、2セット目、3セット目は、そこまで強烈ではありませんでした。特に守備の連携が出来ていないセットがあり、ボールを奪いに来ているのに、背後に走り込んだ選手に対する対応が遅く、日本代表は相手守備者の背後にロングパスを出すことで、チャンスを作り出そうと試み、皆本のパスから星が何度も相手の背中を取り、シュートチャンスを作り出します。

星のGKに防がれたシュート、そして相手の背後をとった滝田のクロスバーに当たったシュートチャンスのいずれかで得点出来ていれば、違った試合展開になったと思いますが、ボールを奪うのに他の試合以上に力を使っているので、シュートチャンスを迎えても、普段以上に余裕がなく、力みがみられました。

日本代表がシュートチャンスを活かせないでいると、イラン代表はイゴールのスローインをカットして作り出したシュートチャンスを確実に活かします。イゴールのスローインは、相手守備者の背後を狙おうとする吉川と星の連携が上手くいかず、2人の間にボールが投げられたことが要因でした。この1点により、日本代表は苦しくなり、イラン代表は余裕をもってプレー出来るようになってしまいました。

余裕があったイラン代表、余裕がなくなった日本代表

後半開始直後、イラン代表はプレーの強度を上げ、日本代表を自陣に押し込んでいきます。そして、立て続けに2失点。日本代表としては、1失点でしのぎつつ、残り時間5分を切ったら、パワープレーで勝負をかけたかったのだと思いますが、イラン代表はそんな日本代表のゲームプランを許してはくれませんでした。

0-3になってからの日本代表は、これまでの試合でみられたような連動してシュートチャンスを作り出すようなプレーがみられません。アクションが止まってしまい、ボールを受けるために、味方に近づきすぎて、かえって味方にプレーしづらくしてしまうという場面もみられました。

この試合まで、逸見勝利ラファエルや森岡に対しては、ドリブル出来るスペースを与え、森岡や逸見勝利ラファエルが左サイドにいるときは、他の選手は右側によってスペースを空けていたのですが、ボールが奪われるかもしれないと感じるからか、これまでより近づきすぎてしまい、十分なスペースを与える事が出来ません。逸見勝利ラファエルが得意なのは左サイドだと思うのですが、左ではなく右サイドでドリブルする機会も多く、チームとしてやるべきプレーが時間とともに出来なくなっていったのは残念でした。そのくらい、イラン代表とは差があったという事だと思います。

フットサルから学べること、Fリーグに求めたいこと

AFCフットサル選手権を観ていて、いろいろな気づきを得ることが出来ました。攻撃時のスペースの作り方、中央のエリアを崩す方法、守備時のボールの奪い方、パスコースの消し方、セットプレーのパターンなど、サッカーではなかなか実現できていないけれど、今後はサッカーもフットサルのように、緻密に1つ1つのプレーを構築していくことになるのだろうなぁと思いました。

また、フットサルは今後手でボールを扱う、バスケットボールやハンドボールのようなスポーツのように、より正確に、より緻密に、攻撃も守備も、幾つものパターンを組み合わせながら、プレーしていくことになると思います。フットサルは、バスケットボールで実現している攻撃や守備が、どのくらい足でボールを扱うスポーツでも再現出来るかという点を検証するには、とても興味深いスポーツだと思います。

僕自身、フットサルはたまに楽しむだけでしかありませんでしたが、今後サッカーの分析を深める上で、フットサルの知識はとても役に立つと、今大会を観ていて感じました。

最後に、Fリーグに対する注文を1点。

AFCフットサル選手権を観ていて感じたのは、「モップがけで中断する時間がほとんどない」ということです。Fリーグを観ていると、選手がスライディングしたあと、汗で濡れた床を拭くために、モッパーが入って試合が中断するのですが、AFCフットサル選手権では、ほとんどそんな場面はありませんでした。アルゼンチン代表との親善試合でも、そんな時間はほとんどありませんでした。モッパーが入ると、試合のテンポが落ちて、興ざめするので、入らないで済むなら止めて欲しいと思います。モッパーが入らないだけで、試合のテンポが上がって、観客の興味をひくことが出来る気がします。選手、そして運営に携わる皆様、ご検討よろしくお願い致します。

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photo by Gustave Deghilage