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天才の育て方-杉山愛はどのように育てられたのか-

   

いつの世にも、どんな分野にも「天才」と称される人がいます。自分たちの価値観、あるいは想像から外れた人の事を「天才」とよぶのであれば、そんな「天才」はどのようにしてうまれるのか。その事を解き明かそうと試みたのが、吉井妙子さんの著書「天才は親が作る」です。

「天才は親が作る」には、10人のアスリートの親たちのインタビューが収められていますが、そこには数多くの共通点があったといいます。親たちは特殊な才能ではなく、どこにでもいる平凡な親ですが、子供に対する愛情のかけ方や接し方がちょっとだけ違ったというのです。

そこで、「天才は親が作る」で取り上げられているアスリートのエピソードから、親たちは「天才」と呼ばれる人物をどのように育てたのか紹介します。今回は杉山愛のエピソードです。

自分の子供の表情や仕草、意志を注意深く見つめる

杉山愛が初めてラケットを握ったのは、2歳から3歳にかけて。おもちゃのラケットを買い与えたら、スイングとか教えたわけじゃないのに、見よう見まねでブンブン振り回していたそうです。生まれたあと1歳前には歩き始め、歩いたと思ったらもう走っているような子供で、1年後には「おしっこ」も知らせるようになってオムツも取れ、口も早かったのだそうです。その頃、杉山愛の母親は「うちの子は成長がちょっと違う」と感じたといいます。

杉山愛の母親は、大学では心理学を専攻し、卒業後もそのまま研究室に残ったのですが、その知識をことさら自分の娘に応用しようという意識はまるでなく、その代わり、自分の子供の表情や仕草、意志を注意深く見つめたそうです。

子供の時間に自分のサイクルをあわせる

洗濯物を取り込んで、ちょっとお使いに行って帰ってくると
洗濯物の前にちょこんと座って、何か一生懸命やってるんです。
何をやってるのかと思って覗いたら、
ワイシャツなどのボタン掛けに熱中している。
多分、手を使うのが面白くなってきた時期だったんだと思います。

普通の親ならここで「畳んだものをしわにしちゃダメ」とか言ってしまうところですが、杉山の母親は飽きるまで遊ばせておいたそうです。大人の生活のリズムに子供をはめようとするのではなく、子供の時間に自分のサイクルを合わせようと考えていたからだそうです。

散歩に行くときも、
玄関口で彼女がスニーカーを履き終えるまでじっと待ってました。
紐のついた靴なので、結び終えるまで優に30分はかかるんです。
でも、手伝うことはしませんでした。
だって、散歩は彼女のためのものですから。

就寝時間もあえて決めませんでした。「子供は早く寝なさい」とは絶対に言わなかったそうです。

子供なんだから早く寝なくちゃいけないんではなくて、
大人は睡眠時間が5時間や6時間でも翌日は平気だけど、
子供は辛いというか楽じゃないはず。
だから私は彼女にそれを体験させたいと思ったんですね。

杉山の母親は、杉山が遅くまで起きていても叱らず、「幼稚園があるんだから6時半の起床時間は守りなさいね。それで文句を言うんだったら次からはなしよ。」と言ったそうです。

子供を叱る理由なんてほとんどない

杉山の母親は、他の親が子供を叱っているのを耳にし、それは違うなと思えば、間違いを正すためにさりげなく杉山につぶやいたそうです。例えば、子供たちがじゃがいも畑に入った時、お母さんたちは「そんなところに行っちゃダメよ。おじさんに叱られるでしょ」と叱っているのを耳にしたら、「おじさんに怒られるからじゃなくて、じゃがいもの芽を踏んではいけないから入っちゃいけないんだよね」と言い直していたそうです。

杉山の母親は、こんな考え方を持っていました。

親の勝手で子供にこうして欲しいと思うから、
親にも子供にもストレスが溜まるのであって、
大勢に影響のないことに目をつぶると、
もう子供を叱る理由なんてほとんどなくなってしまうんですよ。

自分で考え、判断し、行動して欲しい

子供用の食器には、あえてクリスタルの食器を使っていたそうです。もちろん、クリスタルのコップを壊されて、ウワーッと顔が引きつることがあったそうですが、壊れないと知ると、ぞんざいに扱ってしまうため、与える方にも覚悟が必要ですが、ものを大事に扱わなければならないと、体感で覚えて欲しかったそうです。

杉山の母親は、何か考える必要に迫られた時、杉山に「ママはこう思うけど、あなたはどう?」と言い、決して親の判断を押し付けることはなかったそうです。自分で考え、判断し、行動してほしいという願いがあったからです。

杉山の母親は、子育てについて2つの基本理念を持っていました。

ひとつは「フレキシブル&ナチュラル」。子供の発想や行動を大事にし、枠にはめようと強いたり、他人と比べたりしない。二つ目は、子供たちがレディとして成長した時に、もし彼女たちが自分の子供でなかったとしても「お茶に誘いたいな」と思えるような魅力的な娘になって欲しいし、自分自身も「お茶に誘ってみたいおば様」と思われるような存在でいたい、と。この2つの基本理念の根底にあるのは、親と子の関係は対等であるべきという考え方です。

子供のリクエストは断らない

杉山は小学校1年生の終わり頃には、「もっとテニスがやりたい」と言い始め、プロ養成校に通わせるようになります。杉山は夕方4時半から9時までほぼ毎日のように通いました。指導は英語。杉山の母親も、妹の育児をしながら毎日3時半に学校に迎えに行き、自宅で食事をとらせて、4時半にスクールに送り、9時になったら夕食用のお弁当を持ってスクールに迎えに行き、帰りの車の中で食事をさせていたそうです。

杉山の母親は弁当作りにも精を出し、挽き肉も自分で挽き、コロッケ用のホワイトソースも自分で作ったそうです。ケーキや和菓子もお手製。成長期の杉山に、栄養のバランスがとれた弁当を食べさせてやりたかったからだそうです。試合前や練習が足りないと思ったりすると、杉山は母親を6時半からの早朝練習に突き合わせましたが、母親はこのリクエストを一度も断らなかったそうです。

杉山の母親は、一緒に勉強もしたそうです。高校2年、高校3年の数学を振られても、すぐに解けたそうです。テニスをしている杉山は時間がないので、考えるヒントを与えられるようにしようという考えからだったのですが、そのうち、杉山の友達からも「私にも教えて」と電話がくるようになったそうです。そんな時間と愛情をたっぷりかけた結果が、杉山愛の活躍ぶりに反映されています。

現在、杉山の母親は「パーム・インターナショナルスクール・テニス・アカデミー」を開校し、責任者として第二の杉山愛を育てようとしています。2010年には60歳で早稲田大学大学院に合格し、2012年には卒業。精力的な活動を続けています。

杉山愛の育て方から学べること

  • 子供の時間に自分のサイクルをあわせる
  • 子供を叱る理由なんてほとんどない
  • 自分で考え、判断し、行動できるようにさせる
  • 親と子の関係は対等
  • 子供のリクエストは断らない

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